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死獣神~生の書~  作者: 天馬光
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背徳のデート

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。

 正午前、島の北東部にある複合商業施設の入口で紗那と合流した龍は、館内にある彼女行きつけのイタリアンレストランでランチをご馳走された。

 その食事中、例の名刺の話題になったことで、龍は彼女がどういう人物なのか詳しく知ることができた。


 紗那は元々この国の人間ではなく、龍と同じ日本人であり、現在はとある団体の広報部長として活動している。

 その広報活動の一環として、日本やエピウスで配る広報誌も書いているのだが、ある日、掲載する写真を切るために使っていたハサミが傷んでしまい、代わりのハサミが急遽必要となった。それを購入するために入ったのが龍の店だった。

 以来、刃物の質と店主の人柄の良さから、常連として通うようになったそうだ。

 また、龍が偽名を使っていることも、彼女はとっくの昔に知っていた。

 というのも、半年ほど前に青山一家の自宅前を通りかかった時に、何らかのヘマをした龍を叱責する雲雀の怒鳴り声が聞こえたらしく、平謝りする男の声が馴染みの店の店主の声と同じということから、悠斗=龍だと気付いたんだそうだ。


 よもや、こんな形でバレていたとは。自分のせいでもあるとはいえ、普段、『偽名や正体に関して絶対に明かしてはならない』と口酸っぱく言ってる雲雀のミスだということに、龍は恨めしく思う。

 が、この場にいない嫁の失態を責めても仕方ない。雲雀への注意は帰ってからすることにして、龍は注文したパスタやピザを堪能した。



 昼食後、2人は施設内を歩きつつ、ショピングを楽しんだ。その買い物にはもちろん、紗那へのプレゼントも含まれている。

 美しい紋様が刻まれた切子のグラス。紗那は値段を見て敬遠していたが、同時に物欲しそうな目をしていたのを龍は見逃さなかった。すぐに購入した龍は、それを彼女にプレゼントした。

 紗那は最初、遠慮していたが、やはり嬉しかったのだろう。包装されたグラスを受け取ると、『大切に使います』と言って、大事そうに抱えた。


 その様子は、さながら仲良さげに買い物を楽しむ初々しいカップルのようだが、忘れてはならない。龍は妻帯者であり、ここエピウスの人口は日本より遥かに少ない。故に、自然と店員達の目に留まり、人によっては浮気だなんだと茶化したりもする。

 そこまでされて、龍はようやく自分のやってることを自覚し、慌てて否定するが、誰が信用できようか。言い訳すればするほど悪循環というやつである――――

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