夫の家出
オーディンはチュールにひとつ、言い忘れたことがあったと地上へ再臨。
馬に乗って空を駆けめぐっていると、すれ違いざま、何かを見た気がした。
「うん? 今のはなんだ」
振り返ると、それは魚雷で、オーディンは度肝を抜かれ、スレイプニルをせかした。
「速く逃げろ」
スレイプニルはあんたが重いので思うように走れねぇよ、という愚痴はこぼさず、けなげに走り回った甲斐もむなしく、魚雷と激突した。
「どわぁ! 神様ぁぁぁぁ」
――あんたも神だろ;
「あ。おとうさん、ヘンなのが落ちてくる」
妹のメグが空を指さすと、オーディンが泣きながら落下してきた。
チュールは急いで地面にルーン文字を描き、オーディンを受け止める魔法を使う。
「た、たいへんだ。言い忘れてしまったことがあるんだが」
「なんです?」
起きあがる早々から、オーディンはなんだか焦りを見せていた。
その理由はリッツにあった。
「なんですと、あの男・・・・・・」
チュールはオーディンからその事実を聞かされると、その日以来ふさぎ込んでしまい、ハルカにも子供たちにも、笑顔を見せなくなっていた。
「お父さん、どうしたの」
愛娘に聞かれても何も答えず、チュールは頬杖をついて机に向かうばかりであった。
チュールはハルカに手紙を残し、家を出てしまった。
ハルカは手紙の存在に気づかず、おくびにも出さずにいたが、やはり寂しかったのだろう、夜になると部屋でしくしく泣いていた。
ところで、オーディンを撃ち落とした魚雷、誰が発射したんだ?(汗。
放浪癖があるのは、チュールだけじゃない、オーディンもです^^;
放浪=ドンキホーテと言う感じがして、かなり好きな世界観だったりして。
ところでドンキホーテは激安が命だから(違;