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魔女っ子はつらいよ  作者: 黒辺あゆみ
2話 魔女っ子のライバルはたいていチート
7/8

その3 天は二物を与えないのではなかったか

あれから時は過ぎ、瞬く間に中間テストが終わった。そう、終わってしまったのだ。

「響ちゃんどうだった?」

全教科のテストが終わり、燃え尽きて真っ白になっている私に、みっちゃんが尋ねる。調理実習以来、みっちゃんは私と音無類の近くに寄るようになった。クラスメイト曰く、「結界を抜けた!」らしい。そんなもんを施した覚えはない。いや、隣の男の無言の「近づくなオーラ」は結界と呼んでもいいかもしれない。

 とにかく、調理実習以来良く話すようになったみっちゃんは、私の燃え尽き具合を見て、聞かずとも察したようだった。

「まあ響ちゃん、終わったことは忘れて、早く帰ってお茶でもしようよ」

お茶って、みっちゃん地元には喫茶店やファミリーレストランのような学生の集う場所なんぞありませんが。

「響ちゃんの家って、私の家より近いよね」

にっこり笑顔でゴリ押ししてくるみっちゃん。・・・なんだか魂胆が読めてきたぞ。

「いいなぁ、僕も一緒に行きたい」

どこからか委員長まで沸いた。委員長も結界抜けを果たした一人である。

 ええぇ~、キミたちウチくるの?



「おかえりなさい梓さんに類。お友達もいらっしゃいませ」

「「お邪魔しまーす」」

「「・・・。」」

というわけで、みっちゃんと委員長をお供に帰って参りました。午前中で学校が終わったので、私の家でご飯を食べることになったのである。どうしてこうなった。

イケメン慶二さんは、急な来客でも慌てず騒がず。音無類に電話で確認してもらっても、「梓さんや類のご友人は大切にもてなしましょう」とはりきってくださった。そこはやんわりと断って欲しかったです慶二さん。

「噂のイケメンを見れて役得だわー」

みっちゃんは慶二さんに会えてホクホク顔だ。

 音無類が私の家の離れに住んでいることは、実はご近所では知れ渡っていることなのだ。なので他所からの通学者はともかく、地元組は音無類の動向に結構詳しい。そんな地元組であるみっちゃんや委員長は、私の家のお宅訪問の機会をうかがっていたものと思われる。

 本日の昼食メニューはふわとろオムライスである。以前私がこのふわとろオムライスを絶賛して以来、頻繁に昼食に出てくる。オムレツといいオムライスといい、卵といえば卵焼きしか食べてこなかった私には文化大革命もいいところだ。

「うーん、街にあるお店のやつより美味しい!」

「わざわざ街まで外食に行く意義を無くしたね」

慶二さんのふわとろオムライスが美味しいのは認めるが、その台詞は今度から外食したかったらウチ来るよってことか委員長。みっちゃんと委員長の向かい側、私の隣では、離れに一度戻って着替えてきた音無類は黙々と食べる。

 ちなみに音無類は食事中はほとんど会話せずに黙して食べる派だ。家庭の躾でそうなったらしい。上品なのか寂しい奴なのかは意見が分かれるところだ。私は黙っていても脳内が騒がしいがな。ウチは祖母はそういうことには口うるさくないので、祖母と私の一方通行会話(に見える)は普通にしている。最近では私は慶二さんへのご飯の賞賛は欠かさない。音無類曰く、私の声を聞くのはご飯の時だけだそうだ。確かに学校で声を発した記憶はないな。

「「ごちそうさまでした」」

あっという間に食べ終えたみっちゃんと委員長が、慶二さんにお礼を言う。

「美味しかったです」

「また食べたいです」

「いつでもどうぞ、大歓迎です」

慶二さん、そんな社交辞令みたいなことを言っていると、本当に来そうなんだがこの二人。

 それから類が暮らす離れに行き、ゲームをしたりライトノベルをあさったりして夕方まで過ごした。



中間テストが過ぎた一週間後。本日は球技大会なり。

そして同時に、中間テストの結果順位が職員室に貼り出される日でもある。貼り出すと言っても、各学年上位十名のみである。ほとんどの生徒には関係のないイベントだ。

 だがしかし、私は職員室前にて信じられないものを目撃した。

 一年 一位 音無類 全教科満点

 満点、だと・・・!?国語数学英語だけでも細分化されて何教科あるのかわからないのに、理科社会とかも全部満点!?ウソだ!あいつがいつ勉強していたというのだ!いっつもゲームしているかライトノベル読んでいたじゃないか!

 職員室前にて、床に手をついて打ちひしがれている私を、不気味なものを見るかのように他の生徒たちが避けて行く。

「おまえはそこでなにをしているんだ」

そこに話題の主、音無類が登場した。

 すでにジャージに着替えている。今から体育館に行くところらしい。バスケットボールに参加する音無類は、これからメンバーとウォームアップをするらしい。私?私はバレーボールの補欠ですが何か。というか、私も体育館に行く途中でこの貼り紙を見てしまったのだ。

「あ、音無くん名前が載ってるよ」

類と一緒だった委員長が余計なことを言う。

「ふーん、まあこんなもんだな。それよか梓は通行の邪魔だ」

音無類は貼り紙にちらりと視線を向けただけだった。興味なしか音無類。いや、こいつのことだから、きっと美形補正とかで点数底上げされたんだ!私はそう信じて疑わないですとも!

 その後に私は脇に手を入れられて、ひょいと持ち上げられてしまった。ちくしょう、ちょっと背が高いからって、私が平均よりも背が低いからって!

 それから、男子バスケットボールと女子バレーボールは、隣同士のコートで行われた。

「「類様ーーー!!!」」

どこのアイドルのコンサートですか?というような、黄色い声援が飛ぶ。会場は類様コール一色だ。正直隣でバレーボールをしているメンバーはいらない子たちだ。誰も見てないし。あ、今音無類がダンクシュート決めた。すげぇよ、本当に人類ができる技なんだなダンクシュート。

 試合はあっけなく終了し、うちのクラスのチームの勝ちだった。相手チームのやる気が、類様コールでごりごり削られていたことも勝利の要因であろう。相手チームのクラスの女子までも、類様コールしてたもんな。彼女とかが応援にきていた人は哀れなり。

 音無類はチームメイトから賞賛され、爽やかさんな汗を拭っていた。手に持った水筒から飲んでいるのは慶二さんお手製ドリンクだ。ちなみに私も同じものを渡されたが、汗をかく予定のない私には無用の長物なので、みっちゃんにあげた。

 そのまま試合を勝ち進んだ我がクラスの男子バスケットボールは、なんと優勝してしまった。なんてこどだ。

 余計なことだが、私たちのバレーボールは初戦を僅差で負けたことを記しておく。



勉強満点でスポーツもできるとか、誰か音無類の弱点とかを調べて教えてくれ!

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