196 第4章エピローグ
冷や汗を流しながらの俺の釈明によって、なんとか誤解も解けたようだ。
そんな(俺にとっては)無駄な労力もあったけど、一連の事件は全て解決となった。
で、最終的に下された沙汰は以下の通り。
・ジャレド・ウィロード近衛騎士団長は横領罪と殺人罪、あと俺たちへの殺人未遂罪で逮捕、投獄された。当然、騎士爵位は剥奪され、近衛騎士団も解雇。
・ウィロード侯爵家の当主(ジャレドの兄)は厳重注意の上、伯爵位へと降爵された。
・襲撃に参加した近衛騎士団員については一年間、減給10分の1(つまり一割の減給)。
・犯罪行為を唆したジャレドの側近の男は逮捕、投獄。ちなみにこいつはオーレリーちゃんを人質にとった奴だった。
・ツキオカ男爵家へのお咎めは無し。逆に、門や建物の修繕費は国庫から支出されることになった。
・事件解決に尽力した警吏本部の関係者(特命捜査官二人、刑事部長、グレンナルド長官)には王室から感謝状が贈られた。
・・・
今日は警吏本部へ来ている。すでに諸々の雑事は片付いていて、俺たちの生活も落ち着きを取り戻しているよ。
いつもの応接室にいるのは、警吏本部側がグレンナルド伯爵、刑事部長、警部さんと若い刑事で、俺たちの側はユーリさんとナナ、そして俺の三人だ。
「グレイフィールド事件が完全に解決したことにつきまして、ご尽力いただいた皆様へお礼申し上げます」
俺の言葉と共にユーリさんとナナも頭を下げた。
「いやいや、こちらこそ隠されていた犯罪を暴くことができて、警吏本部の面目を施すことができた。それに王室からの感謝状をいただくなど、身に余る光栄だよ」
グレンナルド伯爵の言葉にブンブンと頷いている刑事部長や警部さんたち。
続けて刑事部長が言った。
「ただの平民に王室から感謝状が贈られるなど、前例がありません。末代までの家宝とさせていただきます」
警部さんも若い刑事も首を激しく上下に振るのみだ。首の骨は大丈夫だろうか?ちょっと心配になる。
ここでユーリさんが発言した。
「事件の捜査がおざなりだったときは警吏本部を恨んだものだが、今では心から感謝している。これで父と兄も浮かばれるよ」
警部さんが微妙な顔をしているけど、それは仕方ないね。
俺が介入するまでは事件捜査はほぼ終結していたのだから…(警部さんだけは一人でこっそり調べ続けていたけど)。
「ところで、今日来たのはお礼もあるのですが、なにやら不穏な噂話を耳にしたもので、その真偽を確認しに参りました」
「ふむ、なんだね?」
「警吏本部の内部、特に『刑事部』で『私立探偵サトル&ナナ』なる言葉が囁かれているそうなんですが、本当でしょうか?」
そうなのだ。俺たち兄妹の名前がなぜか噂になっているのだ。それも『探偵』として…。
警部さんが答えてくれた。
「ツキオカ殿、少し訂正させていただきたい。『私立探偵サトル&ナナ』ではなく『名探偵サトル&ナナ』ですぞ。迷宮入りになりそうな難事件が発生したら、ぜひご助力をお願いしたいと思っております。なにしろ『名探偵』ですからなぁ」
ただの民間人を頼るような発言をしたら、長官や刑事部長に怒られるよ。…って思っていたら、その二人からこう言われた。
「ツキオカ男爵には警吏本部『刑事部』の外部顧問になってもらおう。うむ、それが良い」
「ええ、全く問題ございません。どうぞよろしくお願いします」
はぁ?二人とも満面の笑みだよ。腹芸?いや、本心っぽい。
「いえ、私は冒険者ですので、時間を拘束されるのは困るのですが…」
「顧問とは言っても、うちが本当に困ったときだけ助けてもらえば良いのだ。そうだな、その場合は冒険者ギルドへの指名依頼としよう。うむ、それなら冒険者としての功績にもなるだろう」
「は、はぁ。その形であれば大丈夫ですが…」
「ねぇ、お兄ちゃん。『名探偵サトル&ナナ』って格好良いよね。ちょっと中二病っぽいけど」
「ちゅ、ちゅうに?なんだって?」
「あ、この子の言ってることはお気になさらず。故郷であるニッポン国の言葉ですから」
ただ、考えてみると『名探偵』と呼ばれるような推理力を発揮した覚えはないんだけどな。割とシンプルな事件だったと思うし…。
まぁ、それでも褒められて嬉しくないわけではない。実は内心、ナナと同じ感想を抱いている俺だった。
・・・
ここで一区切りついたということで、自分と仲間たちの現在のステータスを確認しておこう。
なお、【】内の数値は魔装具による底上げ分で、()内の数値は以前記載したときからの増加分だ。
・名前:サトル・ツキオカ
・種族:人族
・状態:健康
・職業:ツキオカ男爵家当主
・スキル:
・全言語理解 100/100
・鑑定 91/100(+1)
・耐鑑定 100/100【+22】(リアル値は85)
・アイテムボックス 100/100
・状態異常耐性 100/100
・魔法抵抗 86/110(+1)
・棍術 55/110(+2)
・徒手格闘術 81/120
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・細工 65/110(+3)
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・火魔法 51/120
・水魔法 67/120(+1)
・風魔法 58/120(+1)
・土魔法 55/120(+2)
・光魔法 86/100(+1)
・闇魔法 32/100(+1)
・空間魔法 36/100(+2)
・・・
・名前:アンナ・シュバルツ(シュバルツ男爵家三女)
・種族:人族
・状態:健康
・職業:ツキオカ男爵家侍女長
・スキル:
・鑑定 56/100
・耐鑑定 57/100【+15】
・アイテムボックス 38/100(+1)
・魔法抵抗 53/100【+18】
・徒手格闘術 64/100(+1)
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・火魔法 47/100【+9】(+1)
・水魔法 49/100【+8】(+1)
・・・
・名前:サーサリアム
・種族:獣人族
・状態:健康
・職業:ツキオカ男爵家警備責任者
・スキル:
・鑑定 35/100
・耐鑑定 49/100【+15】
・アイテムボックス 37/100(+1)
・索敵 73/100【+25】(+1)
・罠感知 62/100【+21】
・魔法抵抗 50/100【+18】
・剣術 60/100【+16】(+2)
・徒手格闘術 35/100
・・・
・名前:ナナ・ツキオカ
・種族:人族
・状態:健康
・職業:ツキオカ男爵家料理長
・スキル:
・鑑定 35/100
・耐鑑定 50/100【+15】
・アイテムボックス 73/100(+1)
・状態異常耐性 65/100
・魔法抵抗 55/100【+18】
・剣術 46/100【+12】
・徒手格闘術 30/100
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・水魔法 46/100【+8】(+1)
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・名前:オーレリー
・種族:人族
・状態:健康
・職業:ツキオカ男爵家御者、厩務員、庭師
・スキル:
・鑑定 53/100【+17】(+1)
・耐鑑定 54/100【+19】
・アイテムボックス 35/100(+1)
・魔法抵抗 49/100【+15】
・操車術 33/100(+1)
・徒手格闘術 50/100【+20】
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・光魔法 43/120(+2)
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・名前:マリーナ
・種族:人族
・状態:健康
・職業:ツキオカ男爵家会計責任者
・スキル:
・鑑定 62/100
・耐鑑定 51/100
・徒手格闘術 12/100
・会計 88/100(+1)
・交渉術 76/100
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・名前:サーシャ
・種族:人族
・状態:健康
・職業:ツキオカ男爵家侍女見習い
・スキル:
・鑑定 22/100(+1)
・耐鑑定 14/100
・徒手格闘術 7/100(+1)
・・・
・名前:ユーリ・グレイフィールド(グレイフィールド騎士爵家長女)
・種族:人族
・状態:健康
・職業:ツキオカ男爵家騎士団長
・スキル:
・鑑定 90/100
・耐鑑定 87/100
・魔法抵抗 72/100
・剣術 120/120
・徒手格闘術 76/100
・乗馬術 59/100
前回の確認から一か月半程度なので、そんなにスキルレベルは上がっていない(ユーリさんだけは、つい最近【鑑定】したばかりなのでプラスは無し)。
ちなみに、俺の【細工】のスキルレベルが思ったよりも上がっているね。それが何気に嬉しかったりする。
この回が第4章【公爵令嬢を助ける】の最終話となります。
てか、章の始めのほうで早々に『助けて』ますけどね。
後半は章タイトルと関連しているものの全く別の話なんですが、いきあたりばったりで書いてるので仕方ない(笑)
まだまだこのあとも徒然なるままに書き散らしていきますので、よろしければお付き合いください。




