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彼との彩食  作者: 日戸 暁
第2章 合鍵と家と二人の飯
21/28

2回目の12月

12月の22日から25日まで、彼は用事があるとかで、連泊で不在だ。

帰るのは25日の夜かうっかりすると26日の朝だという。

まぁ、クリスマスだしなぁ……。

何とも言えない気持ちになる。

お互いプライベートに干渉しないし、

彼に“誰か”がいても、もちろん構わない。

ただ、彼が前に気にしていた"二人用のIH鍋"を、彼へのクリスマスプレゼントにこっそり準備した自分に、苦笑した。


22日と23日は、

朝は米と納豆とインスタント味噌汁。

昼はてきとーに買ったり食べに行ったり。

夜は、冷蔵庫の手づくり惣菜を温めて、一人で掻き込んだ。

今朝は、寝坊したので朝食を食べ損なった。


そして夜。

俺が仕事から帰ると家に電気がついていた。

彼だ。

「お前、なんで」

俺は、コンビニで買った缶のスパークリングワインとチキンレッグを手にぽかんとした。

独りさみしく飲もうと思って買ってきたのだ。


「用がはやく済んだ」

答える彼は、当たり前のように台所にいる。

「なんだ、飯、買ってきたのか」

俺の持つレジ袋をちらっと見る。

「……飯、一応作るけど、お前も食う?」

訊かれ、頷く。

熱々のマカロニグラタン。

野菜の酢の物を添えたチキンステーキ。

ミニポトフ。

彼の作りたての料理。

なんだか久しぶりな気がする。

泣きそう。

そんな俺を見て、彼が珍しく、微かに笑んだ。


明日は土曜日、予定もない。

風呂上り、居間のソファでのんびりテレビをつける。

クリスマス特集が煩いが、仕方ない。

そういう日だ。

 風呂を済ませた彼が、何か持って隣に座った。

リボンをかけた、未開封の赤ワイン。

このラベル、見覚えがある。

「……えっと、これ、だったよな」

確かめるように彼が言う。

そうだ、前に、初めて一緒に外食した時に、俺が気に入った銘柄だ。

「俺に?」

問いかけると、彼はぎこちなく頷いた。


コンビニで買ったチキンレッグは温め直して、二人でワインのアテに食べた。


ワインは前に飲んだときより一層美味くて、俺は久しぶりに酔い潰れた。




【ぶたぶたしゃぶしゃぶ】

12月の末の夜。

器に昆布だしと少しの醤油、柚子の絞り汁と大根おろし。

目の前にはふつふつ沸く鍋。

新品の、IH対応の、二人用鍋だ。

開いた昆布を引き上げ、くたりと煮えた白ネギと白菜を器に取り分ける。

たっぷりのほうれん草と豚の切り落としが豪快に鍋に放り込まれる。

ぐわし、ぐわしと鍋を混ぜ、

「この辺、もう食える」

と彼は俺に肉をたくさん取ってくれた。


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