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死獣神~生の書~  作者: 天馬光
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事務所にて

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。

 そんな家族や友人に支えられながらスキャンダルと対峙している柚はというと、家を出てからちょうど10分後、目的地である所属事務所に到着した。


 出迎えたシェイラは柚の顔を見るなり、電話でのことを問い詰めようとしたが、担当女優の見慣れない服装に目がいき、聞きそびれてしまう。

 もちろん、柚はその話題からも逃げるつもりはない。包み隠さず話す覚悟を決めている彼女は、シェイラと共に、社長が待つ応接室に入った。


 そこには社長だけでなく、先日撮影したドラマの監督もいた。監督いわく、2人は幼馴染みで、昨夜呑み明かした流れで朝麻雀をしていたところに、今回の連絡が来たそうで、ドラマも含めた今後の話をするために同席したそうだ。


「そうでしたか……すみません。私のせいで」


「ま、しゃーねぇわな。相手があの野郎じゃあ」


「私もマネージャーとして彼には警戒していたのですが、このような結果になってしまったのは、私の責任です。本当に申し訳ありませんでした!」

 シェイラはかなり責任を感じているようだ。深々と頭を下げるマネージャーの姿に、柚としては心苦しく思う。


「牧野君、頭を上げてくれ。マスコミ対策を徹底しなかったのは君の責任ではない。私の責任だ。しかし、今更悔やんでも仕方ない。重要なのは、これからどうするかだ」


「です、ね……」


「そういうわけだから、蜜柑。話してくれないか? 知ってることを全て」

 社長から説明を求められた柚は了解すると、キャラを偽っていたことを謝罪してから、自身のことを語り始めた。今回のスキャンダルの真実だけでなく、本名やコピー能力のデミ・ミュータントだということ、それと黒猫だった過去も全て。


 他国との国交が断絶されたこの国でも、かつて世界を騒がせた死獣神とブラック・ナイトの名は知れ渡っている。その2つの組織に所属していた拷問殺人狂という事実に、シェイラは驚愕する。

 それに対して、社長は一切動揺しておらず、寧ろ合点がいったというような顔をしている。


「――そういうことか」


「ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。良くしてもらったのに、こんな形で……」


「確かに少々驚いたし、例のスキャンダルの中には真実も混ざっている。全てデタラメなら信憑性も薄まるのだが、これは厄介なことになった」

 真実というのは、龍に対する淫らな行為のことである。社長の言葉を聞いたシェイラは、『だから公然ですんなって言ったのに』と言いたげなジトッとした視線を柚に向ける。


「だが、あの男が歪めていることもまた事実。ならば、早い内に真実を明かせば、まだなんとかなるかもしれない」


「だな。それに、柚ちゃんの素顔がそうなら、こないだ撮ったドラマ・【デビルラヴァーズ】のヒロインのイメージとはかけ離れてねぇ。多少影響は出るかもしれねぇが、お蔵にはならねぇだろ」

 それを聞いて、最悪のケースにならなくて良かったと柚は安堵する。それでも、当の本人へのダメージはこの程度では済まないが。


「ただ、どのみち記者会見は開かなくてはならないし、バラエティーでの君のイメージは完全に崩壊した。となれば、ほとぼりが冷めるまで、しばらく休業しなければならないだろう」

 社長の口から語られた厳しい現実に、柚は俯く。

 記者会見や休業によって会社と家庭に負担と迷惑をかけることになるし、何よりほとぼりが冷めても、復帰できるとは限らない。まさしくお先真っ暗というやつだ。

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