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死獣神~生の書~  作者: 天馬光
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令嬢再び

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。

 ちょっとしたサイン会が終わり、人も商品も一気に少なくなった【刃物屋 龍】。嵐のような時間が過ぎ去り、呆気にとられていると、あの人物がお供を連れて姿を現した。


「ごきげんよう龍さん」


「フローラさん! それにルドルフさんも!」


「何しに来よってん!? オホホ女!」

 いきなり敵意を剥き出しにする雲雀を見て、『誰?』と柚達から尋ねられた龍は、お互いのことを簡単に紹介した。


「ほう、ドイツ外相のお嬢さんが殺し屋とはのう。世の中わからんもんじゃ」


「そういうあなたこそ、なかなかの経歴をお持ちのようで。言うなれば、裏社会のドンといったところでしょうか?」


「ほっほっほ、わしは香港マフィアのボスをしてるだけのただの隠居ジジイじゃ。そんな大層な存在ではないわい」

 本人は謙遜しつつ笑い飛ばしているが、彼が小物でないことぐらいは、この場にいる誰もが理解している。特に人脈という点においては、闇社会随一と言えるだろう。


 そんな男に興味を示す主人の傍らで、ルドルフは沈黙していたが、唐突に割り込むように話しかけてきた。


「あの、私からも1ついいですか?」


「む? なんじゃ?」


「って、ルドルフさん、大丈夫ですか?」

 龍がギョッとして聞きたくなるのも無理はない。ルドルフは既に紙袋が両肘に5袋ずつかけられ、手には顔が見えなくなるまで積まれた荷物を持たされている。


「ご心配には及びません。この程度、日常茶飯事です」


「召使いなら、これぐらいの荷物ぐらい運んでもらわなければ困りますわ」

 これが召使いの日常か。そう思うと、フローラの飼い犬と化しているルドルフが可哀想というか、不憫で仕方ない。


「それで、聞きたいことというのは?」


「はい。シュバルツさんもブラック・ナイトの一員だったと本人から伺ったことがあるのですが、彼は今どちらに?」

 思わぬ人物の名前が出たことに、柚と龍達は一驚を喫する。


「え? どうしてあなたがシュバルツさんのことを?」


「それは――」


「それは、彼とシュバルツさんがその昔、良きライバルだったから、ですよね?」

 澪からの問いにルドルフは答えようとしたが、彼よりも先に答えたのは、偶然通りがかった光一郎であった。

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