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真夏の三角頭巾  作者: 新井知恵
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自分-無-存在

窓の外には深い霧が立ち込めている…



連日の雨で窓の淵はカビに侵されていた。

「カビってすごいな。生命力に溢れている。」

独り言を呟いた…

無音の室内に虚しく声が響く


私は再びナイフを握り締めた。

やっぱりダメだ勇気が出ない、「楽に死ねたらな…」自分が情けない。


別に死にたくなるようなことがあったわけじゃない。ただ、自分が生きている意味がわからない。 家族も友達もいるし、生活に苦しいわけでもない。でも同じ毎日が退屈で仕方ない

何のために生きているんだろうなんて考えるのは余裕のある証拠だよね

なんか思春期って感じ、

なんて友達に言われたが、お前はなんで大人目線なんだよなんて思ってムカついたから殴りつけてやった 。あの子はわたしを完全にバカにしていた。

退屈でしかたなかったので最近は夜の徘徊にハマり出した。 深夜のエキセントリックな雰囲気が私の心中とマッチした。

その時にふと死にたいとおもった

こんなこと考えるなんて中2くさいなと自分でもおもった

でも何度も徘徊を続けるうちに本当にその思いが増してきた。

死のう…

なにもやりたいこともないし、生きてる意味なんてないよね。

生んでくれた親には申し訳ないけど

必死に生きるなんてバカくさい。

そしてわたしは台所のナイフをこっそり持ちだした。そして今に至る。


手首に傷を付け始めて1時間たった、まだ血は流せない。

「じわじわくるのはやっぱだめね、一発で楽にいける方法ないかな…。」


一瞬飛び降りることを考えたが死んだ姿を想像すると嫌になった。


常に虚無感に追われていたくせに死を想像すると恐怖を感じる自分が情けなかった。

結局自分は甘ったれたがきにすぎないのだ。


悔しくて思いっきりナイフを壁に投げつけてやった。ナイフは刺さりもせず虚しく壁に跳ね返った。

しばらく何も考えたくなかった。

窓からの日差しもなくなり私は次第にねむりについた。



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