表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猪口と民党  作者: いなえちゃん
1/1

導入

 八十近い老夫婦が営む雑貨屋。しかしそれは名ばかりで昔ながらの菓子や惣菜パン等を主に扱っているせいか近所の小学生達は口を揃えて駄菓子屋と呼ぶ。

 その店先にある大手飲料メーカーのロゴが入っている小休憩用のベンチに腰を掛け、凍ったチューブ状のゼリーを噛む。冷っ。

 一息ついて空を仰ぐ。

 自分の思考が纏まらない。

 いや、纏まってはいるのだけれどそれを言葉として発する為の語彙がない。自ら新たな言葉を作り出し世に発信出来る中高生が羨ましくてしょうがない。僕もその端くれだけど。


 其れ即ちある種の嫉妬。冷っ。


 自己表現で決定的なアドバンテージを誇る若者の中から零れ、常に落下状態に陥ている。どんなにしがみついて対応しようとしても永遠と追いつけることはない。悲しいかな、諸行無常。冷っ。

 たかがそんなこと、去れどそんなこと。どんなに悩みもがいてても結局輪廻に嵌る。俯き頭を掻き毟り、そして再び空を仰ぐが何も変わらず。

 どうしようもない。同じように話したい、振舞いたい。

 

 自我、思考、欲望。

 

 もうこんなことに頭を抱えてわーわー言っているのは阿呆だ。重い頭と腰を持ち上げ空になったチューブをゴミ箱に捨てふらふらと歩きだす。

 僕は左手小指で鼻をほじる。あーあ、しょうもな。帰ろうかな。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ