日没の対決
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われていた1人の元殺し屋と仲間達の新天地での物語。
日没が迫る午後6時。仕事を片付け、対決の舞台となる陸上競技場のフィールドに時間通り到着した龍と雲雀。
その2人をルドルフと共に待ち構えていたフローラは、既に火炎放射器が内蔵された全身鎧のような特注の耐火スーツに身を包んでいる。向こうはとっくに準備万端のようだ。
「闘志剥き出しかい。伊達に炎の魔女って名乗ってるだけはあるみたいやな」
「だね」
そう言いながら、龍は鞄からロープカッターと火炎放射器を取り出し装備した。手加減のために、急遽押し入れの奥から引っ張り出してきたかつての得物だ。
「さぁ始めましょうか。青龍さん」
「えぇ。ですが、勝負はどちらかが負けを認めた時点で終わりにしましょう。こんな私闘で命を落とすなんて馬鹿らしいですし、こっちはそもそも殺すつもりなんてないので」
龍からの提案に、フローラはムッとする。
「甘いですわ。そんな考えでこの私に勝てるとでも?」
「そのつもりでここにいます」
「そう。死んで後悔しても知りませんわよ?」
フローラはそう言うと、龍の足元に何かを投げ刺した。
攻撃かと思い、1歩だけ飛び退いて目を向けると、そこにあったのは咲いてるように地面に突き刺さり、花弁だけ火に包まれた一輪の薔薇だった。
「これは?」
「私なりの宣戦布告ですわ」
「ふっ、礼儀正しいお方だ」
「お褒めに預かり光栄ですわ。それでは……いざ!」
自ら開始のゴングを鳴らしたフローラは、先手必勝とばかりにいきなり火を放った。
不意討ちに慌てた龍も咄嗟に火炎放射器で対抗するが、元々の火力に差があるらしい。みるみる内に押し返されていく。
このままでは丸焦げになると思った龍は、炎で迎え撃つことをスッパリと諦め、前方宙返りで炎を回避しつつ距離を詰める。
これに対し、フローラも火炎放射で応戦するが、龍の回避速度の方がコンマ数秒早かった。背後に着地した龍は、隙だらけになった彼女の首元にロープカッターを突きつけた。
「僕の勝ちですね」
たった数回の攻防。それだけで圧倒的な技量を見せつけた龍によって、勝敗はあっという間に決した。




