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198 月給

「お兄ちゃん、近衛騎士団のおかげで(もう)かったね」

 そうなのだ。正門や建物の修理費用が国から支給されただけでなく、借家だったこの屋敷を国が不動産屋から買い上げて、俺たちへ下賜(かし)してくださったのである。

 つまり、今後は月々430万ベルの賃借料を支払う必要がなくなったってこと。これは本当にありがたい。

「結果的には…な。まぁ、慰謝料というか迷惑料ってことなんだろうけど」


「サトルさん、浮いた分のお金はいかが致しましょう?」

「そうですね。全員の給料を二割増しにして、残った分はプールしておきましょうか。あ、申し訳ないけどユーリさんは除外で…」

 アンナさんの質問に俺が答えると、現在リビングに集まっている全員から驚愕の目で見られた。

 ちなみに、全員の給料(月給)は現時点でこうなっている。


・アンナ     50万ベル/月

・サリー     40万ベル/月

・ナナ      30万ベル/月

・オーレリー   30万ベル/月

・マリーナ    30万ベル/月

・サーシャ    20万ベル/月

・ユーリ    300万ベル/月(ただし、ツキオカ男爵家の負担は150万ベル/月)

・俺       30万ベル/月


 これに家賃が月に430万ベルほど加わるわけだ。つまり、法衣(ほうえ)貴族としての男爵位で支給される年金1億ベルは、ほぼ使い切る形だったんだよね。

 食費や光熱費として年間1000万ベルを予定していたため、実は若干の赤字になるんだけどね(その補填は冒険者としての収入で(まかな)うつもりだった)。

 てか、ユーリさんの月給の半分をミュラー公爵家に負担していただいているのは、本当に助かっているのですよ、まじで。

 なお、ユーリさんは自身の報酬の中から毎月280万ベルを義姉(あね)のマリーさんへ手渡しているらしい。(おい)のタッカー君が王立高等学院へ進学するための費用として積み立てているそうだ。


 …で、ここから俺も含めて二割増しとなると、


・アンナ     60万ベル/月

・サリー     48万ベル/月

・ナナ      36万ベル/月

・オーレリー   36万ベル/月

・マリーナ    36万ベル/月

・サーシャ    24万ベル/月

・ユーリ    300万ベル/月(ただし、ツキオカ男爵家の負担は150万ベル/月)

・俺       36万ベル/月


ということだな(ユーリさんの分は変更なし)。

 それでも年間総額で5112万ベルにしかならない。食費や光熱費、屋敷の修繕費等を年間2000万ベルと見積もっても、一年間の余剰金が2888万ベルも発生することになるね。


 ここでただ一人、俺の給料の額を知っているマリーナさんが発言した。

「ツキオカ様のお給料が月額30万ベル、二割増しでも36万ベルというのは少なすぎるのではないでしょうか?」

「え?まさかサトルさんのお給料は私よりも少なかったのですか?そんな恐れ多い…」

「私より少ないじゃん。そんなのダメだよ」

「え?お兄ちゃんの給料って、私と同じ額だったの?」

 順番にアンナさん、サリー、ナナの言葉だ。


 続けてマリーナさんがこう言った。

「ツキオカ様の報酬を月額200万ベルにすることをご提案させていただきます」

 えええ?それはちょっと多すぎるよ。月給200万ベルって、年収にすると2400万ベルにもなるじゃん。

「それがよろしいかと存じます」

 即座にアンナさんが賛成した。他の皆も深く(うなず)いていたよ。

 いやまぁ、趣味の魔道具作りには高価な【魔道基板】が必要だし、ありがたいことではあるけどね。


 で、結局、以下のように決まった。


・アンナ     60万ベル/月

・サリー     48万ベル/月

・ナナ      36万ベル/月

・オーレリー   36万ベル/月

・マリーナ    36万ベル/月

・サーシャ    24万ベル/月

・ユーリ    300万ベル/月(ただし、ツキオカ男爵家の負担は150万ベル/月)

・俺      200万ベル/月


 余談だけど、貴族家に勤める侍従や侍女の給料は平均して月額20万ベルほどらしい。下働きの使用人に至っては、月額5万からせいぜい10万ベルだそうだ。

 なぜなら衣食住のうち、『食』と『住』が提供されているし、『衣』についても制服が支給されているからね。

 要するに、貴族家の使用人って、給料のほとんど全額が自分自身のお小遣いになるってわけ。

 それを考えると、うちの待遇は数多(あまた)ある貴族家の中でも非常に良いほうらしい。これは後日、イザベラお嬢様から教えてもらったんだけどね。


「サトル君、良いほうどころの話じゃないぞ。ご飯もうまいし、夢のような職場環境と言っても過言じゃないよ。私も就職したいくらいだ」

 …って、イザベラお嬢様がしみじみと俺に語っていた。

 ちなみに、ご飯が美味しいのはナナが料理しているからだな(醤油や味噌が無いから、日本食を完全再現することはできていないけど…)。


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