表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

204/373

204 魔道ライフル

 生き残りの賊たちは7~8人か?

 髭面の大男(おそらく頭目)が倒されたことで戦意を失ったのだろう。散り散りに逃げ出そうとしているね。

 後々のことを考えると、できるだけ全員を捕縛するか、もしくは皆殺しにすべきだろう。だが、深追いは避けたいところでもある。

 頭目や倒れている手下たちの容態をチェックして、まだ息がある者については一か所に集めた。その中心で【光魔法】の【エリアヒール】を発動した俺…。面倒なので、一気に全員を治癒することにしたのだ。

 あ、もちろん事前に賊たちの両腕を縄で縛り上げているよ。


 結局、死者は五名、捕縛した賊は八名(頭目を含む)、逃げた奴らが七名という結果になった。

 生きている賊については、この国の警察に引き渡すと報奨金が貰えるらしい。なので、二台目の馬車の後部からロープで引きずっていくことにした。

 ちなみに、賊たちは徒歩だ(馬車に乗せたくない)。ロープを首にかけているので、歩かない場合は首が締まるようになっているんだけどね(別に死んでも構わないって扱いだ)。


 街道を進む馬車の中では、イザベラお嬢様の使っていた魔道武器を見せていただいた。

 デザイン的にはまるでライフル銃そのものだ。洗練されていてめっちゃ格好良いな。

 トリガーガードの少し前には弾倉(マガジン)(いや、魔石カートリッジ)を()せるようになっている。

 カートリッジにセットされている魔石はそこそこ大きなもので、魔力量が100程度はありそうだ(中級魔法の魔力消費量は20なので、5連発ってことだな)。

「うーん、良いですねぇ。俺も免許を取ろうかな?」

「くくく、良いだろう?私の愛銃だよ。まぁ、こいつも【アイテムボックス】があるおかげで、気軽に持ち運べるのだがね。ちなみに、この武器の名称は『魔道ライフル』だ」

 確かに、本来だったらご令嬢が気軽に持ち歩けるようなものじゃないな。

 てか、まじで羨ましい。月給を増やしてもらったことだし、俺も業者に発注しようかな。もちろん、不法所持にならないように免許を取るのは必須だけど…。


 中級魔法の魔道具や魔道武器は、俺の【細工】スキルのスキルレベル的に(現時点では)作ることができない。なので、魔道武器の業者に作ってもらうしかないのだ。

「暇さえあれば、こいつの射撃訓練をしているよ。それにしても、もしも侯爵令嬢のままだったら、一生縁のない趣味だっただろうな。その意味でもサトル君には感謝しているんだよ」

「うーん、エーベルスタ王国へ帰国したら、俺も魔道武器の所持免許を取ることにしますよ。そのときはこれを作った業者を紹介してください」

「くく、良いぞ。お安い御用だ。いやぁ、優越感に(ひた)れるなぁ。愉快愉快」

 イザベラお嬢様がめっちゃ嬉しそうだ。俺も立場が逆なら、ドヤ顔を披露していたと思うよ。そのくらい、この『魔道ライフル』は良い物です。


 ・・・


 その日のうちに次の宿場町へとたどり着いた俺たち。

 賊たちを警察署へと連行していき、全員の身柄を引き渡した。なお、この大男(頭目)って割と有名な盗賊で、指名手配犯だった上、かけられていた賞金もかなりの高額だったよ。


 翌日以降も旅は順調で、たまに襲ってくる魔獣もいたけど、マクベス氏やカミーラさんが難なく討伐していた(俺の出る幕が無かった)。

 魔獣のランクはほとんどがC~Eだったので、Aランクのマクベス氏にかかれば瞬殺なんだよな。カミーラさんもBランクだし…。

 ただ、一度だけかなりの強敵が出現した。

 それはちょうど湿地帯を抜ける道を進んでいたときのことだった。

 街の人から教えてもらった話によると、この辺りにはEランク程度の弱い魔獣しか出ないらしい。

 ところが、どこから迷い込んできたのか分からないけど、極めて運の悪いことに俺たちの前にAランク魔獣が出現したのだ。不幸中の幸いと言うべきか、出現したのは一体だけだったけどね。


「停まれ!カミーラだけこちらへ来てくれ。あれを鑑定できるか?」

 馬車を停めるように指示を出したマクベス氏は、カミーラさんを自分のいる先頭の馬車のところへ呼び寄せた。

 すぐに移動したカミーラさんは、前方50メートルくらいのところにいた魔獣をすぐさま【鑑定】したようだ。ちなみに、俺もカミーラさんの横まで移動してから、同じように【鑑定】してみた。

 鑑定結果は以下の通り。


・種別:ヒュドラ

・種族:龍族

・スキル:

 ・耐鑑定       38/100

 ・魔法抵抗(首)   27/100

 ・魔法抵抗(胴)   62/100

 ・毒息吹       89/200

 ・再生(首)    118/200


 身体のサイズもあまり大きくない(全長5メートルくらい?)し、スキルレベルも大したことはないかな?

 あ、龍族にしては…ってことだけど(てか、ヒュドラって蛇族だと思っていたよ)。


「まさかヒュドラに出くわすとは思わなかったわね。いくら槍の間合いが長くても、攻撃できる距離まで近づいたらあいつの吐く毒にやられるわよ」

「くそっ、やはりか。君の【火魔法】で倒せそうか?」

「いえ、初級魔法で胴体部分を貫くには威力が不足しているわね。首の部分だったらダメージを与えられるけど、9本ある首をほぼ同時に潰さないと、すぐに再生しちゃうのよね」

 ヒュドラは蛇のような胴体に枝分かれした9本の首が付いている。そしてその首は再生するらしい。…って、まじかよ。

 だったら胴体部分をイザベラお嬢様の『魔道ライフル』で攻撃してもらおう。中級魔法ですら72%の確率で抵抗(レジスト)されてしまうけど、それが最も確実だと思う。


 ヒュドラが俺たちに気づいたのか、するすると近づいてきている。移動速度はそれほど速くないな。

 魔法の有効射程距離である約30メートルまで近づいたとき、カミーラさんの【ファイアアロー】と俺の【ウインドカッター】がそれぞれ別々の頭部へと命中した。

 9本の首のうち2本を潰したってことだ。ところが、【ファイアアロー】で燃やされた首を別の首が噛み千切った。そしてその切断面が徐々に盛り上がってきて首の再生が始まった。

 俺が【ウインドカッター】で切り飛ばした首についても同様だ。

 一瞬で再生するわけではないが、ある程度の時間さえかければ元に戻ってしまうみたいだな。

 俺が【水魔法】の中級【アイススピア】でヒュドラの胴体部分を攻撃しても良いんだけど、できれば【水魔法】を使えることは秘密にしておきたい…。

 さて、どうすっかな(俺があまり焦ってない理由は、いざとなれば複合魔法を発動すれば良いと思っているから…)。


 『魔道ライフル』のイメージですが、『ブローニングM1918自動小銃』みたいな感じです(気になる方はネット検索してみてください)。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ