おまけ
おまけ作ってみました。
すごく短いので、おつきあいいただけましたら幸いです。
とある手紙を手にして、私は心が苦しくなった。
『どうか、リコを返してください
沙樹子』
「……ママ」
突然の、母からの手紙。
変わらない字、なつかしいな。
でも、私神様になっちゃったから会えないよ。
ちょっと悲しくなりながら、私は手を動かした。
これどーなるんだろ。
仕分け終わり、風ちゃんを呼んだ。
「風ちゃん、お疲れ様」
「リコ様もお疲れ様です!こちらは閻魔様に届けていただきたい分です!」
「はい、受けとりました」
「では僕はこちらをお預りしますね!ありがとうございます!」
「うん、よろしくねー」
ちゃりーん
私は自転車に乗りながら考える。
あの手紙がどうなるか、閻魔様に聞いたら教えてくれるかなー?
聞いてみよ。
コンコン
「はーい。リコちゃんお疲れ様ー」
「お疲れ様です、閻魔様。書類持ってきましたよー」
「ありがとねー、入って」
閻魔様の後ろについて、廊下を進む。
ついでに聞いてみる。
「閻魔様ー、聞きたいことがあるんです」
「んー?なあに?」
「私の母からね、私に会いたいっていう内容の手紙が来たんです。私、母に会えますか?」
できれば会いたいんだよねー、ママ元気かなー?
「リコちゃんのお母さんー?会えるよー」
「え!ほんとにですか!?」
「さすがに今から会っておいでは無理だけど、リコちゃんのお母さんが亡くなって、私のところに来てくれたらね。その時はリコちゃんに伝えるよー」
「あ、普通のと同じなんですね」
神様だからなんか違うのかと思ってたわ。
「うん、会えるから安心してー」
「ありがとうございます!」
そんなことを話してたらいつもの部屋についた。
「今日はこれだね」
「はーい、お願いします」
「では失礼します」
「ん、気を付けてねー」
ちゃりーん
「よかったー、ママに会える」
自転車を漕ぎながら考える。
ママに会いたいけど、それはまだ先でいいや。
まだまだ生きてほしいしね。
それから数十年後。
「リコちゃーん、今から来れる?」
突然の閻魔様からの呼び出し。
お?なんかミスったか?
ビクビクしながら閻魔様のもとへ。
コンコン
「リコちゃん、急に来てもらってごめんねー」
「いえ、それは大丈夫なんですが、私なんかミスりました?」
おそるおそる聞く。
「違うよー。リコちゃんに会わせたい人が来たんだよ」
「……もしかして、母、ですか?」
ついに来ちゃった?
「行こ」
え、どうしよう、なんか禁鳥してきたかも。
心臓いたーい。
ガチャ
「ごめんねー、お待たせしました」
「いえ、大丈夫です。……え?」
「……ママ?」
「……リコ」
「うん、リコだよ。元気だった?」
「…………」
「ママ?」
「…………」
やばい、なんか俯いて喋ってくれない。
閻魔様いつの間にかいないし。
ママー、なんか言ってー。
「……リコ、なんでいきなりいなくなったの…」
「うん」
「とても、心配したのよ…」
「うん、ごめんね」
顔をあげたかと思うと、急に抱き締められた。
「リコ…!」
なんか私も泣けてきた。
「…ママぁ」
そのままふたりで号泣した。
目が腫れてしゃくりあげるまで、泣きづつけた。
「会えて良かったね」
「はい…、呼んでいただいてありがとうございました」
ママは天国に行った。
私を失っても懸命に行き続けたことを、閻魔様に誉められてまた泣いていた。
やめー、私も泣ける。
「ではこれで失礼します。また今度伺います」
「うん、気を付けてねー!」
会えて良かった。
引継をお願いしている閻魔様に感謝だ。
さあ、仕事再開だ。
少しでも多くの人が笑顔になれますように。
そう、"祈り"を込めて。
以上です!
お読みいただきありがとうございます!
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