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働く理由

あのときから災害はぴたりと止んだ。

みんなはまだいつ来るのかと怯えている。

怖いよねー、このまま来ませんように!!


そう思いながら、手を動かす。


そういえば、先日ようやく家ができました。

家って言ってもドアだけども。

おじいちゃん神様みたいなドア。

これで寝袋生活ともおさらばーと思ったが、ドアを開けるとそこにあったのはテーブルひとつ。

ベッドは。なしか。

なのでまだしばらく寝袋です。


でもテーブルのおかげで腰をかがめなくてよくなった。

前は床?だったからねー。

腰が痛かったんだー。


私もだいぶ仕事に慣れてきた。

仕分けして、お手紙を渡して、用事があれば閻魔様の所へ出張。

これだけ。

なにか手伝おうかー?と聞いても結構です!と返ってくる。

天使たちはみんな楽しそうに仕事してるんだ。

大変な仕事も多いのに。

…あとで風ちゃんに聞いてみよ。




「よし、今日の仕分けおしまい」

一束ポストに投函。

すると風ちゃんがやってきた。

…なんかバイクの後ろに箱くっついてるんだけど。

「リコ様ー!」

「風ちゃん、お疲れ様ー」

「お疲れ様です、リコ様」

「鈴ちゃんも来たの!お疲れ様ー」

私は二人のキュートな天使を抱きしめる。

「リコ様、くるしいですー」

「お離しください」

しぶしぶ解放する。

「じゃあ今日はこれだけ、よろしくね」

「はい!」

「リコ様、こちらを閻魔様にお願いします」

「はいはーい」

あ、そうだ。

「ねえ、二人とも」

「「何でしょう?」」

「二人は何でこの仕事をしてるの?」

風ちゃんは話し出した。

「人間は、死んだら選択肢をいただけるんです。天使、獄卒、そして魂。天使は神様に仕える、獄卒は冥界の神様である閻魔様に仕える、そして魂は転生を繰り返すために天国と地獄に行く。僕たちは転生を望まず、天使になりました。地上にいる人たちの願いを叶えるために。役職はくじみたいなもので決められました。」

「なんで転生を望まなかったの?生きてるときにいやなことでもあった?」

私は尋ねた。

「いいえ!生きてるときは幸せなことばかりでした!実は僕、人間としてもう279回も転生してるんです。」

「279!?」

それが多いのか少ないのかわからん。

「平均では転生は200回前後なんです。でも僕は、人生というものがあまりにも楽しすぎて、閻魔様にいっぱいお願いしたんです。次も人間に!って」

風ちゃんは笑いながら続けた。

「人として生まれたときには何も覚えていませんが、天に召されるときに今までのことを全て思い出すんです。僕は279回目の人生を終えたとき思ったんです。今度は天使になって、生きてる人たちを幸せにしてあげたいって」

「私は、人々を幸せにしたいと思ったと同時に、人の心を浄化したいと思いました。善い人もたくさんいますが、悪い人もいます。その人々を正したいと思ったんです。死んでからは閻魔様が叱り飛ばしてくださいますが、生きている人々にはどうすればいいのか悩みました。なので今、新しい部署を発足するための準備を進めています。悪い行いをした人々を叱り、諭すための部署です。リコ様には負担をかけてしまう所もあるかと思いますが、何とぞご理解いただきますようお願い申し上げます」

鈴ちゃんが深々と頭を下げた。

「す、鈴ちゃん!やめてー!私なら全然大丈夫だから!」

頭を上げるよう促し、やっと上げてもらえた。

「新しい部署か、楽しみだね」

「「はい!」」


「よしっ、閻魔様のところに行くか。風ちゃん乗せてー」

「そのことなのですがリコ様」

風ちゃんがバイクの後ろについていた箱を引きずって持ってきた。

箱を開けると、

「…ちゃり?」

「はい!この間のような忙しいときがいつ来るかわかりません。リコ様には、僕がいなくても閻魔様の所に行けるように、この自転車をお持ちいたしました!」

「…道、わかんないよ?」

「大丈夫です!ハンドルの下にあるライトが道を教えてくれます!スイッチはここです!」

スイッチを押すと、一筋の光が通った。

「この光の差すほうが閻魔様のいらっしゃる冥界です。これで大丈夫ですね!」

にこにこ笑う風ちゃん、くそ可愛い。

そうだよね、いつまでも風ちゃんに頼ってたら、風ちゃん仕事できないもんね。

「わかったよ。これからはこれで行く」

「お願いします!引継書はポストに投函してください。取りに来ますので!」

「おっけー。じゃあちょっと行ってくるねー」

「「いってらっしゃいませ!」」



ふたりに見送られ、私はちゃりを漕ぎ出す。

そっか、仕事って人を幸せにできるんだ。私の仕事も誰かの幸せに繋がってるのかなあ。

閻魔様にも聞いてみようかな。

なんで閻魔様になったんですかって。なりゆき、とか言いそうだな。

そう決めて、私は大きくペダルを踏み込んだ。






「なんで閻魔様になったんですか?」

「なりゆき」

「え」

まじか。


この話で完結とさせていただきます。

最後までぐだぐだで拙いこの作品をを読んでくださった方に、感謝申し上げます。


誤字脱字、おかしな表現などございましたら、ご指摘いただけますと幸いです。

ありがとうございました!

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