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042 一か月後

 冒険者登録から一か月、俺と妹のナナは二人だけのパーティー『(あかつき)双翼(そうよく)』を結成して冒険者活動を行っている。Fランクパーティーだけどね。

 なお、この中二病くさい名称を考えたのは俺じゃない…(俺の名誉のためにもそこは強調しておきたい)。

 あと、たまにDランク冒険者であるアンナさんも(臨時のパーティーメンバーとして)参加してくれるんだけど、それがとてもありがたい。そのときはCランクやDランクの依頼を受けられるのだ(パーティーランクが『D』になるので…)。

 あ、そうそう、ナナへの【アイテムボックス】の【コーチング】だけど、俺たちが出会った日の三日後には発動できた(かなりのインターバルが必要ってことだ)。ただ、思っていた通り、初期値がヤバかった。


 現在のナナのステータスは以下の通り。


・名前:ナナ・ツキオカ

・種族:人族

・状態:健康

・職業:冒険者(Fランク)

・スキル:

 ・鑑定        16/100(+1)

 ・耐鑑定       12/100

 ・アイテムボックス  68/100 ←ここに注目!

 ・状態異常耐性    64/100

 ・魔法抵抗      11/100

 ・剣術        32/100(+1)

 ・徒手格闘術      5/100

 ----------

 ・水魔法        0/100


 【アイテムボックス】のスキルが追加され、【鑑定】と【剣術】のスキルレベルが共に『1』増加している。

 もちろん、【アイテムボックス】は時間経過無しだ。その容量68立米(りゅうべい)は、一辺約4メートルの立方体ってことになるので、かなりでかい。

 パーティー内での役割は、ショートソードによる〈前衛(アタッカー)〉ってことになる。もちろん〈後衛(ポーター)〉の役割も果たせるけどね。

 俺が【風魔法】の【ウインドブラスト】で魔獣を気絶させ、ナナが剣で(とど)めを刺すって感じだな。

 なぜ【ウインドカッター】や【ファイアアロー】などで直接攻撃しないのかというと、毛皮などの素材をできるだけ(いた)めたくないから…。気絶している魔獣を剣で仕留めれば、素材をきれいなまま得られるってわけ。

 なお【解体】のスキルを取得して、自分たちで獲物を(さば)いたりはしていない。そのまま【アイテムボックス】に収納してギルドに持ち込んでいるよ(そのほうが楽だから)。


 そして、現在の俺のステータスがこうだ。


・名前:サトル・ツキオカ

・種族:人族

・状態:健康

・職業:冒険者(Fランク)

・スキル:

 ・全言語理解    100/100

 ・鑑定        82/100(+2)

 ・耐鑑定      100/100(リアル値は80)

 ・アイテムボックス 100/100

 ・状態異常耐性   100/100

 ・魔法抵抗      80/110

 ・徒手格闘術     81/120(+1)

 ----------

 ・火魔法       50/120

 ・水魔法       61/120(+1)

 ・風魔法       52/120(+2)

 ・土魔法       50/120

 ・光魔法       81/100(+1)

 ・闇魔法       30/100

 ・空間魔法      32/100(+2)


 カッコ内の数値は、この世界に来たときの一番最初の値からどれだけ増加したかを表している。

 【鑑定】は常に使いまくっているから上がりやすいのだろう。

 【徒手格闘術】は実戦では使わないけど、頻繁に(おこな)っているバッツさんやアンナさんとの戦闘訓練の賜物(たまもの)だ。

 【水魔法】【風魔法】【光魔法】【空間魔法】が上がっているのは、これらもよく使っているから…。【空間魔法】だけはアンナさんがいるときは使えないけどね。

 なお、ナナには俺のステータスを全て隠さず教えているから、全属性の魔法が使えるところを見せても問題ない。ただし、それを打ち明けたときはジト目で見られたよ(このチート野郎って感じの目だった)。美少女のジト目はなかなかの破壊力です。


 あと、魔法のスキルレベルは年間3~4くらいしか上がらないって話だったが、それって三か月か四か月に『1』上がるくらいのペースだ。

 俺の場合、魔法によっては一か月で『1』上がっているんだけど、これってスキルレベルの上昇率が高めに設定されているってことなのかな?いわゆる、転移者チート?

 この感じだと一年で『10』は上がりそうだよ。

 まぁ、特に急いで上げる必要も無いんだけど、【光魔法】だけは早めに90にしたいよね(上級魔法を使えるようになるため)。


 そうそう、ナナの書いたマヨネーズのレシピだけど、受け取ったエイミーお嬢様が狂喜乱舞したことを記しておこう。

 教会にいる【光魔法】の上級を発動できる人(そういう人はだいたい神官になるのだ)を連れてきて、卵に【ピュリフィケーション】をかけてもらってから、お屋敷の厨房でマヨネーズを試作していた。

 俺も食べさせてもらったんだけど、日本のメーカー製のマヨネーズと比べても遜色(そんしょく)なく、良くできていたよ。久々の味だったし、めっちゃ美味かった。


 ちなみに、レシピの権利を買い取って、大々的に作って販売しても良いか?…って、エイミーお嬢様がナナに質問していた。ナナの答えはもちろん快諾。

 権利料は300万ベル+マヨネーズの売上高の5%と決まった。

 これで【水魔法】の【コーチング】費用も確保できたし、将来の継続的な収入も見込めることになる。なお、【水魔法】の達人(マスター)は領都リブラの冒険者ギルドに常駐しているそうなので、そこで【コーチング】してもらう予定だ。

 あ、もちろんこれらは全て(俺ではなく)ナナの収入になるよ。良かったな、妹よ。


 あともう一つ。

 ナナを襲おうとしたカイルほか二名の元・冒険者(すでに冒険者資格は剥奪されている)の処遇がどうなったのか。

 婦女暴行の未遂だけならせいぜい1年間の懲役刑くらいだったはずなのだが、調べてみると余罪が山ほど出てきたため、結局は鉱山奴隷として服役することになったらしい。

 飲食店でのツケの踏み倒し、若手の冒険者へのカツアゲ、ちょっとした暴力行為など一つ一つは微罪であり、被害者も(報復を恐れて)泣き寝入りしていた事件が次々と表に出てきたのだ。

 これは俺が彼らをギルドまで連行した際、『市中引き回しの刑』状態になって目立ったため、別件の被害者が続々と名乗りをあげたってことらしい。

 …で、全てがあまりにも悪質であり、総合的に判断して上記の刑罰(鉱山奴隷)となったそうだ。


 なお、鉱山奴隷とは鉱山で鉱石の掘り出しなどを行う労働者で、奴隷と言うだけあって人権は無い。危険な仕事であり、だいたい長くても3年、早ければ1年くらいで命を落とすらしい。

 奴隷とはいえ自分自身を買い戻すこともできるんだけど、その金額を考えると10年間は働き続けないといけないという噂だ。てか、過去に自分を買い戻した奴隷(犯罪者)はいないそうだけど…。つまりは(ゆる)やかな死刑と言っても過言ではない(…って聞いた)。

 まぁ、あまり同情する気にはなれないな。まさに自業自得だろう。

 ただ、あいつらって実は妻帯者で、奥さんや子供がいたらしい。一族郎党連座制ってことは無いので、家族まで罪に問われることは無いんだけど、犯罪者の身内ってことで白い目で見られるのは仕方ないだろうな(それだけは少し気の毒に思う)。


 ・・・


 そして今日は、エイミーお嬢様がこの街での避暑を終えて、領都リブラのお屋敷へ向けて出立する日だ。

 マックス隊長をトップに騎士さんたちが道中の護衛に()くのはもちろん、俺とナナの『(あかつき)双翼(そうよく)』とバッツさんたち『白銀の狼』も護衛として同行することになったよ。つまり、伯爵家からの指名依頼だ。

 ちなみに『白銀の狼』のパーティーメンバー(バッツさん以外)とはすでに顔見知りになっている。全員が良い人ばかりだったのは本当に良かったよ。


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