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第5話 なぜか使えた別世界のスキル

######### side トルク #########

その後、しばらくバイトと訓練の日々を過ごした。

ほぼ毎日ダンガンと、まれに茜と訓練をしていた。

おかげでレベルが上がったほか、ダンガンとPvP形式で訓練できるようになり、

近接戦闘でもある程度の攻撃を避けられるようになった。


レベルも18に上がったし、そろそろスキルの確認をしよう。


それに今まで一度も町の外にでてなかったな。

…戦闘職らしくないとかいうのは気のせいだ。


ついでにクエストを受けておくか。


冒険者ギルドの扉を開けると、それなりに人がいた。

朝の時間にクエストを受けて出発すれば、その日のうちにクリアできる可能性も高くなるから当然だよね。


「おはようございます、トルク君。訓練ですか?」

カウンターで受け付けをしている女性、セリスさんに声をかけられた。

普段僕が訓練している昼の時間帯はカウンターの仕事が少ないらしく、たまに雑談していたのだ。

そのため、お互いの名前と顔を覚えられるくらいには仲良くなった。

ちなみに有料で少し読み書きを教えてもらった。

「おはようございます、セリスさん。クエストを受けようと思いまして。」

「そうでしたか。どのクエストになさいますか?」

「それなんだけど、草原ウルフの適正レベルっていくつ?」

草原ウルフは、群れで行動するアクティブモンスターの中でレベルが一番低いそうだ。

実践にはちょうどいいはず。

「12です。ただ、群れで行動するモンスターですので、パーティの推奨レベルです。

ソロでしたら14~16ですね。」

許容範囲だ。アーチャーだし、慎重に戦えばなんとかなるだろう。

「では、草原ウルフの討伐クエストで。」

「『草原ウルフ』ですね。かしこまりました。

…手続き完了しました。気を付けていってらっしゃいませ。」


"クエスト[草原ウルフ20匹討伐]を受けました。

草原ウルフの生息地はフェードの森周辺およびフェードの森の中です。"


冒険者ギルドでクエスト手続きを終え、町の外に出るために門に向かう。

この町の門は昼に開けて夜に閉める。

門が開いている間は、よほどの理由がない限り身分証明を必要とせず町に入れることができる。

門が閉まっているときは町に入れないが、詰所に連絡を入れることができる。

なかなか適当だが、モンスターから住民を守るための門なのでそれで充分なんだそうだ。


門を抜け、草原ウルフの生息地に向かう。

森がよく見えるところまで来たけど、どこにいるだろう?

なぜか近くにいるような…


「うわ!」


あたりを見回していたら、左のほうから草原ウルフが飛びかかってきた。

視界にいなかっただけで、近くにいたようだ。

気づいた直後に1歩下がったため回避できたが、間合いを詰められてしまった。


飛びかかってきた方向から2匹の草原ウルフがこちらに近づいてきたので、相手は合計3匹。

肉食動物の習性を考えると、背を向けて距離を稼ぐのは悪手だよな。


つまり弓で近距離戦をし、ひるんだところで距離を取るしかないのか?


…初の討伐クエストでいきなりピンチか。

考え込んでいたら、後から来た2匹が跳びかかってきた。

とっさに左へ跳ぶが、残りの1匹が噛みつこうとしてきた。

「偽撃ち!でもって速射!」

噛みつこうとしてきた1匹を[偽撃ち]でひるませ、間をあけずに躱した2匹の片方を[速射]で射抜く。

[偽撃ち]は、モンスターをひるませるスキルで、

[速射]は、狙ってから撃つまでの時間をほとんどかけずに攻撃できるスキルだ。

幸運にも足に命中した。そのせいか、うまく走れないようだ。

ひるませていた1匹が再び噛みつこうとしてきたので、右に跳んで躱し、そのまま射抜く。

足ではなかったが命中した。

その直後、背中から何かが勢いよくぶつかってきた。

「うわわ。」

転びながらもすぐ体勢を立て直す。

どうやら、先ほどの2匹の射抜かれなかったほうがぶつかってきたようだ。

ただ、ダメージは少なかった。おそらくレベル差のおかげだろう。

周囲を警戒しつつ、ぶつかってきた1匹と噛みついてきた1匹に[連射]で射抜く。

[連射]は、名前の通り、複数の矢を連続で放つスキルだ。

その後、足を射抜かれた1匹が飛びかかってきたので、躱してすぐに振り向く。

すると、ちょうど3匹の草原ウルフが集まっていた。

「チャンス!

五月雨!」

複数の矢をまとめて空に向けて放つ。

すると、上空で3つに分岐し、草原ウルフたちに降り注いだ。

複数のモンスターを同時に複数回攻撃するスキル[五月雨]だ。

ちなみにスキル名を宣言する必要はない。

テンション上がったから言っただけで、僕は中二病なんかじゃない!

…なんで自己弁護してんだろ。


今の[五月雨]で草原ウルフたちを倒したようだ。

しかし、アイテムをドロップしないし、遺体も消えない?

『Hunt and Farm』の[解体術]のせいか?

いや、ここはリアルだから当たり前だった。

放置はよくないし、解体しとこ。


肉と毛皮と牙をとって、残りは廃棄だな。


… 草原ウルフ、解体中 …


解体完了っと。

不要部分は穴掘って埋めとこう。

それじゃあ狩り再開。

さっきみたいなことは避けたいし、もう少し慎重に行こう。


… 草原ウルフ狩り、進行中 …


規定の20匹を狩ったな。

いつの間にか森の中だし、途中でクマを1匹倒しちゃった。


さて、よく考えずに『Hunt and Farm』のスキルを使っていたけど、

『蒼穹のつながり』のスキルの発動方法ってどうやるんだ?


「あれ?」

『Hunt and Farm』のスキルの一部が『蒼穹のつながり』のスキルの後にカッコつきで書かれてる?

(例:クイックショット(速射))

確かにスキルの内容は同じだけど、なぜひとまとめにされてるんだ?


この世界で適用された状態になったってことなのかな?

他にも試してみよう。


… スキル実験中 …


スキルの使い方は『Hunt and Farm』同じで、技の型を思い浮かべながら動けばいいようだ。

そして、両方のゲームに存在するスキルは『蒼穹のつながり』のスキル名に直されるけど、

『Hunt and Farm』にしかないスキルはそのままのようだ。


### スキルリスト ###


<パッシブスキル>

『Hunt and Farm』

暗視

遠視

警戒

落射

短剣の心得

弓の心得

農耕の心得

生産の心得

解体術


『蒼穹のつながり』

レンジアタック


<アクティブスキル>

『Hunt and Farm』→『蒼穹のつながり』

速射→クイックショット

連射→ガトリングショット

破壊の矢→パワーショット

偽撃ち→フェイント

五月雨→レインショット

援護射撃→サポートショット


『Hunt and Farm』

報いの一矢

天落矢

集中

採取

調合

耕耘

伐採

料理

木工

紡織

製錬


####################


こんなところか。

昨日新しく習得したと思っていたスキルは、もともと保持していたスキルが変化しただけのようだ。

ちょっと残念。


アイテムはどうだろう?


これは名前が違うだけで、この世界にも同じアイテムがあったな。

お、これはどうだろう?


… アイテム効果実験中 …


結構有意義だったな。

持っているアイテムは全部使えそうだ。


「トルクじゃない。こんなところでどうしたの?」

見られた!?

いや、それなら今の発言は出ないはずだ。大丈夫大丈夫。

振り向いた先には茜と2人の女性がいた。おそらく茜のパーティだろう。

「レベルも上がってきたからウルフ狩りを兼ねて腕試しに来たんだよ。

そちらの方々は?」

「姉黄だよ。

ベースジョブはファイターで、サブジョブはアーマーナイト。

君がトルク?

よろしくね。」

「エリーと申します。

ベースジョブはメイジ、サブジョブはプリーストです。

トルクさんのお話は伺っていますよ。

よろしくお願いします。」

いったいどんな話をしたのさ。

「訓練場の話をしただけよ。」

また、考えていることを読まれた。

そんなに

「わかりやすいわね。」

「うぐ。」

ばればれか。

「それにしても、」

茜がにらみつけるようにこちらを見た。

「腕試しって、ここ[フェードの森]の適正レベルは20よ。

まだサブジョブについていないようだし、ずいぶん危険な真似するわね。」

げ、そうだったのか。

ソロプレイヤーが適正レベル以上の狩場に来ていたら危険だよな。

「ここの適正って20だったの!?

道理で苦戦するわけだ。」

「あら、その割には大してダメージを受けていないようだけど?」

「ポーションで治したんだよ。」

「そういうことにしてあげましょうか。」

ふう、納得して

「レスタに戻ってからでも聞けるんだし。」

なかったー。

「ふふ、冗談よ。このくらいで勘弁してあげる。」

またからかわれたようだ。

「茜。心配したならそう言ってあげたら~?」

「そうですよ。素直に伝えたほうがいいですよ。」

「そうじゃないわよ。もう。」

「なんか興味持たれているけど、本当にどんな話したの?」

「男と話していたことを勘ぐられているだけよ。

本当に大したことは話してないわ。」

女性は恋話が大好きというからそうなるか。

話題を変えよう。

「そういえば茜のレベルは?」

「22よ。ちなみにサブジョブはファイター。」

「へぇ。近接戦闘特化型かぁ。」

「正確には索敵しつつ前衛をこなす役よ。

戦闘特化というほどスキルを片寄らせていないからね。」

確かに索敵は重要だ。

でも、サブジョブをローグにするほどでもないよな。

ローグほどじゃないけど、アーチャーでも索敵用のスキルがあるようだし。

早くサブジョブについて、レベルを上げたいところだ。


そうこう話しているうちにレスタに到着した。

「町についたし、解散しましょうか。」

「フレンド登録をお願いしますね。

あと、今度私たちとパーティーを組みませんか?」

「あ、あたしも。茜との進展があったら連絡よろしく。」

「だからそういうのじゃないってば…。」

女3人集まればなんとやら。

それにしても、この流れでフレンド登録を断るのは無理だなぁ。

「登録完了っと。パーティーのほうも縁があればよろしくお願いしまーす。」

解散した後、クエスト報告のためにギルドへと向かう。


「こんばんは。クエストを達成したので確認お願いします。」

「お疲れ様でした。

…草原ウルフ討伐依頼の完了を確認しました。

報酬はこちらです。」


"クエスト[草原ウルフ20匹討伐]を完了しました。"


報酬は経験値と1500リルかぁ。

バイトと比べると時給は同じくらいかな。

経験値が多めに入ることとモンスターの素材を剥ぎ取れる分を考えれば、

討伐クエストのほうが稼ぎがいいみたいだ。


とりあえず、討伐クエストでレベル20まで上げることにしよう。

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