タイトル未定
貞子と言う人物を知っているだろうか。
前髪が長く、井戸からゆっくりと出てきて、映像との境界を超え、見ている人物を呪うと言う、名の知れたあれである。
興味本心や、友達と深夜に見て呪われる、と言うのが定番だったりする。
そして、ここにも興味本位で呪いのビデオを見ようとしている女の子がいた。
桜朱 櫻子
私立高校に通う高校2年生の女の子だ。部活はしていない。
高校デビューで都会に上京してきて、一人暮らしをしている。
友達も沢山出来たらしい。週末は彼女の家でお泊まり会をすると言うのが、彼女とその友達との恒例行事だった。
彼女の友達の一人が呪いのビデオを見つけたらしく、今日は皆で見ようと提案してきた。
彼女たちは大いに盛り上がった。
都市伝説は実在するのか、幽霊が出て来るのか、怪奇現象が起こるのか
学校が終わるのがとても恋しかった。
チャイムと同時に彼女達が教室から出てくる。
「さくらこー、私一旦家帰って荷物まとめて来るわー」
「おっけー、あっそうだ、マルちゃん。ポテチとか買ってきてよ。ミッチはどうする?」
「私も親に言わないと、連絡まだしてないんだよねー。例のビデオは持ってくるよー」
「りょうかーい、じゃあ私家帰って掃除しとくねー」
マルちゃんとミッチと言う人物は高校に入学してすぐに出来たとても仲のいい友達である。
一人で過ごしていた櫻子に声を掛けてくれたとても思いやりのある人物だ。
それからずっと仲良く過ごしている。
「そんじゃ、あとでねー」
部屋が散らかっている為、そそくさと家に向かう櫻子。この時、まだ自身に起こる怪奇現象を知る由もなかった。
自分の運命が決まることも。
「うげっ、洗濯とかしてなかったなぁ・・・」
部屋の隅々まで掃除をしている櫻子に、ある郵便が届く。
「すみませーん、宅配でーす。」
「はいはーい、・・・ん?何か頼んだっけ・・・?お母さんからかな?」
ドアを開ける。
そこには帽子を深く被った少年がいた。
「お父さんのお手伝い?偉いねー」
見た目からして小学生だった為、声を掛け荷物を受け取った。
「・・・・」
少年はただ黙り荷物を渡すと、去って行った。
「可愛かったなぁ・・・差出人誰だ?」
差出人に記入がなかった。しかし、桜朱櫻子様と書かれた荷物は、確かに自分宛てだった。
荷物を開ける・・・。何故か身体が重い様な、錘に潰されている様な威圧感を覚えた。
「DVD・・・?」
袋の中から、真っ白なケースが出てきた。
中のDVDも真っ白で何も記入していなかった。
「お母さんから・・・かなぁ。ちょっと見てみるか」
DVDプレイヤーに不明なDVDを入れ、再生ボタンを押した。
「何も映らないじゃんwwwww」
真っ暗な画面が映るだけだった。
思わず笑ってしまい、引続き部屋の掃除を行おうとしたその時
「ォ・・・・オォォ・・・・ォォ」
と人とは思えない呻き声が聞こえてきた。
「・・・え?」
固まる櫻子。背筋を指でなぞられた感覚が伝わり、本能で電源ボタンを消そうとした。
しかし、反応はなく、呻き声は徐々に大きくなってゆく
「これっ・・・!ミッチが言ってた呪いのビデオ!?」
呻き声が部屋中に響き、頭の整理が追いつかず、恐怖心に駆られた櫻子は部屋の隅に走ってゆく。
すると、呻き声は途端に聞こえなくなっていた。
その時
一瞬の砂嵐がテレビに映り、映像が切り替わった時、井戸が中央に写っていた。
聞いた事がある。これはあれだ。
貞子だ。
井戸から出て来て、こちらに歩み寄り、テレビから出て来るあれだ。
案の定、井戸から手が伸びる。
「ミ・・・ミッチ!マルちゃん!!」
親友の名を呼ぶが意味を成さなかった。
徐々に井戸から姿を現す。白い服に身を包んだ女性。
髪は長く顔が見えない。
どうする事も出来ず、ただこちらに向かっているのを眺めているしか出来なかった。
そして彼女との距離が近くなり、ついにテレビから手が出て来た
「・・・!!・・・・・!?」
櫻子は声を出そうとしても、出せなかった。
恐怖心と、目の前で起きている光景に理解が追いつかなかった。
そして貞子の手が、櫻子を捉えようとした瞬間
「・・・・いって」
可愛らしい声が響いた。
「・・・え?」
櫻子も思わず変な声を出す。
「あ・・・・ヤバ・・・。髪引っかかってる。え?あれ?これ抜けなくない?」
「ちゃんと綺麗に髪を整えて準備して来たのにこれじゃ普段と変わらないじゃん!!!ちょっとそこのあなた!手伝ってくれます!?」
貞子は現代っ子の言葉を話しつつ櫻子に助けを求めた。
言われるがままに貞子に従う櫻子
「いでででででででで!!!!そっちに引っ張らないでください!!!!髪が!!!!髪がぁぁぁ!!!!一旦こっちに引っ張ってあでででででででででででででで!!!!!!!」
今にも抜けんばかりに髪が伸び、貞子は奇声・・・に近い悲鳴を上げる。
「こ・・・こうなったら・・・!!!一旦そっちに行くんで、上がらせて貰っていいですか!!?また仕切り直すので!!!!」
「(ハァァァァア!?)」
煩い声が響き、次第に櫻子の感情に異変が現れた。
「あんたさぁ」
ドスの聞いた低い声が貞子を襲う。
「ヒィ・・・!!は、はい・・・」
「何勝手に人様のテレビから現れて、無断で部屋に上がろうとしてるわけ・・・?」
「いや、だって抜けないですし!!このままじゃハゲてしまいますし!!!!」
「は?」
「ヒィィィ!!!」
櫻子の感情は更にエスカレートしてゆく
「そもそもなんであんた、テレビから出て来てるわけ?」
「いや・・・・貞子ですし・・・」
「お 邪 魔 し ま す は !!!!???」
「オジャマシマス!!!!」
櫻子は貞子を勢いよく引っ張り、貞子の髪が天を舞い犠牲になる。生贄召喚だ。
「あァァァああああああアアああアアアア!!!!!!!!!!!」
貞子の叫び声が虚しく響く。
後頭部に10円ハゲが出来た。
「・・・・助けて頂いてありがとうございました・・・・えぐっ」
「」
「その・・・貞子です・・・呪いしてます・・・うぐっ」
「」
「・・・なんで無言なんです・・・?ひっく・・・」
泣きながら挨拶とお礼を言う貞子。髪が抜け痛そうに手で抑えつつも、感謝は忘れない。
「あのさ」
「は、はい・・・」
「あんたって都市伝説のあの貞子?」
「は、はい・・・。」
「貞子って沢山いるのね」
「そう言う職業ですので・・・」
「職業あんのかよ・・・」
「テレビさ、壊れちゃったのよね」
貞子が出て来た(命がけで)テレビを指差す櫻子。
「す、すいません・・・」
「今日「ハッピースイートミルフィーユちゃん」があるんだけど」
「・・・ふぇ・・・?」
「ミルフィーユちゃんが最終変身するんだけど」
「ミル・・・え・・・?」
沈黙する貞子。その時天使が貞子に微笑んだのか、救いの光が
櫻子の携帯がピロピロピロと鳴った
「はーい。あ、ミッチ?うん、そだよー。あら、わかった、来週ねーマルちゃんも?残念、じゃーねー」
ミッチとマルちゃんは来れなくなったと言う。
「あー良かった。今日来たら大変な事になってたわ」
「んで、いつまでいるの?」
「えっと・・・その・・・」
「テレビから帰りなさいよ」
「帰りたいのも山々ですが・・・壊れちゃって(小声)」
モジモジしながら目を逸らしつつ、指を指したが
「それあんたがやったんでしょうガァ!!!」
「引っ張ったのはあなたでしょううううううう!!!!!(大泣き)」
助けを請うたのは悪かったが、自分だけに非があるとは思えず、貞子も反論する。泣きながら。
「はぁ・・・分かったわよ。悪かったわ」
「えぐっ・・・ひっぐ・・・・」
「ほら、もう泣かないの」
「取り敢えずテレビ治るまでうちに住みなさい。こっちにも非があるし・・・立てる?」
優しく手を伸ばす櫻子。
その手を握る貞子。
「えっと・・・お名前・・・」
「櫻子よ。貞子・・・でいいの?」
「櫻子さん、素敵なお名前ですね・・・私は」
「カプリチオ・アナスタシア。ロシア人です」
「嘘つけええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」
櫻子の怒声が響いたのだった。
貞子って髪上げたらすんげぇ美人だとオラ思うんだ!(武闘伝並感)
初めまして、ゲソシカです。
このお話は、数十分で思いついただけなので、めちゃんこ文章があれです。
と言ってもいつもあれですし、大差ないんですけどね
メモみたいな感じで書いてますので、よければ
書いてる時悪寒とか視線感じましたが、気にしない気にしない。
櫻子ちゃん怖いね、僕なら関わりたくないよ。
どっちが都市伝説なんでしょうね