表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死獣神~生の書~  作者: 天馬光
17/76

厄介者

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。

「まぁまぁまあ、フローラ嬢。そう目くじらを立てなくてもいいじゃないですか。僕達としては、いい話を聞かせてもらったわけですし、ね」

 最初からいたかのように、光一郎は温和な口調で割って入るが、神出鬼没で謎も多い彼が、常識人みたいな顔をして宥めるなど100年早い。


「そういえば光一郎さん。どうして僕らのことを彼女に教えたんですか?」


「単なる興味ですよ。フローラ嬢とあなたを戦わせたら面白いことになると思いまして。しかし、まさかあそこまでとは。流石は死獣神のエースキラー。瞬殺でしたね」

 その口ぶりからして、彼もあの場にいたことは明白。元とはいえ興味本位で殺し屋同士を戦わせて、自分は高みの見物を決め込むとは、全くもっていい度胸である。


「確信がないとそんなことしませんよね?」


「もちろん。僕が買った包丁から指紋と掌紋を採取し、竜崎悠斗=青山龍という確証を得たので、それをルドルフさんに報告させていただきました。それに、僕はあなた方夫婦の死の真相をこの目で見ていましたから」

 思いもよらない発言に、あの事件に関わった面々は驚愕した。あの一件に目撃者がいたなんて、夢にも思っていなかったからである。


「……ただのフリージャーナリスト、というわけではなさそうですね」


「えぇ。警察や政財界にそれなりの人脈があると自負しています。ですが、ご安心を。昨日も言いましたが、僕はあなた達の味方です。なので、地元警察に売るようなマネは絶対にしません」

 口ではそう言ってるが、いまいち信用に欠ける。かといって、明確な敵意がない以上、邪険にもできない。


 どうしたもんかと困っていると、別の厄介者が話に入ってきた。文太である。


「あー、さっき小耳に挟んだんだが、(あん)ちゃん、俺と同業かい」


「誰? このおっさん」

 初対面の美夜がそう尋ねると、柚はバラエティーでの天然キャラを装って、全員に紹介した。

 彼の職業と柚がターゲットになってることを知った宙達は怒りを露わにする。


「おい、おっさん。ネコが何かしたってのかよ?」


「いや? まだなんもしちゃいないが?」


「だったら!」


「だがなぁ、匂うんだよ。この嬢ちゃんが隠してる闇の匂いがプンプンとなぁ」

 自分の欲望と都合しか考えていないような悪意に満ちた笑顔。醜悪としか言いようがないその顔に、宙達は嫌悪感を抱き、同業者である光一郎は呆れ返る。


「流石はジャーナリスト界のハイエナ。執念だけでなく、記者の勘も一級品というわけですか」


「まぁな。それに顔の広さもな。だから妙なんだよ。俺の知らねぇ同業者が、ここにいるなんてな」

 文太の言葉を聞いた龍達は、一斉に光一郎の方を向いた。彼の言葉が見栄から出た虚言の可能性もあるが、もし、それが本当なら、この男はいったい何者なのだろうか? 光一郎に対する疑念がますます強まっていく。

 なのに光一郎は、やましいことなどまるでないと言わんばかりに、余裕の笑みを見せた。


「無理もありませんよ。僕は去年、大学を卒業したばかりの新人ですから。知らなくて当然です」


「へっ、そうかい。だったら、忠告しておくぞ新米ボウズ。いいか? 俺の邪魔だけはすんじゃねぇぞ。お前がこれからもジャーナリストとして活動したければ、な」


「えぇ。わかってますよ。あなたが道に反することをしなければ、ね」

 どうやら、同業者同士で仲良くする気はこれっぽっちもないらしい。作り笑いをする2人のジャーナリストは、まるで獲物を取り合う獣のように睨み合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ