聖霊ルカ
「・・・・・・この世界は嫌いだ」
「生まれたときから人はなぜ優劣をつけられるんだ」
「みんな平等じゃないから・・」
「天才とか才能とかがあるからいじめがあるんだ」
「やーい!やーい!またあのむじゅくんが学校さぼってるぞ~」
「ちっ、また来た」
「この世界からいなくなりたい・・・」
1年前。
僕は、ここ高神学園に転入してきた。
咲き誇った桜に、楽しげに歩く高校生たち。
僕は、新しい学園生活をすごく楽しみにしていた。
「じゃあ一人ずつ自己紹介をしようか」
「つぎは・・・・空羽 大地君」
「はいっ!」
緊張しながらも黒板のほうに行って名前を黒板に書いて自己紹介をする。
「空羽 大地です!よろしくおねがいしますっっ!」
・・・・・・・
「あはははははははは!!」
みんなが大笑いしだした。
「空に大地??どっちかにしろよ~~」
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その日から僕は、矛盾 あだ名で、むじゅくんとよばれるようになった。
いじめられて1年が経つ。僕は、どれだけの時間を無駄にしたのだろうか。
ずっと学校に行かないで、ただただこの川原でぼっ~としているだけだ---
でもどうでもいい。どうせ時間があっても、何もすることがないのだから。いじめられるだけなのだから。
びっびっ
何かが僕の頭に響いてくる。
「こいつらを殺せ~~~!」
「きゃぁぁぁぁ」
ずどっ!ずどっ!と何か壊れる音も聞こえる。
しゅん。
音が消えた。
「なんだったんだいまの?つかれてんのかな、へっへっ」
と馬鹿らしく笑いながらどこか考えている様子で、家へと帰る。
「くぅ~!おかえり~ご飯できているわよ」
家に帰ると家族がまっている食卓へといく。
家族は別に嫌いではなかった。むしろ申し訳ないと思っている。
こんな学校に行かない僕でも、いつも気にかけてくれて、心配してくれるからだ。
「くう、どう?今日はあなたの好きなパスタよ?」
「うん。おいしいよありがとう」
嬉ながらも、申し訳なさを隠しきれず答えるくう。
と--------
びびっ
「ここはもうおわりだぁぁぁ!」
「ここはわれが支配した ははははは~!」
高らかに笑う声が響くーー
しゅん。
まただ。なんなんだこれは。
「ごめん、今日は疲れたから寝るね。おやすみ」
と告げ、思いつめたような顔をして自分の部屋に戻り、布団に入る。
今日はなにかおかしかったな、早く忘れて早く寝よう。
くうが寝てから3時間後ーー午前2時。
「-------つながったーーーーーー」
目をあけると、そこには変なひらひらとした聖霊がいた。
「こんばんわ、私の名前は、ルカ」
「説明している暇はないの!この光景を見て!」
輝く光につつまれたくうの目の前に不思議な世界が映像として現れた。
「ひゃははははは、この世界はもうおれのものだー」
「やりましたね、ズザさん!」
そこら中から火が舞い上がっており、家は燃え、人はぼろぼろになって倒れている。
「ひどい。これはなんだ。あの倒れている人をはやくたすけないと!」
悲しい顔で、首を横に振るルカ。
「あの人たちはもう死んでるの」
くうが見たことない風景がつぎつぎと現れ、とても信じがたい気持ちになっている。
「ここはこの星とは違う世界、名をーーエイランドーーー」
「ここを救ってほしく、あなたにお願いに参りました。」
呆然と立ち尽くす、くう。
「な、なんでぼくに?ぼくはなにもできないし」
ましてやいじめらていたんだ・・・・・・
「あなたには素質があります。それはなぜだか私にはわかりません。」
「しかし、これほどの素質を持った方を私は見たことがありません。どうかお願いです。助けてください。」
きれいな青々とした目で見つめる。嘘をついているような目ではないことがわかる。
ぼくにできるんだろうか。
何もできない僕に何かできるのなら。いじめられている僕が誰かのたすけになれるのなら。やってみよう。
ぼくができること、目標はやっとみつけれるんだ。
「わかった、ぼくやるよ」
迷うことのない眼、真剣なまっすぐとした声が響き渡る--
「ありがとう。ありがとう」
ルカは泣いてお礼を言った。
その姿がなによりその世界を愛しているということがわかった。
「ここは100年後の世界ーーー未来の映像です」
「私は、100年後からきました」
「このような世界にならないためにも、救ってください」
涙を流しながらおねがいをされる、くうはただただ、うん。しかいえなかった。