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351 聞き取り調査②

 次にイリーナさんを応接室へ呼び出した。てか、アリーナに呼びにいってもらった。

「んじゃ、(あーし)はこれで…。何か分かったら教えてね」

 アリーナが退室し、ここからはイリーナさんへの聴取(ヒアリング)となる。まずは翻訳スキルの有無だな。


「イリーナさん、あなたは【全言語理解】または【言語翻訳】といったスキルをお持ちなのですか?」

「いいえ。そのようなスキルの名称など、聞いたこともありません。私の持つスキルは、姉であるアリーナのものとほぼ同じでございます」

「それではこれは読めますか?」

 俺はさきほどクロダ先生が書いた紙を見せてみた。スキル無しでこれが読めるなら、イリーナさんは日本からの転生者ってことになる。


「いえ、読めません。これは見たこともない文字ですね。どこの国で使われているのでしょうか?」

 あれ?どういうことだ?

 もしかして、イリーナさんに対する神託は日本語じゃないってこと?


「神託はどこの国の言語で行われるのですか?」

「はい。この国で使用されている言語、つまりゴルドレスタ語でございます」

 うーん、なぜ正預言者と副預言者で神託言語が異なるのか?

 いや、そもそも異世界言語である日本語を使っているというのが変なんだけど…。なんとなくだけど、乙女ゲームの世界という仮説が真実味を帯びてくるよね。


 とりあえず、イリーナさんのことをこっそりと【鑑定】してみた。


・名前:イリーナ

・種族:人族

・状態:健康

・職業:預言者(副)

・スキル:

 ・鑑定        47/100

 ・耐鑑定       37/100

 ・預言        71/100

 ・魔法抵抗      61/100

 ----------

 ・光魔法       51/100


 なお、さきほど姉であるアリーナのほうも【鑑定】している。その結果は以下の通り。


・名前:アリーナ

・種族:人族

・状態:健康

・職業:預言者(正)

・スキル:

 ・鑑定        52/100

 ・耐鑑定       46/100

 ・預言        72/100

 ・魔法抵抗      58/100

 ----------

 ・光魔法       54/100


 確かにほとんど同じだね。

 というか、アリーナのほうがより努力している様子すら見受けられる。【魔法抵抗】スキル以外は全てアリーナのほうが(まさ)っているよ。


 これは困ったな。打開策が見つからないよ。

 そもそも神様に(もの)申したい。神託の際、日本語を使うなや!


 ・・・


 イリーナさんが退室し、部屋の中には俺たち四人だけとなった。

「困りましたね」

「そうですね。アリーナへ日本語を(いち)から教育するしかないかもしれません。数年は必要でしょうけど…」

 クロダ先生の(つぶや)きに答える形での俺の発言だ。

 ひらがなとカタカナだけなら何とかなるけど、漢字までとなるとかなり大変だよ。少なくとも2000文字くらいは教えないといけないんじゃないかな。


 ここでホシノさんが首を(かし)げながら発言した。

「でもイリーナさんのほうって、本当にゴルドレスタ語での神託なのかな?」

 ん?彼女が嘘をついているとでも?

「日本からの転生者ってことを隠そうとしているのかも…。理由は分からないけど」

「ああ、それはあるかもな。ナナさんやイザベラちゃんもそれを秘密にしていたって話だし…」

 サガワ君もホシノさんに同意していた。


 俺の妹(とは言っても実妹(じつまい)じゃないけど)のナナとルナーク商会のイザベラは共に日本からの転生者だ。その事実は家族にも秘密にしていたらしい。

 …って、そりゃそうだよな。『転生』なんて言い出したら、頭がおかしくなったと思われるっつーの。


「両者ともに日本語による神託と考えるのが合理的な解釈だよな。違う言語にする意味が分からんし…。うーん、もう一度イリーナさんを問い詰める必要があるかもしれないね」

 この俺の言葉が初日の結論となった。

 てか、問い詰めるとは言っても、真実の供述を引き出す【闇魔法】の【ウィークネス・オブ・マインド】は100%抵抗(レジスト)されてしまうので使えない。どうしよう?


 ・・・


 翌日、再度イリーナさんに対して聴取(ヒアリング)(おこな)った俺たち。

 朝の挨拶のあと、すぐにホシノさんがイリーナさんに対してこう問いかけた。

「ねぇイリーナさん、アカベタでの()しは誰?私の()しは、オーソドックスだけど第三王子であるソリスティア・アーベルストだよ」

 いきなりの問い掛けに一瞬キョトンとした顔になったイリーナさんだったけど、すぐ満面の笑みを浮かべて滔滔(とうとう)と語り始めた。

「そりゃ、宰相の息子で知的眼鏡のロベルト・ロードベルク様でしょう。あのクールさが(たま)りません。すらっと細身なのに、実は細マッチョなんですよね。魔法も剣術もすごくて、まさに完璧超人。魔法馬鹿のサティ・ルナーク様や筋肉馬鹿のティアード・サジタリウス様とはそこが違いますよ」

「さっすが信者。語るねぇ」

「はっ、しまったぁ~!」


 (わけ)の分からん会話だけど、聞き覚えのある単語もチラホラ。

 『アカベタ』というのは『暁の片翼(ベターハーフ)』という乙女ゲームの略称で、『信者』とはそのゲームのファンのことらしい。

 てか、これでイリーナさんが日本からの転生者だってことは確定じゃん。


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