ドラウプニルの腕輪
「なあ、いいじゃないか」
ふたりで建てた家の中で、ハルカは抱きついてくるチュールを拒んでいる最中であった。
「イヤだって言ってるでしょ。今日だけはイヤなの〜」
「そんな、つれないこというなよぉ」
「今日だけはイヤ・・・・・・」
チュール、誰かとキャラが一緒じゃないか!;
「おじゃまするよ」
そこへ突然の訪問者。
客の正体は、
「オーディン!」
であった。
「久しいな、チュール。ハルカとは初めて会うが、初めてじゃないんだなこれが」
といきなり謎かけを始めるオーディン。
「オーディン・・・・・・ラグナロクの選定者・・・・・・」
ハルカはおぞましいというか、根暗で貧乏くさいオーディンの姿に、吹き出しそうなのをこらえる。
「俺を貧乏くさいと抜かすか、小娘・・・・・・」
立派な鎧と宝石を下げたグングニルをもっているのに、とオーディンはわなわな。
「それはまあいい。チュール、子供が産まれたんだってな」
「ありがとうございます」
赤ん坊をのぞき込んだオーディン、赤ん坊の手を握っていた。
よく見ると子供らはふたりいて、そっくりな顔立ちをしている。
「双子か」
「そうです」
「して、名前は?」
チュールとハルカは顔を見合わせて、苦笑い。
「なんだ。決めてないのか。しょうのない」
「すいません、立て込んでいたもので」
オーディンは携帯用の酒を飲みながら、さっそく上機嫌で言った。
「リッツのことか。あの若造なら当分こねえよ。俺がイヤってほど叩きのめしたから」
「・・・・・・それはまた、どうも、ありがとう・・・・・・」
チュールはなぜか引きつった笑みを浮かべる。
「名前だが、俺がつけてしまってかまわないのかな」
「ああ、どうぞどうぞ」
「男の子には、ロッド・ファーヴニル、女の子には、メグ・スラシルというのはどうかな」
いい名前、とハルカもつぶやいた。
なので名前も決まり、オーディンは祝いの杯をあけ、三人は暖かなランプの明かりで食卓を囲む。
「双子らにお祝いだ。このドラウプニルの腕輪をあげよう」
オーディンが取り出したのは、黄金の腕輪。
腕輪の周囲に美しい宝石がちりばめられていたが、ところどころ宝石の数が抜け落ちていた。
「九日に一度、宝石が落ちる。アールヴたちの創った不良品だよ;」
「不良品なんて贈らないでよっ。けちな人ね!」
ハルカの気の強さに、オーディンもさすがに絶句していた。
「け、け、けちだと;」
「そーよ、どうせヴァルハラの城も金メッキでできてるんじゃないの?」
ぐさぁ!
痛いところをつかれて、ガックリ膝を折るオーディン。
「ハルカ、言い過ぎだよ・・・・・・」
「金メッキとなぜわかった・・・・・・;」
「まあまあ。ドラウプニルの腕輪はね。願い事を叶えると役目を終えて、宝石を落とすんだよ」
オーディンの言葉に気づかないのか、つっこまないままチュールは続けた。
「使っている素材は最高のものと言ってはいるが、妖精は人を騙すからね;」
「なるほど」
ハルカは酒が回って眠いので、先に寝ると寝室に引っ込んだ。
「じゃじゃ馬!;」
オーディンは女好きだったが、ハルカにだけは手をつけまいと決意する。
「あれでいいところもあるから」
チュールは頭をかいた。
「照れて笑えるような性格じゃねえぞ、ありゃ」
チュールの幸せそうな笑みが気に入らず、オーディンは酒をがぶ飲みした。
オーディンのキャラがまったく違うぞ^^;
どうしてしまったんだ!? 汗
いつもの下品でスケベなおっちゃんや ないんかぃ!?
真面目モード入ってるし_| ̄|○