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氷の夜

ある曇った日の昼、家に一人の僕の前に、見知らぬ手が忍び込んだ。

立っていたのはお隣のお婿さんで、金品を奪いながら、僕を脅した。

夜、母と父は言い争い、母が包丁を握るほどの激しい喧嘩になった。

僕はただ布団の中で震え、声を殺して泣いた。


翌日、優しい顔の裏に不穏さを隠したお隣さんが現れた。

その日から、家族の歯車は狂い始めた。

幼い僕には、この先の恐怖がまだ見えていなかった。

あの事件のあと、家の空気はずっと重かった。

父と母は、ほとんど口をきかず、

話すのはいつもお金のことだけだった。


母は金銭をしっかり管理するタイプ。

父は金銭を自由に使うタイプ。

一見合わないようで、不思議とバランスはとれていた。


けれど、給料日になると父は全てをギャンブルに投資してしまい、喧嘩は避けられなかった。


僕は小さな声で泣くことしかできなかった。

手を握り、布団に潜り込み、目を閉じる。

心臓の鼓動が耳に響く。


日々は静かに、しかし確実に変わっていった。

笑い声は減り、代わりにため息や怒鳴り声が家に響く。

父は不機嫌で帰宅し、母は無言で夕食を準備する。

僕は、そんな両親の間に立ち、何もできずにいる自分が嫌でたまらなかった。


秋になり、母がお隣さんと話しているのを窓から見た。

お隣さんは、にこやかに笑いながらも、どこか意図がありそうな表情をしていた。

母は少し怒り混じりに頷き、何かを決意したようだった。


その夜、いつものように父と母は口論した。

昨日よりも激しく、言葉は刃物のように鋭く、

ついには物を投げたり、ドアを乱暴に閉めたりする音が響いた。

僕は布団の中で震え、声を殺した。


突然、母は震える手で包丁を握り、目は怒りに燃えていた。

「殺してやる――!」

ヒステリックな声が部屋に響いた。


父は必死で包丁を抑えようとした。

その瞬間、腕から血がにじむ。

倒れる父。

包丁を落とした母。

二人とも、声が出ない。


その光景を目の当たりにして、僕は泣き叫んだ。

「助けて……!」


その瞬間、お隣さんが駆けつけた。

「どうしたの?」

焦った声をかけながらも、どこか笑っているような表情だった。


その時の僕には、この人がこれから何をするのか、まだわからなかった。

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