幼馴染のピアニスト
転生までが長くなるかも知れませんが、お付き合い頂けたらと思います。
「余計な首を突っ込まなければ死ぬことはなかったのに」
そう言いながらやつは不敵な笑みを浮かべていた。
後頭部から流れる血を感じながら俺は意識を手放した。
俺は佐々木裕介
どこにでもいる普通の男子高校生
話すことが無いくらい大した特徴もない陰キャだ。
強いて趣味をあげるとすれば、幼なじみが好きだと言っていた「オペラ」を見ることだ。
初めは共通の話題に出せるためにと思って見始めたオペラだったが、色々な曲を聞いているうちにハマってしまった。
と、俺の自己紹介はもういいな。
「おっはよーー!!」
明るい声をあげて俺の背中を叩くのは幼なじみの飯島有希だ。
学年1の美少女で、勉強も運動もできる完璧女の子。極めつけは日本一のピアノコンクールで優勝し、メディアにも引っ張りだこの超有名人。
何故か幼なじみの俺と一緒に高校に行きたいと言う理由で普通の公立高校に通っている。
ただし彼女に恋愛感情はないようだ。
一緒にいて男避けに都合のいい幼なじみだけなよう
だ。
(俺的には1番振り向いて欲しい女性なのだが…)
「あぁ、おはよう」
「朝から暗いな〜もぉ〜」
「昨日『無名な音楽会』の録画見てたら寝るの遅くなっちゃって」
『無名な音楽会』とは土曜日にやっている、クラシックやオペラなど様々なジャンルの紹介をしているテレビ番組だ。
「見た!!!今週良かったよね〜!!『トスカ』の『星は光りぬ』最高だった!!!!」
「あれ歌えたらかっこいいだろうな」
「ゆーくんが歌うなら私は伴奏するね!」
ゆーくんとは俺のことだ。
日本一のピアニストに伴奏してもらえるなんて光栄なことだ。
ちなみに俺はオペラなんて歌えない。
もったいないことをしたもんだ。
「おいおい陰キャ?なに俺の有希に気安く話しかけてるんだ?」
割り込んできたこいつは井上雅人
今年俺と有希と同じクラスになった男だ。
こいつの家は尋常がないほどの金持ちで、何をしても金で解決できると思っているアホである。
「なんで私があんたの女なの?」
イライラした様子で有希は答えた。
「イケメンで金持ちの俺の女になれるって言うなら泣いて喜ぶのが普通だろ?頭湧いてんのか?」
頭沸いてんのはどっちだよ
こいつは何かと俺に突っかかってくる。
いつも有希と一緒にいるのが気に食わないのだろう。
そんなこんなをしているうちにHRが始まった。
結局1日何も無くその日は授業が終わった。
しかし、次の日から雅人の嫌がらせは徐々にエスカレートしていったのだった。
初めのうちは「どけー陰キャが伝染るー!」と大声で怒鳴り散らすくらいだったのだが、だんだんノートを隠したり、弁当を捨てられたりといじめの域まで達し始めていた。
そして事件は起きた。
「飯島の体育着が無くなったらしいんだが誰か知らないか?」
この小説をきっかけにオペラに興味を持つ人が増えてくれたらいいなって思います!
続きが気になるよって方はブックマーク、高評価、コメントお待ちしてます(>人<;)
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