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はじめまして。

3話目です。

「まったく、手伝ってやるのは今日だけじゃからの」

「…うん、ありがとね神様。ていうか仕分けの仕方聞いてなかったよ。」

「…すまぬ。忘れておったわ」


手紙は内容別に仕分ける。

『あの人を探してください』や『あの人に会いたい』のような、生物に関する生物的依頼タイプ、『あれが必要』や『失くした物を探してください』のような、物に関する物的依頼タイプの大きく二つに分けられる。

同じ捜索の依頼でも、生物的か物的かで優先順位が変わってくる。

さっきの『猫を探してください』の依頼は、捜索の生物的依頼の部類なんだそう。

このふたつの中で、特に緊急性が高いものは特急依頼として扱う。

たとえば『うちのペットが怪我をしました』や『息子が死にそうです』などの、負傷・生死が関わってくるものとか。

これは見つけ次第すぐポストに投函し、風ちゃんに取りに来てもらわないといけないそうだ。


私はとりあえず、今日の分だけ手伝ってもらった。



――――数時間後――――

「やっと終わったあ!」

「お疲れさん」

今日の分はとりあえず仕分け完了。


「仕分けって聞いてたから楽かと思ったけど、結構たいへんだね」

「まあ単純作業じゃが、なんせ数が多い。明日からはこれをひとりでこなすのじゃ」

「…がんばります」

「じゃあ、わしは帰るぞ。…そうじゃ、そなたはまだ家がないじゃろう。これを貸してやろうと思っての」

私はさし出された布のようなものを受け取った。

広げてみるとそれは…

「寝袋?」

「今日はそれを使いなされ」

「ちょっと期待したよ。布団渡されたって」

持ったとき軽かったから違うわって思ったけども。

「ないよりはましじゃろ。じゃあ、お休み」

神様はそう言って帰っていった。

「…寝よ」

私は寝袋の中に入った。

「思ったよりあったかい」

そのまま、夢の中に落ちていった。



「…んー、…え?」

朝、目が覚めると、私はとんでもないものを発見した。

「…やばいわ」

手紙がポストから溢れてる。

はやく裁いていかないとたいへんなことになる。

「…とりあえず、トイレ」



「やろかー」

なんかさっきより増えてね?

私はまず、溢れてる分をかき集め、仕分けしていく。

「これは物、…これは人、これも人。あ、これ特急だ。」

すぐポストへ。

すると、すぐに風ちゃんが来てくれた。

「リコ様ー!」

「風ちゃんありがとー!ポストに入ってるの特急だから持ってってくれるー?」

「はい、お預かりました!それでは急いで持っていきますね!リコ様お仕事がんばってください!」

「はーいお願いします。風ちゃんもがんばってね!」

風ちゃんは一瞬で行ってしまった。

何百通のも手紙を、まずは生物的と物的、特急に分けていく。


次はさらに細かく分けていく。

「捜索、願望、…これは要請」

まだまだ山盛りだ。



――――数時間後――――

「やっと終わったー」

ようやく裁ききった。

あとは輪ゴムでとめて(天界なのに輪ゴムて)、再びポストへ。

すると、また風ちゃんが来てくれた。

「リコ様、お仕事お疲れ様でした!」

「風ちゃん、何度も来てくれてありがとね。お疲れ様です」

ふたりで頭を下げる。

「先ほどの特急依頼の人、助かったそうですよ!」

「ほんとー!?よかったあ」

いやあ、よかったよかった。

救済者セイバーの皆さんはすごいですね!」

救済者セイバー?」

「はい、救済者セイバーは、特急依頼特別部に配属されている天使なんです。医学・医療の知識に長けている人ばかりなんですよ」

「へえ、すごいねー」

私まだ風ちゃんと蓮と藍ちゃんしか天使と会ったことないよ。

「また機会があれば会えますよ」

「うん、そだね。あ、風ちゃんごめん、お仕事中だね。はいこれ」

私は仕分けた手紙の束を渡す。

「今日も多いですね。リコ様お疲れ様でした!」

「風ちゃんこそ。こんなにたくさん運んでくれて。お疲れ様です。」

風ちゃんはリアボックスに手紙を入れる。

「んー、入りきらないですね。リコ様、後でもう一度来ますので待ってていただけますか?」

「もちろん!何度もごめんねー」

「いえ!では行ってきます」

風ちゃんは一瞬で行ってしまった。

私はそのまま風ちゃんを待った。


数分後、風ちゃんは戻ってきた。

バイクに何か大きなものをくくりつけて。

「リコ様ー!」

「おかえり風ちゃん。それは何?」

聞いてみた。

「リコ様が捌かれるお手紙の量があまりにも多いので、分けるときに使える大きな箱をいくつか持ってきたんです」

なんちゅーいい子だ。

「風ちゃん…。大好きよ」

「僕もリコ様が大好きです!」

「風ちゃーん!」

私は風ちゃんを思い切り抱きしめた。

「リコ様ー、くるしいですよー」

「ありがとねー、風ちゃん!じゃあ残りのお手紙も運んでくれる?」

「はい!」

風ちゃんはせっせと手紙の束をリアボックスに入れた。


「それではリコ様、僕はこれで失礼します!」

「うん、ありがとう。帰り気をつけてねー」

「はい!」

風ちゃんは一瞬で行ってしまった。


「さて」

今日の仕事は終わった。

つまり、することがない。

「…寝るか」

私は、昨日神様にもらった寝袋をひろげた。

「起きてまた手紙が溢れてたら怖いなあ」

寝袋に入ろうとしたとき、

「リコ様ー!」

風ちゃんの声がした。


「風ちゃん?どうしたの…」

振り返ると、バイクに乗った風ちゃんの後ろに誰か乗っているのに気づいた。

「…誰?」


「はじめまして、新しい神様。私は鈴と申します。事務局で、仕分けられた手紙の確認・振り分けを担当しております。」

風ちゃんくらいの女の子だった。

「はじめまして、鈴ちゃん。私はリコです。よろしくね」

「よろしくお願い致します。本日は、手紙の中に対応不能の手紙が入っていたためお持ち致しました。」

「対応不能?」

なんだろそれ。

「はい。対応不能の手紙、私たちは不受理依頼と呼んでおります。不受理依頼とは、その名のとおり受理できない依頼です。内容としては、『不治の病を治してほしい』や『死者に会いたい』など、死にまつわるものです。今回の依頼は『死者に会いたい』というものでした。」

「へー。それって、私が何かしないといけない仕事があるかんじ?」

「はい。神様には、この手紙を持って、閻魔様のもとへ行っていただきたいのです。」

「閻魔様って、お前は地獄行じゃーとか決める人?」

「はい。閻魔様は死者の魂の管理をなさっています。神様には閻魔様のもとへ行き、この手紙を渡していただきます。そうすれば、あの人はいつ何をどうすれば最善か、対応してくださいます。」

「渡せばいいんだね?」

「はい」

「閻魔様ってどこに行けば会えるの?」

「閻魔様のいらっしゃる冥界の門のところまでは僕がお送りしますよ!」

風ちゃんは小さな手を挙げた。

「これも彼の仕事です」

風ちゃんって忙しいな。



「ではリコ様、しっかり掴まっててくださいね!」

風ちゃんからヘルメットを受け取り、後ろに座らせてもらう。

…こわいなー。

「行きまーす!」


ギュン

「!!!」

いつものように怖かった。


「リコ様、ここです!つきましたよ!」

私が思ってたよりも冥界の門は普通だった。


コンコン

風ちゃんが門を叩いた。


「はーい」

中から出てきたのは、きれいな女の人。

受付さんかな?藍ちゃんみたいな。

「あ、風。こんにちは」

「こんにちは、閻魔様!」


は?


「閻魔様、こちらが新しく神様に就任されたリコ様です。リコ様、こちらが閻魔様です」

「そうなんだー。はじめまして、閻魔です。あのじいさんが連れてきた子って聞いてたから、おっさんイメージしてたわ」

「は、はじめまして。リコです。私も閻魔様ってもう少し怖そうな人かと思ってました」

ぜんぜん閻魔様って顔してないよ。

そもそもなぜ閻魔様自ら出てきてくれるの。

「で、今日はどうしたの?」

「閻魔様にお手紙を渡しに来たんです!リコ様、お手紙を」

「あ、手紙ね。…これです」

「ふーん、どれどれ…」

閻魔様が読み始める。

「あー、おっけー了解した。ちょっとリコちゃん中来てくれるー?」

「リコ様行ってきてください!僕、ここで待ってますので!」

「え、風ちゃん一緒に行ってくれないの!?」

「風がこの中入ったら、一生天使には戻れなくなるんだよー」

「そういう訳ですので!」

「そっかー、わかったよー。すぐ戻って来るからねー」

「はい!」

私は閻魔様の後を追った。


連れてこられたのは、真ん中に机のある広い部屋。

「ここでいつも死者の魂を裁いてるの」

閻魔様はそう言って、机の引き出しから分厚いファイルを取り出した。

「たしか、このページ…、あった」

閻魔様は、ひとつの名前をさした。

「阿達宗太郎くん。ここの『宗太郎に会わせて下さい』って言ってるのがこの子のお母さん。この前ここで宗太郎くんとお話したんだー。ずっと病院生活でまともに歩いたこともなかったそうだよ。列に並ぶときにいっぱい歩けて楽しかったって喜んでた」

閻魔様は嬉しそうに話した。

「この子のお母さんが死んでここに来たとき、そこでなら宗太郎くんと会わせてあげられる」

「!!!」

「今は無理だけど、ここでなら会わせてあげられるよ。それでもいい?」

「…はい、ありがとうございます」

「うん」


そう言うと閻魔様はなにやら書き出した。

「これを風に渡して。事務局で処理してもらう書類だよ」

「はい、ありがとうございました」

「また遊びにおいでねー」

私は、閻魔様のもとを後にした。


門を出ると、風ちゃんが大きなバイクに座って待っていた。

「風ちゃん、おまたせー」

「リコ様!おかえりなさい!」

「これ、風ちゃんに渡してって閻魔様が言ってた」

「はい、依頼引継書ですね。たしかにお預かりしました」

「よろしくね」

「はい!ではリコ様、帰りましょう」

私は風ちゃんからヘルメットを受け取り、後ろに座らせてもらう。

「行きまーす!」



ギュン

…ちょっと慣れたかも。



「つきましたー!」

「ありがとう風ちゃん」

帰ると、神様と鈴ちゃんがお話していた。

「そうかい。元気にしておるのか。」

「はい、おかげさまで」

こちらにぜんぜん気づかない。

「ただいまー」

「お帰りなさいませ、リコ様」

「おかえり、閻魔はどうじゃった」

「すっごい美人さんだった」

めっちゃ緊張したよ。

「ではリコ様、僕たちはこれで失礼します!」

「また何かありましたら、こちらにお伺いします」

ふたりは帰っていった。

「じゃあ、わしも帰るの」

「うん、神様ばいばい」


ばたん


「…さて、寝るか」

ようやくだ。


今日も大変でした。

明日もがんばります。


閻魔様登場しました!

すっごい美人さんだそうですよ。


誤字脱字、おかしな表現など発見されましたら教えていただきたいです。

よろしくお願いします(‐人‐)


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