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037 兄妹

 そろそろ夜になりそうな時間になって、ようやくアンナさんが俺たちのところへ(並んで腰掛けていた公園のベンチへと)やってきた。

「サトルさん、ナナさん、お待たせしました。それでは馬車のところへ参りましょう」

 俺たち三人は連れ立って、街の中心部から少し離れたところに待機していた馬車へと向かった。

 馬車に乗ったあとはすぐにお屋敷へと帰りつき、まずはナナさんにエイミーお嬢様への拝謁をしてもらった。

 で、事情を聞いたお嬢様は被害者である彼女にしきりに同情していたよ。一か月後にここを出立するまでなら、お屋敷に滞在してても良いってさ。


 夕食も今までお嬢様と俺の二人きりだったのが、ナナさんも同席を許された。

 その席で俺はお嬢様に一つ質問してみた。

「この国では家族になるのに何か手続きが必要なのでしょうか?この子を俺の妹にしたいのですが…。あ、もちろんこの子が希望すれば…の話なんですけど」

「貴族だと王宮へ届け出たりして、とても面倒な手続きが必要です。ですが、平民の場合は役場への届け出など必要ありませんよ。兄妹(きょうだい)だと自己申告すれば、それで大丈夫です」

 ナナさんが食事の手を止めて、俺を凝視していた。あれ?嫌なのかな?断られたらショックだぞ。

「ナナさん、俺の妹としてこれから一緒に暮らさないか?もちろん、襲ったりしないぞ」

 ちょっとおどけて冗談っぽく言ってみた。『陰キャ』にしてはちょっと頑張った感じの発言だ。てか、そういうのはイケメン限定のセリフなんだからお前が言うな…なんて指摘しないでね(俺が恥ずか死ぬ)。

「お、         (襲っても良いですよ)

「え?何?」

「いえ、何でもないです。はい、不束者(ふつつかもの)ですが、妹としてよろしくお願いします。お、お兄ちゃん…」

 あぁ、ちょっと感動だ。俺は一人っ子だったから、妹のいる友人を羨ましく思ってたんだよな。お兄ちゃん…良い響きだ。


「じゃあ、これからはナナと呼び捨てにさせてもらうよ。冒険者としても一緒にパーティーを組んでくれるかい?あと、兄妹(きょうだい)なんだから敬語は無しだ」

「はい。いえ、うん、分かったよ。サトルお兄ちゃん」

 微笑ましいものを見るような表情のお嬢様とは違って、お嬢様の後ろに控えていたアンナさんの表情が少し強張(こわば)っている気がするのだが、おそらく気のせいだろう。

 あと、もう一度ナナを【鑑定】してみると以下の通りだった。


・名前:ナナ・ツキオカ ←ここに注目!

・種族:人族

・状態:健康

・職業:冒険者(Fランク)

・スキル:

 ・鑑定        15/100

 ・耐鑑定       12/100

 ・状態異常耐性    64/100

 ・魔法抵抗      11/100

 ・剣術        31/100

 ・徒手格闘術      5/100

 ----------

 ・水魔法        0/100


 うん、名前に俺と同じ家名が付いた。本当に『自己申告』なんだな。

 あとは【アイテムボックス】を教えて、【水魔法】の達人(マスター)を見つけないと…。

 あ、その前にお金を稼がないと何もできない…。

 俺とナナはどちらもFランクだから、パーティーもFランクになるはずだ。まぁ報酬の安いFランク依頼でも数をこなせばなんとかなるだろう。

 現状、家賃も食費もかからないしな(エイミーお嬢様には本当に感謝です)。


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