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036 コーチング

「あー、俺のスキルの中には達人(マスター)レベルに達しているものがいくつかあるんだ。で、一つ提案なんだが、きみに【コーチング】をしてあげたいと思う。同郷の(よしみ)ってやつだな。どうだい?」

「え?もちろん、お願いします!嬉しいです!あ、でもお金が…」

「もちろん、無料(ただ)だよ」

「へ?そんな…、どうやってご恩を返せば良いのか…。はっ、そうだ!私は前世でも今世でも処女なんですけど…」

「ストーップ!見返りは何も()らないから!」

 アンナさんにしてもナナさんにしても乙女(おとめ)のくせに、すぐにその身を(ささ)げようとしてくるのは何なの?

 もっと自分の身体を大切にして欲しいよ。


 俺はスキルレベルが100になっているものを順に見ていった。

 まずは【全言語理解】だが、選択してもサブメニューは出なかった。つまり【コーチング】の機能が無い。転移者専用のスキルなのかな?

 【耐鑑定】も見かけ上は(ステータス表示の上では)100だけど、これは魔装具(マジックアクセサリ)で底上げしているだけで、本当の数値は80だ。当然【コーチング】はできない。

 【アイテムボックス】には【コーチング】があるけど、現在は選択できないようになっている。あれ?アンナさんのときは発動できたのに何でだ?

 あとで判明したのだが、【コーチング】は連続で発動することができないらしい。数日間のインターバルが必要とのこと(その期間は人それぞれ)。それで料金が高いのか…。

 あとは【状態異常耐性】のスキルレベルが100だ。これについては【コーチング】という項目がサブメニューに表示されていた。


 確認を終えたあと、俺はナナさんに伝えた。

「【アイテムボックス】と【状態異常耐性】の二つを【コーチング】できるんだけど、つい最近【アイテムボックス】を【コーチング】したせいなのか分からないけど、今は発動できないみたいだ。なので、今日のところは【状態異常耐性】だけを【コーチング】して、また後日【アイテムボックス】を【コーチング】してあげるよ」

「あ、アイテムボックスぅ~?異世界転生者にとって定番のスキルじゃないですか~。でも、この世界では伝説級に希少(レア)なスキルですよ。それに状態異常に耐性が付くってことは毒状態なんかになりにくくなるってことでしょうか?どちらもすごいスキルです」

「そうなの?詳しいことは全く分からないんだよな~。スキルの説明文なんかがステータス画面上に表示されていればありがたいんだけどね。ヘルプ機能として」

「あはは、そうですね。少し不親切なUI(ユーザインタフェース)だと私も思います」

「じゃあ、とりあえずは【状態異常耐性】を【コーチング】してみるよ」

 俺は【コーチング】を発動し、そのあとナナさんを【鑑定】してみた。


・名前:ナナ

・種族:人族

・状態:健康

・職業:冒険者(Fランク)

・スキル:

 ・鑑定        15/100

 ・耐鑑定       12/100

 ・状態異常耐性    64/100 ←ここに注目!

 ・魔法抵抗      11/100

 ・剣術        31/100

 ・徒手格闘術      5/100

 ----------

 ・水魔法        0/100


 おお、ちゃんと成功した。…って、あれ?数値(スキルレベル)が大きすぎる。初期値が64ってどうなってるんだ?通常の二倍だよ。

 ナナさんもステータスを表示して確認してるみたいだけど、目が点の状態だ。

「こ、こ、これってサトルさんだから初期値が通常の二倍なんですかね?」

「いや、ある人に【アイテムボックス】を【コーチング】したときの初期値は34だったぞ。もしかしたら、転移者が転生者に【コーチング】すると二倍になるのかもしれないな」

「そ、そ、それってすごいことですよ。ほかに100になりそうなスキルは無いんですか?」

 ナナさんが俺の胸倉(むなぐら)(つか)まんばかりだ。隣からめっちゃ(せま)ってきているよ。


「えーっと、【鑑定】が81、【耐鑑定】【魔法抵抗】【徒手格闘術】【光魔法】の四つが80だな」

「うわぁ、そのうち【光魔法】以外の四つを100まで上げてくださいよ。で、私に【コーチング】をお願いします!はっ、すいません。興奮して取り(みだ)しました…。あまりにも厚かましいお願いをしてしまい、恥ずかしいです。今の発言は忘れてください」

 いや、ナナさんの気持ちも分かるよ。【コーチング】後のスキルの初期値は30~35が常識なのに、(多分だけど)二倍の60~70になるんだからね。

 はっ!【アイテムボックス】なんか最初から時間経過無し(スキルレベルが50以上必要)になるんじゃないか?

 てか、アンナさんがナナさんを【鑑定】したら、これがバレて少しヤバいことになるかもしれない…。


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