こんなに心強い味方はいない
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。
そんな風にシェイラから思われてる柚はというと、島の北西部まで移動していた。
このまま家に帰って籠るのが1番いいが、いつまでもそうしているわけにはいかない。今後のことも含めてどうしようかと考えながら帰路(?)についていると、途中で未来を見かけた。
「あ、蜜柑さん。話、終わったの?」
「うん。そういう明日奈こそ、どうしてここに? 仕事は?」
そう尋ねた柚に、未来は文太からの取材を受けたことを話した。
事前交渉のおかげで、柚のことは話題にはならなかったが、未来のことについては根掘り葉掘り聞かれたそうだ。
「え? てことは――」
「うん。あの人に、私が叶未来ってことはバレちゃった。でも、いいの。元々、死亡扱いじゃなくて行方不明扱いだったから、世間に対する影響も少ないだろうし、家族を守れるのなら安いものだよ」
「……こういう時の明日奈って、逞しいというか頼りになるというか。ほんと、あなたが家族でよかった。ありがとね、明日奈」
未来としては、当たり前のことをしただけかもしれないが、それでも、こんなに心強い味方はいない。改めてそう実感した柚は、骨を折ってくれた未来に感謝を述べた。
と、そこへ、この空気に水を差すように、神出鬼没なあの男が現れた。
「コホン。お2人の絆が深まったところで、こんなことを言うのは申し訳ありませんが、少しよろしいですか?」
「あ、光一郎さん。先程はありがとうございました」
わざとらしく咳払いし、バツが悪そうに話しかけてきた光一郎に、未来は深々と頭を下げた。
「いえ、僕は人手を集めただけで特には何も。全てはあなた方の人望があったから成せたこと。僕はそのサポートをしたに過ぎませんよ」
なんて謙遜しているが、彼がいなかったらマスコミと文太からの取材が殺到していたに違いない。それを防いだ光一郎の功績はかなり大きいと言えよう。
「それよりさっきの言葉、どういう意味ですか?」
「あぁ、そのことなんですが……あなた達一家の大黒柱さんが、現在、不倫デートの真っ最中なんですよ」
「……は?」
フリージャーナリストからの唐突なタレコミに、未来は唖然とし、柚はその隣で不愉快そうに眉をひそめた――――




