表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

156/373

156 マリーナさん再び

 冒険者ギルドに来たついでに、依頼の掲示板を確認してみることにした。

 面白そうな依頼がCランクかDランクの依頼の中にあれば、受注してみても良いね。

 あ、そう言えばアンナさんとサリー、それにナナが揃って、そろそろランク更新の時期に差し掛かるらしい。

 アンナさんがDからCへ、サリーがEからDへ、ナナがFからEへと上がれれば良いんだけど、現時点の評価ってどうなっているのかな?聞いたら教えてもらえるのだろうか?

 てか、俺とオーレリーちゃんが最底辺であるFランクのままなので、なんだか肩身が狭いよ。いや、今年の夏にはEランクに昇格できるはず…(多分)。

 なお、俺が貴族になったことについては、支部長と主任さんの二人限りの秘密にしてもらった。他のギルド職員さんから変に気を遣われたくないからね。


 掲示板を眺めていると、横から声をかけられた。聞き覚えのある女性の声だった。

「お久しぶりです。その節は大変ご迷惑をおかけしました」

 おっと、見覚えのある女性だ。元・ギルド受付嬢のマリーナさんだったよ。

 その隣には俺を鋭い目で(にら)みつける女の子の姿が…。いや、なんで睨む?

 ちなみに、その子は長い髪をツインテールにしていて、小柄で可愛い15~16歳くらいの女の子だった。


「これは私の妹のサーシャです。この子が15歳になったので、私と一緒に冒険者として登録しました」

 あぁ、マリーナさんがライオネル氏に脅される原因となった妹さんか。

 てか、やはり執行猶予になったのか。実刑判決が下らなくて良かったよ。

 ただ、前科が付いたせいで、商店なんかの働き口が無いのかもしれない。冒険者登録をしたってことは、多分そういうことだろう。

「よくもお姉ちゃんを傷物にしたな。絶対に許さないからね」

 いや待て、『傷物』って人聞きの悪い…。おそらく、お姉さんに前科が付いたことを言ってるんだろうけど…。


「申し訳ありません。この子には私が悪いということを再三説明したのですが…」

「だって、お姉ちゃんは私のためにやったことなのに、それを無理に暴いたのはお前だろ?余計なことをするな!」

 あぁ、この子の中では(いま)だに心の整理がつかないんだろうな。自分のために大好きなお姉さんが前科者になってしまったということを受け入れられないのだろう。

 そして、その罪を誰かに転嫁(てんか)したいのだと思う。いや、サーシャちゃんの罪じゃないんだけどね。諸悪の根源はライオネル氏なんだから…。

「とりあえず、ここでは何ですから、場所を変えて話しましょう」

 ギルドの掲示板の前で話す内容じゃないよ。


 俺たち『暁の銀翼』とマリーナさんとサーシャちゃん姉妹は、ギルドの近くにある飲食店の個室に入った。ちょうどお昼時なので、ちょうど良かった。

(おご)りますので、何でも好きなものを注文してください。サーシャちゃんも遠慮しないでね」

 メニューの中の一番高い料理を注文するサーシャちゃん。とりあえず、俺の財布に打撃を与えようというわけか。

 マリーナさんが恐縮していたけど、俺は笑顔で(うなず)いた。その程度の攻撃で俺の(ふところ)は痛まないぞ。


 食事をしながら、この事件の顛末(てんまつ)をサーシャちゃんに語ってあげた。

 『フセ村青年団』との出会いから、ライオネル氏の破滅までをね。アンナさんやナナも適宜(てきぎ)補足してくれた。

 こうして全ての事情が(つまび)らかになったあと、マリーナさんがサーシャちゃんに優しく語りかけた。

「サーシャ、これで分かったでしょう?もしもツキオカ様がライオネル商会を潰してくれなかったら、私は犯罪者として鉱山奴隷になっていたかもしれないし、あなただって娼館で働かされることになっていたかもしれないのよ。だから感謝こそすれ、恨むなんてあり得ないことなの」

「ご、ごめんなさい…。あと、ありがとうございました」

 サーシャちゃんが一転して、借りてきた猫みたいになってるよ。いや、分かってくれれば良いのだ。


「それよりも、やはり就職は厳しいですか?」

「はい。執行猶予中の犯罪者を雇ってくれるような商会は見つかりません。でも冒険者にはなれましたので、薬草採取等で生計を立てています」

 うーん、大丈夫なのかな?冒険者としての実力はあるのだろうか?

 ちょっとステータスを見てみるか。


・名前:マリーナ

・種族:人族

・状態:健康

・職業:冒険者(Fランク)

・スキル:

 ・鑑定        62/100

 ・耐鑑定       51/100

 ・徒手格闘術     12/100

 ・会計        87/100

 ・交渉術       76/100


 うわぁ、まさに文官って感じのステータスだな。てか、戦闘力が皆無です。

 でも【会計】というスキルのスキルレベルが高いのは素晴らしいと思う。日本で言えば公認会計士みたいな感じか?

 妹さんのほうはどうだろう?


・名前:サーシャ

・種族:人族

・状態:健康

・職業:冒険者(Fランク)

・スキル:

 ・鑑定        21/100

 ・耐鑑定       14/100

 ・徒手格闘術      6/100


 サーシャちゃんもお姉さん同様、すぐに死にそうなステータスだよ。

 これは【コーチング】で戦闘系のスキルを取得しないことには、冒険者として活動し続けることは難しいのではないだろうか?

 薬草採取であっても、魔獣に襲われることはあるからね。

 うーむ、なんとかしてやりたいけど、どうしようか?どうすれば良い?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ