表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼との彩食  作者: 日戸 暁
第3章 そして時は巡る
23/28

熱々に、やける

家に例の同僚ー料理好きの彼女持ちーが

また来ている。


“夕飯、何か色々揚げたやつでいい?"

と彼から昼に通知が来た。

彼が揚げ物 を作るのは珍しい。

俺が喜んでいたら、 同僚がついてきたのだ。


海老フライ、ポテトコロッケ、牛カツ、 野菜色々。

揚げたてを彼が運んでくる。

「 美味そうなのに。食わねえの?」

と同僚が俺に聞く。


俺は今不機嫌だ。

俺は同僚に詰め寄る。

「いつ、何でこいつと連絡先交換したの」

同僚は俺を見てぽかんとした。

俺が、“同僚も夕飯食べに来て良いか?”と退勤前に彼に聞いたら、

「知ってる。構わない」

と返事があったのだ。

同僚が何本目かのビールをがぶ飲みし、大笑いする。

「まじか、嫉妬じゃん」 とげらげら笑う。

彼は全く気にせず、

俺に、

「ビール取ってくる」 と 一言断って席を立つ。

台所へ行く彼のあとを同僚が追いかける。

「ビールよりさあ、 こっちのほうが酔えるんじゃね?」

と意味の分からないことを吐かし、

同僚 が彼に迫る。

顔を近付ける。

嫌だと思うのに、俺は動けなかった。

彼が、同僚にキスされてる。

彼も拒まない。

あぁ、嫌だ。

彼は口を濯ぎ、何事もなかった顔でビールの缶を抱えて来る。

同僚は呆けた顔でふらふら戻ってくる。

同僚が「いや、あの、拒めよ」と困惑している。

酔いもさめたようだ。

彼は缶ビールを2缶、 続けざまに空けると、

「彼女持ちの酔っ払いにふざけてキスされたぐらいで真面目に怒るのも馬鹿馬鹿しい」

それに、と続ける。

「その程度の奴押し退けるのに、まだ熱い油の鍋ひっくり返しでもして火傷するほうが面倒だろ」

あ、うん。と同僚が間の抜けた返事をす る。そして、俺を指して訊く。

「じゃ、こいつが酔ってお前にキスしたらどう?」

たっぷり間があって、 彼が聞き返す。

「どうしてそういう話になる?」


俺が、

二人の間で既に、今日飯食いに来ることが決まってたとか、

そもそも連絡先を交換するくらい仲良いんだ、 とか、

今だって別にキスくらいふざけて出来るく らいだし、

と色々ぶつぶつ文句を垂れて。

それを同僚がまとめて彼に、

「こいつ嫉妬してんだよ。なぁ、弥也人、お前、こいつとちゅ~してやれよ」

と言った。

「違う!俺は此奴とそんな仲になりたい訳じゃない!でも、ただ、だから、その……酔ったからって、なんで弥也人にお前がキスするんだよ!」

怒る俺とヘラヘラ笑いながら謝る同僚。

俺らを見てあきれ返った風に彼はため息をついた。

そして

「無理。されたくないし、 酔ったうえでの冗談でも、こいつとは絶対しない」

はっきり言い切った。

凍り付く俺 らをよそに、彼は、冷めた揚げ物からしゃくしゃく食う。

缶ビールを新たにもう一 本、ぶしゅっと開けて彼は呟いた。

「大事な同居人だからな」

こんな優しい顔でそんなこと言われたら、

惚れるわ。




【御礼の品】

超高級ハムを、いつもの同僚から彼宛にと押し付けられた。

不承不承持ち帰り、うちの料理番に渡す。「どしたのこれ」「例の同僚がどっかから貰ったお歳暮。お前にお裾分けだとさ。普段の礼と詫びだって」

と言っても、ふーんと気のない返事。

翌朝、むっちゃ旨そうな分厚いハムカツサンドを持たされた。

これを同僚にお礼に渡せなど有り得ない。

ねぇ、俺の分は???

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ