悪役令嬢になってしまった元婚約者
私が産まれた時アナリスの父親は、現れなかった。
「アナリス…うっ…ごめんなさい…せめて、男の子であったなら…」アナリスの母は、社交会では、我が儘であるから、恥ずかしくて、参加させられないと、アナリスの父から聞かされていた。
なのに…なんて事だ!我が儘とは、程遠い……母が優しすぎて、アナリスにしてしまった事が罪だと言われている様で…
あの時は……根暗で地味な顔のアナリスより、華やかで明るい優しいミリアの方が好みだった。結婚して、あの根暗で性格の悪そうな顔を毎日見ると思うと…アナリスの婚約が煩わしくて…
アナリスを処刑した。あの時、私に掴み掛かってきた男がいた。アナリスの母方の叔父だった『何故だ!あの子があんな…母子そろって…』
『母子?あの女の母親は、我が儘で大変だったと聞いている。』
『何を言っているんだ!妹は大人しくて、控えめな、優しい性格だった。アナリスの母は、私の父親にあの男を押し付けられただけだ!あんな…母子そろって…いや…私の妹の方が、まだ、ましだった。毒殺では、あったがな…』
毒殺?侯爵は病死だったと言っていた。
『その時と今回は、外交に出ていた。胸騒ぎがして、急いで引き返して…来たのに…うっ…』
確か侯爵は、アナリスの処刑が決まった時、『私が甘かったのだ迷惑をかけて、すまない』と言っていた。ミリアに優しく話しているのも聞いている。
だから、あの時は、意味が別らなかった。私の父親は、私を愛してくれていたから、アナリスも当然そうだと、こんな事はら、アナリスの母がいつ亡くなったのか調べておけば、よかった…
侯爵は私と顔を合わせるたび汚物でも見る様な目で、私を見ていた…鏡を見たら、普通の容姿でそこまで、不細工では、なかった…
そして、「あら、ブランチナ侯爵たら…本当に嘘つきですわね!」
今目の前に私の元母親がいる…叔父が外交に行って直ぐに元生家からの招待状が届いた。元生家は公爵だったので、侯爵が断れるはずなく、
「……?」母が困惑した表情に…私もアナリスの母と会った事がない…
「実は、私の息子が、貴女を助けて欲しいとお願いしてきたのよ?」
……母の死を知っている………!?