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半天の貴方に  作者: 小説家にならない
2/7

第1話

黒歴史確定で草

清白(すずしろ)コウタは焦っていた。

金がない。とにかく金がない。まだまた未熟な

社会人であるコウタにとっては無くはないことなのだが今はそんなこと言っている場合ではない。明日、小中高と仲の良かった友達らが遊びにくるのだ。

遊びにくるだけなら構わない。だが

「東京とかあんま来たことないだろ?良い店とか知ってるし、奢ってやるよ。」

と見栄を張ってしまったのだ。東京に住んでいるんだもの。田舎者からしたら少しは見栄を張りたいものだ。

とにかく後先考えずに出た発言をコウタは後悔していた。こうなったらあの必殺技を使うしかない。

コウタは1つの決断をした。








「いや~悪いね~奢るとか言っちゃってさ~」

「ほんとだよ。あのコウタが奢るとかいうから、まさかと思ってきたけど案の定これだよ。あ、はいこれ、ちゃんと色々買ってきたよ。」

「すまんすまん。やっぱ持つべきものは太っ腹で理解ある友達だわ。」

「おいおい俺は期待してたんだぞ?すっかり腹は東京の気分になってたんだからな?それに迎えにきたと思えば急にジャンピング土下座するんだもの、あんなの友達とか関係なく許さざるを得ねぇだろ。」

「まさか大人になっても必殺ジャンピング土下座使うとはな~まだまだ子供だな俺も」

「よく使ってたよなそれ。まぁコウタの家も悪くないし、仕方なく今日は貸し1ってことで許してやる」

「いやそこは許すんじゃねぇのかよ。」

「とりあえず俺たちは明日の夜帰るからまだまだ時間はある。今からスマブラやるぞ!おめぇらぁ!」


その日コウタは友達って...良いな、と深く思ったのであった。


翌日友達らを駅に見送っている最中、他愛もない

話をしていたコウタ。そこである現実を突きつけられることとなる。

「あ、そうそう。そういや俺彼女できたんだ。」

「へ、へぇ~そうなんだぁ」

「え、マジ?俺も最近合コンで知り合った子といい感じになっちゃってさぁ付き合うことになったんだよね」

「ほ、ほぉ~良いじゃん。」

「いや~みんなこうやって大きくなっていくんだなぁ....あれコウタは?」

「ゑ」

「あー.....ごめん」


そう、コウタは生まれてこの方一度も女性に恵まれたことがないのだ。もちろん痛感していたし、改善しようともした。しかしキャンパスライフはサークルに全てを捧げ、社会人になってからもとてもじゃないが忙しく、女性に出会う機会すら得られなかった。そうしてそのまま心の奥底にこの思いを閉まっていたのだった。

そして今日、その思いは呼び覚まされた。


友達らを見送った後、コウタは焦りを感じつつ帰路についていた。女性に恵まれるためにはどうすればいいのか、そのための機会を得るにはどうすればいいのか、などと考えつつボーッとしながら歩いていると、1人の女性、女性というよりかは少し大人びた少女が半グレらしき人達にナンパされているのを見かけた。半グレも半グレで威圧感が凄く、とても断りずらい雰囲気を醸し出していた。

普段なら素通りするのだが、焦りというのは恐ろしいものだ。失敗したりジャンピング土下座させたりと、色々なことの制御が効かなくなる。コウタは、このまま彼女を助ける→彼女が俺に惚れる→付き合う→ゴールイン

という想像をしていた。そして

「おい!彼女が可愛そうだろうが!その汚ねぇ手を退けろ!」

と言った想像もしていた。

しかし想像ばかりするあまり半グレたちを見つめすぎたのだろう。突然

「おい兄ちゃん、なにジロジロ見とんねん。」

と声をかけられた。

「ゑ」

と動揺していると、半グレ達がこちらに歩いてきた。少女がなにやら引き止めているが、どうやら見すぎてしまったらしい。いわゆるメンチを切ってしまったようだった。


あー...詰んだァ .. 転生したら異世界にいきたいなァ...


よぅし、もうこうなったら大人しくボコボコにされてさっさと交番行こっと!!!!


などと想像していたつかの間、半グレ達が目の前に来た。

いや、来たと言うよりかは飛んできた。

一瞬のあまり、何が起こったかよくわからなかったが、どうやら少女が投げ飛ばしたようだった。というよりそれしか考えられなかった。周りには誰もいないし、別に風が強いわけでもない。半グレ達はビビって逃げていった。

あまりのことにコウタも腰を抜かしていると、少女が声をかけてきた。

「そこの少年、君は私を助けようとしてくれたのだろう?」

女性らしからぬ口調に驚いたがとりあえず

「..はい」

と答えた。

「これは良い逸材を見つけたぞ。」

と言ったと思った矢先、少女の口から

「どうだ少年よ、私と付き合ってみないか?」

と言われたのだ。


頭の回転が追い付かない。しかし遅かれ早かれコウタの答えはこうだった。


「...はい」

決してラブコメとかではないんで。そもそも恋愛とは無縁なんで。そもそも恋愛とかしたことないんで。

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