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ドルイド

「この先行くと、三十世紀にはまず間違いなく、飢饉がおとずれ、世界は壊滅状態」

 飢饉ならば古代から中世、近世の祖先らが経験してきた。

「今時飢饉なんてさー、愚の骨頂だと思わないっすか? 三十世紀ならなおさら、ありえなーい話じゃ」

 ハルカは髪の毛をかきむしる。

「いやいや、市ノ瀬くん。なかなかどうして、飢饉というものは侮れない」

 四十代半ばの教師がハルカに答えた。

「そう・・・・・・どうして飢饉が乗り越えられたかだが」

「あ、いや、もう帰りたいんで」

「歴史の成績が悪いんじゃなかったのかね・・・・・・」

 ハルカはぎくりとしたが、すぐ立ち直り、

「別にかまいませんよ。テキトーな大学に入ったっていいし」

「お、おめーな・・・・・・」

 青ざめた顔の教師を職員室に放置し、スキップしながら校舎を出て帰っていくハルカ。

「じゃーねぃ、さよぉならぁ」

 夕暮れ近い校舎に挨拶をする。

 次の瞬間、空間がねじ曲がった・・・・・・感覚をおぼえ、吐き気がした。

「なに!? これはいったい」

 ハルカは立っていられずに地面へと這いつくばった。

「穴・・・・・・」

 ハルカの足下から、冷たい風が吹き荒れ出す。

 ぽっかり空いた巨大な穴。

 いつの間に誰があけたのだろう、とハルカはよけいなことに気を取られ、その穴にはまって落下する!     


「何が起こったと」

 チュールはハルカが未来の荒廃した世界へ送られるのを、黙ってみているほど、冷血な男ではなかった。

「あの魔術師か。ドルイドとか言う・・・・・・」

 ドルイドは紀元前からあるケルト魔術師の末裔。

 唇を噛んでチュールは魔術師の部屋に飛び込んだ。

「どういうことか、貴様」

「軍神チュール様。ごきげんよろしう、ひっひっひ」

 水晶玉にたいまつ、床に描かれた魔法陣。

 そして机には散乱した魔道書。

 チュールは思わずドルイド僧につかみかかった。

「てめえ、どういうことだこれはっ」

「あんたの望みを、かなえたまでさ」 

 ドルイドはにんまり笑う。

「なにっ!?」

「あんたはあの小娘が気に入ったんだろう。だからワシが、変わりに呼んでやったのさ。せいぜい、かわいがってやりな」

 ――しまった!

 チュールは舌打ちする。

 ――こいつ、俺の心と記憶を読んでいたんだ。

 ドルイド僧は人の心を読むことが得意で、同時に魔術や予言などの力も長けていた。

 なので、チュールの思考を読むなど、たやすいことだった。

「よけいなことをするな! 貴様など、すぐにくびだ」

「オーディンさまですよ、このワシを呼んだのは・・・・・・」

「俺はそのオーディンの腹心であるぞ。俺の言葉ひとつなんだよ、おぼえておけ」

 ドルイド僧は、鼻を鳴らしてチュールを見送った。

「ふん、忌々しい小僧。貴様などこのヴァルハラにいられなくしてやる」   

 ケルト神話で『ゲッシュ(禁忌)』をだすのも、たしかこのドルイドです。

『クー・フラン(ホリン)』伝説では、最悪なことに英雄が血まみれになって死んじゃう。

 ドルイド僧はホリンの名付けセタンタといっただったはず・・。

 僧侶はよくもあり、悪くもあるってとこか; 

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