断章【乙女の指輪】
慈悲深き王の雫が地を濡らす
地は喜びのままに濡れ、清浄なる命を孕む
濡れし大地は、実りを宿し、国となる
旅人よ 果てぬ旅を続けるひた向きな迷い子よ
汝、何を求むる
旅人よ 温もりの届かぬ夜闇の中でも進まんとする気高き迷い子よ
汝、何を求むる
疲れ果てた身を草にゆだね 石を枕に風を聞く迷い子よ
汝、何を求むる
王の御心を感謝せよ
疲れ果てたその身のために王はいつどこにでも慈悲の寝床を与えん
険しき旅の先に新たな光景を与えよう 日は暮れ 風は凍える
疲れ果てた足と腹に糧となる実りを与えよう
導きのない凍える夜の先に温かな陽光を与えよう
足を止めぬ旅人よ 探し求める旅人よ
希望の灯を燃やし尽くし 絶望の底を知る旅人よ
王は汝のそばにいる
王の慈悲に感謝せよ
苦難に喘ぐ迷い子よ
辛苦に涙する迷い子よ
悲哀に囚われし迷い子よ
尊き王は救い給えん
王に愛されし者よ
王に選ばれし者よ
汝は約束されるだろう
汝の望むもの全てがその愛のもと手にすることを
王の導きのままに
清浄なる乙女の祝福を汝に与えん
清廉なる乙女の理力を汝に与えん
求めよ、求めよ、
尊き王を象るものを
汝、王なり、汝、王なり
すべては王の手に……
すべては汝の手に……
グルダニア古聖歌・乙女の指輪より