022 冒険者ギルド
自室として俺に割り当てられている客間に戻ってから、さっきの魔装具を装着してみた。てか、首にかけただけなんだけど…。
ステータスを確認してみると、以下の通りだった。
・名前:サトル・ツキオカ
・種族:人族
・状態:健康
・職業:無職
・スキル:
・全言語理解 100/100
・鑑定 81/100
・耐鑑定 100/100 ←ここに注目!
・アイテムボックス 100/100
・状態異常耐性 100/100
・魔法抵抗 80/110
・徒手格闘術 80/120
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・火魔法 50/120
・水魔法 60/120
・風魔法 51/120
・土魔法 50/120
・光魔法 80/100
・闇魔法 30/100
・空間魔法 30/100
注目すべきは【耐鑑定】だ。『+22』の効果で本来は80だったスキルレベルが100まで上がっている(やはり102にはなっていなかった)。
あと、アンナさんに聞いたんだけど、【鑑定】と【耐鑑定】のスキルレベルが同じ値だった場合、鑑定には失敗するらしい。
これは【〇〇魔法】と【魔法抵抗】でも同じで、完全に同じ数値だった場合、守備側が有利に働くとのこと(要は魔法を『はじく』ことができる)。
なるほどねぇ。命大事にをモットーに生きていくなら、【魔法抵抗】の魔装具が欲しいところだな。多分お高いんだろうけど…。
まぁ、とりあえずはこれで、他人から勝手に鑑定されることはなくなるだろう。スキルレベル100を超える【鑑定】使いが現れない限りね(…ってフラグっぽいか?)。
俺は現在のステータスをA4サイズのノートにメモっておいた。スキルレベルの上がり方を検証するためにも書き記しておいたほうが良いと思ったから。
ちなみに意識すればこの国の言語で書くこともできたのだが、他者に見られたときのことを考えて日本語でメモったよ。念のためだけどね。
ここで部屋のドアがノックされた。
「ツキオカ様、アンナでございます。馬車の用意ができましたので、ご準備がよろしければ玄関ホールまでお越しください」
そう、今から『冒険者ギルド』ってところへ行くのだ。ちょっとワクワクする。
別に準備も必要無いので、俺はすぐにドアを開き、アンナさんの先導で階下の玄関ホールへと降りていった。
なお、俺たちが乗り込んだ馬車だけど、エイミーお嬢様がここへ来るときに使っていた豪華なやつじゃなく、目立たない感じの少し質素な馬車だった。アインホールド伯爵家の紋章も馬車の側面には付いていなかったよ。
「このような馬車しか空きが無くて、申し訳ありません。ただ、あまり目立たないほうがよろしいかと存じまして」
ああ、確かに…。そのギルドってところに新規で登録するのなら、伯爵家との関わりはあまり大っぴらにしないほうが良いだろうな。俺は忖度などの特別扱いをされるのが嫌いなのだ。
「だったら馬車で行くのは近くまでにして、街中では歩きで向かいましょう。俺としてはそのほうが気楽です」
幸い、アンナさんの今の服装は侍女っぽいものではなく、ブラウスとスカートという普通の女の子っぽいものだ。彼女と一緒にいても伯爵家との繋がりを詮索されるようなことはないだろう。
侍女姿のときはアップに纏めていた髪も、今は自然な感じに下ろしている。髪の長さは肩よりも少し長いくらいだ。
ちなみに、お仕着せの侍女服のときは大人っぽい感じだったのだが、今は俺と同い年の普通の女の子って感じだ。ちょっとドキドキするよ。なんだかデートっぽい…。
…などどいう『陰キャ』っぽい勘違い思考をしながら馬車に揺られている俺だった。
馬車に乗っていたのはわずかな時間で、商店の建ち並ぶ中心街にほど近い場所で馬車を降り、そこからはアンナさんの案内で歩いていった。
横に並んで歩くアンナさんとは肩が触れ合うかどうかって距離感なんだけど、めっちゃ緊張する。なにしろ美人だから…。いやいや、たとえ美人じゃなくても、女の子ってだけで緊張するのが俺という男だ。
「ツキオカ様、この通りの先に見えますあの二階建ての建物が冒険者ギルドのデルト支部になります。冒険者には荒くれ者が多いのでご注意くださいませ」
いや、注意って言われても、どう注意すれば良いんだ?まぁ、俺の【徒手格闘術】のスキルレベルなら、喧嘩になったとしても多分大丈夫だと思うけど…。
え?相手のほうのレベルが上だったらどうするかって?そんなの喧嘩相手を【鑑定】で調べて、勝てないやつには向かっていかなければ良いだけだ(つまり逃げる(笑))。




