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029 冒険の準備

「当支部では【剣術】と【徒手格闘術】のみ達人(マスター)が常駐しておりまして、有償で【コーチング】を受けることが可能です。料金につきましては【剣術】が50万ベル、【徒手格闘術】が30万ベルとなっております」

 今、俺は冒険者ギルドに来ている。問い合わせの窓口が分からなかったので、新規登録の窓口(昨日と同じお姉さんが担当だった)で武術系スキルの【コーチング】について尋ねてみたのだ。

 てか、高い…。払えなくはないけど、手元の金が少なくなると不安になってしまう。うーん、どうしよう。

 あと【剣術】を習ったとしても、重い剣を俺が振り回せるのかって問題もある。多分、剣に振り回される気が…。


 もっとお金を稼いでから(あと、少しは身体を鍛えてから)にするか…。

「ありがとうございました。では結構です。あ、ここにDランク冒険者のアンナさんが来ていませんか?」

「はい、来ておりますが…」

 ちょっと歯切れが悪い感じになっているお姉さん。ああ、ペラペラと気軽には話せないってことか。


 …っと、ちょうどそのタイミングでアンナさんが階段を降りてきた。その途中で俺を見つけたのだろう。急ぎ足で俺のもとへと近付いてきたよ。

「サトルさん、お買い物はお済みですか?」

「ええ、終わりました。アンナさんは上で何を?」

「少し、ここの支部長と面談を…」

 ああ、指名依頼に関する話だろうな。一介の冒険者に見えても、実は伯爵家の侍女さんだからね。しかもエイミーお嬢様の名代(みょうだい)という…。


「あ、受付のお姉さん」

 新規登録窓口の前は閑散としているので、アンナさんと俺はその前で会話していたのだが、もう一つの質問事項を思い出したので受付のお姉さんのほうへと向き直った。

「私の名前はエリーです」

「失礼しました、エリーさん。もう一つ質問なのですが、武器や防具のレンタルについて教えていただきたいのですが」

 そう、高くて買えないなら借りれば良いやと思ったのだ。

「右手の素材買取所の横にレンタルコーナーがありますので、そちらで詳しいことをお尋ねください」

「はい、ありがとうございました」


 俺たちはレンタルコーナーという小さな立て看板のある一角へ移動した。

「すいません。武器や防具のレンタル料金についてお伺いしたいのですが」

「おぉ新人か?(わし)はここの担当のギルってもんだ。武器は種類にもよるんだが、だいたい平均して一日8,000ベル、防具は革鎧しかねぇが一日10,000ベルだ」

 うわぁ、どっちも高いな。元の世界で例えれば、レンタカーくらいの料金か?

 どうでも良いが、ギルさんは小太りで中年のおっちゃんだった。


 それにしても、Fランクの依頼で稼げるのが一日5,000ベルくらい(Fランクの依頼書を色々と見た結果)だと思うのだが、どう考えても赤字になるじゃん。新人冒険者ってちゃんと生活できてるのか?

「高いと思うだろうが、命には代えられねぇぜ。あと、新人はだいたいどこかのパーティーに拾ってもらって、先輩のお古を譲ってもらうか借りるかして活動するから、ここを利用する奴はほとんどいねぇな」

 ははぁ、なるほどねぇ。バッツさんのようなベテラン冒険者が新人を育成してくれてるんだろうな。きっと…。


 結局、武器や防具を借りるのはやめて、あまり危険のない薬草採取みたいな依頼を主として受けることにした。てか、明日からだけど。

 今日のところはギルドの訓練所を借りて魔法の練習をしようと思う。【風魔法】だけしか見せられないけどね。

 アンナさんも一緒に練習すると言うので、連れ立って訓練所に移動した俺たち。

 鉄製の(まと)まで30メートルくらい離れた位置から、まず最初に魔法を撃ち出したのはアンナさんだ。

 燃え盛る火の矢が飛んでいって(まと)に命中した。あれって【ファイアアロー】ってやつか。ステータスの【火魔法】を選択すると、


 〇【スモールファイア】

 〇【ファイアアロー】


と表示されていたから間違いないだろう。

 俺も同じ魔法を試してみたいところだが、アンナさんは俺の魔法属性を【風魔法】【水魔法】【光魔法】の三つだと思い込んでいるので【火魔法】を見せることができない。ちょっと残念。

 なんか攻撃力が高そうで派手だよな、火魔法って。なにしろ、風魔法の場合は目に見えないから、かなり地味なのだ…。


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