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019 晩餐

「そろそろ暗くなってきましたね。【ライト】の魔道具を点灯しましょう」

 アンナさんが部屋の中にあったランプっぽい道具をいじると、それが明るく光り始めた。

 てか、魔道具?何それ?

「あの、恥を忍んでお尋ねしますが、魔道具というのは何なのでしょうか?俺の国には無かったもので…」

 アンナさんが少し驚いたような表情になったので、聞いたのは失敗だったか…と思ったんだけど、快く教えてくれた。

「光魔法の【ライト】を魔法技能を持たない人間でも使えるようにしたものが、【ライト】の魔道具です。これ以外にも【スモールファイア】や【ウォーターストリーム】の魔道具などもございますね」

 ほほう、なるほど。電気やガスじゃなく、魔道具ってやつで文明レベルを上げているってことか。


「魔法を発動するための魔力はどうやって供給しているのでしょうか?」

「はい、魔石というものを用います。かなりの量の魔力を内包している石のような形状のものです」

 へぇー、俺のやってたMMORPGには魔道具ってのは出てこなかったからなぁ。もしかしたら異世界ものの小説なんかではよく登場するのだろうか?

 あ、でも何らかの魔法効果(マジックプロパティ)の付いた武器や防具なんかはゲームでもあったなぁ。この世界にもあるのかな?まぁ、仮にあったとしても俺には武器なんて使いこなせないんだが…。


「それではそろそろ食堂へご案内致します。どうぞこちらへ」

 アンナさんの先導で二階の客間から一階の食堂へと向かったんだけど、結構歩いたよ。でかすぎだ、この屋敷。

 あと、貴族の食事の作法(マナー)なんて知らないぞ。就職活動のための学びの一環で、一般的な食事マナーについては勉強したけどな、一応…。


 食堂はかなりの広さで、そこにあったテーブルは、20人くらいが座れそうな細長いものだった。

 その一番奥(いわゆるお誕生日席ってやつ?)に座っていたのがエイミーお嬢様。

 俺が案内されたのが、その斜め向かいの席だったよ。てか、二人だけ?


 何も言わずとも次々と運ばれてくる様々な料理…。コース料理のように順番に出てくるんじゃないんだな。

「ツキオカ様、どうぞお召し上がりください」

「ありがとうございます。いただきます」

 カトラリー(ナイフ・フォーク・スプーン等のこと)は銀色だったから、おそらく銀製かな?

 皿などの食器は陶器か磁器のようで、木製ではなかった。


 少し緊張しながら食事を始めた俺。

「う、美味い…」

 最初に口を付けたのは透明なスープで、肉や野菜が具として入っているものだった。塩加減が絶妙で、なかなかの美味…。

 いや、昨日から黒パンと干し肉しか食べていなかったせいかもしれない(菓子パンは食べられなかったし…)。

 黒コショウをちょっとふると、さらに美味くなるとは思うのだが、もしかして香辛料は貴重品なのかな?

「お口にあったようで良かったです。この別荘を担当している料理人も喜びますわ」

「ええ、さすがは伯爵家の料理人さんですね。とても美味しいです」

 パンも柔らかい白パンだったし、肉料理なんかも(何の肉なのか分からなかったけど)美味しかったよ。

 飲み物として出されたのは赤ワイン(っぽい色の酒)で、元の世界ではビールばかりを飲んでいた俺にとっては、味の良し悪しなどはよく分からなかった。

 もちろん幼いお嬢様は水のような透明な飲み物を飲んでいたけどね。てか、多分、水だろうな…。


 マヨネーズやトマトソース(ケチャップ)なんかは無いみたいだけど、今後生み出される可能性はあるだろうね。菓子パンを食べたときのエイミーお嬢様の感動っぷりを見たら…。

 うーん、それにしても俺は果たして元の世界に戻れるのだろうか?

 マヨネーズを思い出した途端に、元の世界が恋しくなってきたよ。別にマヨラーってほどじゃないんだけど…。


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