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作者: むなぞう
掲載日:2016/04/11


 生前、祖母はこんな事を言っていた。


「みんな、なんも話してくれないんだもんな」


 独特な東北訛りで、かわいらしい高い声で、悲しい一言。


 でも俺はなんとなく分かった。俺も同じ事を思った事がある。



 物心ついた時から、周りの人間は親父の事は何も言わない。遺影は何も話さない。


 そう。

 誰も何も話さなかった。そして、俺もあまり興味が湧かなかった。


 だから別に、誰を責めるとかはなかった。


 だいたいの親父の情報は俺から聞いた事が多い。たいした情報量ではないが。





 そもそも、なんで祖母がそんな事を言ったかといえば、俺が離婚したと報告したからだ。最期に会った時にそんな報告をした最低の孫。嘘つけば良かったのかな。事情があって今日は来れなかった。ちょっと体調が悪くて。


 今まで、喜ばれるウソも哀しくなる嘘もたくさんついてきたけど、俺は本当の事を話した。




 人は死ねば忘れられる。


 忘れるというか、生者にとって重要なのは想い出よりも現在を生きるエネルギー。

 想いが原動力になるときもあるが、永遠で確かな物でもない。



 祖母には嘘をつけなかった。

 理由は、多分。祖母から嘘をつかれた事はないから。

 今まで生きてきて、唯一の人かもしれない。




 おじさん、何もあなた独りで背負う事はありません。


 あなただけの家でもありません。


 親父が産まれた家。


 祖母が一人で住んできた家。



 本音を言えば、少しあの家に住んでみたい。


 親父が観た、同じ朝の景色を観てみたい。

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