こんにちは
ここはとある学校のとある教室。五組ある中の末端に位置する、普段から静かな教室だ。この五つある教室の廊下は先が行き止まりになっており五組に用事がない限りほとんど人が通ることがない‥‥はずだったが今現在、近年稀に見る人だかりが全ての窓ガラスを隠していた。
そこでこの人だかりが現れた要因についてだが、ギャラリーの目線が集まる教室中央そこにはある男子生徒が、まるで受け身をとったかのような気持ち楽そうな体勢で倒れていた。時間帯的に今は授業中、倒れた物音で集まった人たち集まる視線、それをどこ吹く風かのように授業担当の教師がスタスタと前へと歩み寄る場面であった。
そして男性教師の大きな体を見上げると彼はこう尋ねてきた。
「どうした、大丈夫か?」
僕はそれを当然の反応だとは思わなかった。前にも同じようなことが起こったからなのか皆、平常心でそれが起こった授業のときと同じ教師であるものだから幸運だった。
差し出された右手、僕はそれを掴もうと同じく右手を伸ばそうとしたが思うように動かなかった。
「先生、体が動きません‥‥」
(前よりも酷くなってる)
この発言をした後、次にまたこの症状が起きたらどうなってしまうのだろうかと思うと恐怖を感じた。
「そうか‥‥まず、保健室に運んでやろう」
教師は「自習にする」と指示を出す。すると生徒たちは各々に会話を始め教室が一気に騒がしくなった。廊下の人々も各教室へと散っていき少し緊張が解かれたような気がした。
再び教師が「静かにしとけよ」と釘を打つが静かになることはなかった。そして活力の抜けた自分の右腕を掴んで引き上げるとこう聞いた。
「君、名前なんだっけ?」
「お、俺、吉田です」って。