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017 別荘到着

 デルトという名の街へようやく到着した。

 街の外壁は5メートルくらいの石垣で、高さがおよそ3メートルはある大きな門が開け放たれている。

 門の横では門番さんが街へ入る商人などのチェックを行っているみたいだが、身分証など身元を示すものを見せないといけないのだろうか?

 俺の場合、運転免許証でも見せれば良いのか?…ってそんなわけあるかい!…うーん、どうしよう。


 商人たちが行列を作っている横を順番を無視して進む伯爵家ご一行様。

 俺もしれっとそこに混ざっているわけだが、どうやらノーチェックで街へ入れそうだ。この人たちに同行してきて良かったよ。

 てか、門のところにいた50代か60代くらいの年齢の役人さんを鑑定してみたら、『耐鑑定』はそれほど高くなかったんだけど、『鑑定』のスキルレベルがめっちゃ高かった。多分、毎日毎日門を通る人をひっきりなしに鑑定しまくっているからだろうな。

 俺の『耐鑑定』よりも高い数値だったから、もしも単独で街に入ろうとしたら鑑定されていたってことか。うむ、『職業』が無職であることがバレなくて良かった…。

 『住所不定・無職』という怪しさ満点な身の上だからな。


 街の中に入ったあと、マックス隊長以外の騎士四名が賊たちをこの街の警察署的なところへ連行していった。マックス隊長と馬車(の中のエイミーお嬢様と侍女のアンナさん)、そして俺の四人は直接別荘へと向かうらしい。

 ちなみに、俺は門の中に入ったところからは馬車に同乗させてもらった。アンナさんのお許しも出たし、道も良さげだったからね。

 そう、街の中の道は石畳で、サスペンション性能に問題がありそうな馬車でもそんなに揺れを感じなかったのだ。

 騎乗しているマックス隊長に先導されて進む俺たちの馬車。

 時間的にも乗っていたのは5分くらいかな。酔う暇も無いって感じだった。


 目的地の別荘は軽井沢風の小さな建物をイメージしていたのだが、着いた先は立派なお屋敷だった。こんなすごいところに泊めさせてもらうのか…。

 しかも執事さんやメイドさんたちが屋敷の玄関の前にずらっと並んで出迎えてくれたよ。もちろんエイミーお嬢様のお出迎えなんだろうけど。

「ようこそいらっしゃました、エイミーお嬢様。そちらのお方は?」

「私たちの命の恩人、サトル・ツキオカ様です。しばらくこちらにご逗留いただきますから、くれぐれも失礼の無いようにね」

「はっ、かしこまりました。それでは皆様、どうぞこちらへ」

 執事さんの案内で屋敷の中へ入ったわけだが、玄関ホールの広さだけでも圧倒されてしまった。きょろきょろと(あた)りを見回す俺は、田舎者丸出しですよ。


「ツキオカ様、夕食の時間までどうぞごゆっくりとお(くつろ)ぎください」

 俺が案内された客間は豪華絢爛な内装で、触って壊したりしたら大事(おおごと)になりそうな調度品が山ほどあるという緊張感のある部屋だった。落ち着かねぇ…。

 とりあえずソファの真ん中に座って大人しくしていようと思う。


 しばらくしてから部屋のドアがノックされた。

「ツキオカ様、入ってもよろしいでしょうか?」

 アンナさんの声だった。もちろんすぐに返事をして、部屋の中に招き入れた。

「一使用人の身でありながら(あるじ)を差し置いてこんなことをお尋ねするのは僭越なのですが、一つだけお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「ええ、答えられる質問であれば…」

「ありがとうございます。ツキオカ様の魔法スキルは『風魔法』『水魔法』『光魔法』の三種類であるとお見受けしますが、間違いございませんか?」

「そうですね。ほかにもありますけど…」

 この俺の言葉を聞いて、アンナさんの表情が驚愕に染まった。


「はぁぁぁ!?…っと失礼致しました。四属性(クアドルプル)の魔術師様でしたか…。三属性(トリプル)でもすごいのに…」

「くあど…?って何ですか?」

 聞いたことない単語だよ。トリプルは分かるけど…。Fラン大学生に難しい言葉を使わないでいただきたい。

四属性(クアドルプル)とは四つの魔法属性に適性のある方のことです。有史以来、この世には存在しておりませんが…」

 え?ちょっと待って…。俺の魔法スキルはステータス表示によれば七つだぞ。まさか、これってバレたらヤバいやつ?


「じょ、冗談ですよ。四つも適性があるわけないじゃないですかぁ。そう、アンナさんのおっしゃる通り、『風魔法』『水魔法』『光魔法』の三つだけですよ」

「ほっ、安心致しました。いえ、三属性(トリプル)でもかなりすごいのですけど…。なにしろ王宮にいる宮廷魔術師様ですら、私と同じ二属性ダブルですので」

「アンナさんが『水魔法』で水を出していたのは旅の途中で見ていましたが、もう一つは何なのですか?」

 『鑑定』したことは黙っていよう。多分、勝手に鑑定するのはマナー違反じゃないかと思うし…。いや、エイミーお嬢様が言ってたっけ?火と水って…。

「水以外ですと、火の魔法を使えます。どちらもスキルレベルが低いため、初級魔法しか使えませんが…」

「そうなんですか。でも二属性ダブルってことは、かなり優秀な魔術師ってことですよね。できれば魔法のことを色々と教えていただきたいのですが…」

 なんとなくで魔法を使っていたけど、初級とか中級とかスキルレベルのこととか、よく分かってないんだよな。


 ついにストックが切れたので、今後は一日一回16時の更新に変更させていただきます。

 毎日更新については、なんとか維持していきたいところですが…。


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