005 治癒魔法
五人の騎士さんの中には負傷者も多く、傷口に薬草を当ててから包帯を巻いたりといった手当てを行っているため、すぐには出発できない。
そう言えば、この世界には『回復ポーション』とか無いのかな?
いや待てよ、『治癒魔法』って無いのか?
ちなみに異世界ものの小説や漫画を読まない俺だが、MMORPGは好きで一時期やっていたことがある。うん、ゲームの知識が役に立つかもな。
俺はふと思いついて、ステータスから『光魔法』の項目を選択してみた。あるとすれば『光魔法』の中だろう。
すると以下のサブメニューが現れた。
〇【ライト】
〇【フラッシュ】
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〇【レッサーヒール】
〇【グレーターヒール】
〇【エリアヒール】
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〇【レッサーキュア】
〇【グレーターキュア】
〇【エリアキュア】
ふむ、魔法名からなんとなくどういうものか推測できるな。
【ライト】は明かりをつける魔法で、【フラッシュ】は多分閃光だろう。
【ヒール】が治癒で、【キュア】が解毒だと思う。で、【レッサー】が効果少、【グレーター】が効果大、【エリア】が範囲魔法だろうな。
てか、『風魔法』よりも魔法の種類が多いのは、レベルが80だからかな?
【50/120】という『風魔法』の右側に表示されていた数値だけど、おそらくは【50】が現在のレベルで【120】が上限ってことだろう。
『光魔法』は【80/100】だったから、多分レベル80なんだと思う。
なお余談だが、ステータス表示を再度行った結果、『風魔法』の右側にある数値表記は【51/120】に変わっていた。
さっき『風魔法』を連発したからレベルアップしたのかな?なんかレベルアップが早すぎる気もするのだが…。
んで、俺は何の気なしに【エリアヒール】を選択してみた。俺の位置を中心点として半径10メートルくらいまで光の輪が広がっていくのが目で見えた。…っていきなり発動したよ。照準出てこないのかよ。
負傷していた騎士さんたちが驚きの声を上げた。
「斬られた個所が消えた…。傷痕すら残っていないぞ」
「一度に全員を治癒したのか?まさに奇跡だ」
俺を起点として光が広がっていったので、発動者がバレバレだ。
マックスさんが俺に向かって頭を下げた。
「ツキオカ様、我らを治癒していただき誠にありがとうございました。賊たちも含めてこの場にいる全員を一瞬で治癒してしまうほどの力量とは、お国では魔術師としてさぞや名を馳せたお方だったのでしょうね」
いえ、お国では魔法なんて使えませんでしたよ。てか、山賊たちも一緒に回復しちゃったけど、良かったのかな?
「歩けない賊は始末していこうと思っていたのですが、これで全員街まで連行していくことができます」
マックスさんのこのセリフを聞いた山賊たちは、顔色を悪くしたあと俺に感謝の目礼をしてきたよ。まぁ恨まれるよりはマシか。
あ、ちなみに俺が最初に【ウインドカッター】で攻撃した男(背中が切り裂かれていたやつ)も全回復していて、信じられないって顔をしていたよ。なにしろ、今にも死にそうだったからね。うん、死ななくて良かったよ。




