表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掌編小説

ある昼休みの光景

作者: 斎藤康介

 開け放たれた窓に青空が広がる。校庭に面しているため遮蔽物がなく、どこまで青々しい。そして点在する雲。

 遠くに浮かぶ雲に気を取られていると、笑い声が上がった。


「それであの爺さん、指を舐めてプリント配るから文句言ったら、『分かった』って言いながらまた指を舐めるワケ。耄碌にもほどがある。俺、席が前だからスゲー嫌。汚ねーじゃん。爺さんにとっくに定年過ぎてるだろ!? 辞めればいいのに」


 そしてペロっと指を舐める仕草をした。

 呼応する声があがる。僕も頷いた。

 昼休みに話される内容などワイドショー並の誹謗と話題性があれば十二分に足りる。たとえ何度も繰り返された話であっても、その毎意識を共有し団結してゆく。

 それに僕は相槌で答える。

 僕の口元には使い古された革製品のように馴染んだ微笑が形づくっているのだろう。

 害意のない人工物。

 悪意がない証に僕は笑いながら昼休みを過ごしている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ