五話俺の魔王様
どうやら俺は遭難したそうなんです。
はい、そうなんです。
俺は魔王さんのシュート(の風)で返ってきたスライムが顔面に直撃し吹きとばされた。
そして今、俺は知らない森にいる。
このスライムのおかげで生き残ったようだ。こいつはすでに赤い、どうやらお亡くなりになっているようだ。たぶん落下の衝撃で倒せたんかな、そしてそばには赤い石、魔核も落ちている。
これはギルドで見せてもらったので知っている。
売れるそうなのでポケットにしまっておきましょう。
それより空が赤くなってきている、もうすぐ夜になってしまう。魔王さん……はやく来てくれないかな?
来ない、まあ森やしすぐには来られないと思う、あの人やし探してくれてると思う、信じよう。
とうとう夜になってしまった、異世界やのに月があるんやなーー、新月じゃなくてよかった。
というか新月とかあんのかな?
「グ~~~~~~」
腹が減った、そばに置いてある赤くなったスライムが羊羮に見えてくるぐらいだ。スライムって実はおいしい説ある?
一口だけ……もう我慢できない!
「ガブッ……ムニュムニュ……グチュウ、ゴクッ」
まっず……味じゃなくて食感がまっず
生クリームやと思ってボンド食べたとき以来のまずさや、でも俺はまずい物を食べるための攻略法を知っている。
鼻をつまんで目と鼻をガン開きしてケツの穴も開きながら食べればいいんです。
「ムニュムニュ……グチュウ、ゴクッ」
まっず、ゴーヤならこれでいけたんやがさすがに無理やったか……
それで俺はなんでスライムを食べたんですか?
「ヒューーー」
ブルブル……なんか変な風と声が聞こえた、ものすごく寒気がする、それでなにかが近づいてくるような……
俺はとっさに草むらの中に隠れ耳をふさいだ。
「ゆうたーー ゆうたーー どこにいるのじゃーー、返事をしてくれんとわからんぞーー」
「……」
「ここにはおらんか、もう少し先なのかもしれぬな、ゆうたーー ゆうたーー」
バレずにすんだ、一体今のはなんだったんだろうか、というか寝転んでると、眠い……
「すやすや」
目が覚めると異世界にいた。
っていう冗談は置いといて、どうやら草むらの中で寝てたようだ、まあとにかく無事でよかった。
木々の隙間から太陽が見える、この世界でも太陽が東から登って南を通り西に向かうのは確認済みなので方角がわかる。ギルドで教わった。
そして今は朝なので太陽があるのは東だ!
(昼です、今太陽は南にありますよ~)
それでここらへんの地理はわかっている、北と西が平原で東と南が森だ、ということは簡単だ。
北西に行けばいい
なのでこっちが向かうべき北西だ!
(そっちは北東ですよ~)
俺は北西(北東)に向かって歩いている、森なので獣道を進んでいく
ところでこれはなんの獣道なんでしょうか……
どうか獣に合いませんように
「ゴブリン!」「ゴーブリンッ!」「ゴブゴブー!」
なーんか嫌~な声が聞こえる。だが森なので音が反射してどこから聞こえているのかわからない……
とりあえずはやくここを抜けよう、俺は北西(北東)に向かって歩いた。
「ゴブリン!!」「ゴーブリンッ!!」「ゴブー!!」
俺の目の前に緑系のヒト型のやつが三人……
って襲ってきたーー!
「ゴブーー!」「バシバシ!」「ゴーゴー!」
「痛い痛い、やめて!ホンマにやめて!!」
俺は謎の部族にしばかれている、言葉がわからんから敵じゃないことを伝えられない。
なので俺はなんとか攻撃を振り切り逃げ出し……
「ゴブーー!!」「ブーブー!」
無理だ、このしばき地獄から抜け出せるだけの速さがない
これがステータスの差かよ。
というかなんで俺は耐えられてるんだ? ステータス低いのにさ、それでもう痛みに慣れてきてしまったんだが……
てかこれもうやり返していいよね? やるで?
「おりゃーーー!!」
正面のやつの顔面を殴った、だが全然効いてない
「ゴブーー!!」「ゴッブ!」「ゴゴゴゴゴ!」
やばい、敵の増援が来た、数は今いるのも合わせて数十人
しかも増援で来たのがナイフを持ってる。
さすがにそれはまずい、魔王さんはやく……
俺を殴っていたやつらが下がり代わりに増援で来た三人のナイフ持ちが襲ってきた。
「うおーー!?」
あぶなっ……ちょっと服にかすったって
「ゴゴゴゴゴ!」「うおーー!!」
こんどは横のやつがナイフを持って突進してきた、なぜだ
なぜ俺のステータスで受け止められるんや!?
ってまずいこいつに気を取られてる隙に両側からナイフを持って突進してきた。
でも今の俺は頭が冴えている、俺は即座にしゃがみ込み前のやつにタックルし、横から来るナイフを前のやつを盾にして防いだ。
俺つえーーー!! ゔっ……
刺された、盾にしたやつに後ろからやられた。
完全に油断した。
くそっ、でもまだ負けるわけにはいかない
せめて魔王さんが来るまでは……死ねない!
「ゴブーーー!!」
俺の背中にはナイフが刺さったまま、前からは三人、横からは二人、ここから勝つ方法を教えてくれーー!
あるわ……俺には武器がある。
後ろで力尽きたこいつに刺されたナイフがある。
それとこいつらはどうやら魔物みたいだ、魔核がある、ならば殺しても問題ない!
「ぐわーー!!」
俺はなんとかナイフを引き抜き全力で振り回す。
「おらーー!!」
せっかく平和そうな異世界に来たというのになぜこんなことになってるんだくそが!
「ぐっ……」
ナイフを抜いた影響で血が抜けてきているのがわかる
俺に残された時間はあとわずか
俺に出来ることはもう
これしかない!
「魔王さーーーーーーん!!!!」
俺は叫んで力尽き倒れた。
「ゆうたーーー! 今助ける! 【魔炎】」
魔王さんは俺の元にすぐやってきて
俺を囲んでいたやつらを黒い炎ですぐに燃やし灰にした。
さすが魔王さん、いいや、さすが魔王様だ……
「ゆうた、しっかりするのじゃ、すぐ教会に連れていくからのう」
「死……でない……です……ど……」
もう声が出ない……魔王様は俺の背中をしばりつけ止血する。
「シスターさんはヒーラーでもあるからどんな傷でも必ずなおしてくれるぞ」
そうなのか、あの人チートだ……
魔王様は俺を担ごうとする。
「おね……い……ます」
「もう喋らなくてよい、わらわがいるから安心するのじゃ」
魔王様は俺を担いで空をとんだ。
そして俺は安らかに眠りについた。
ゆうた安らかに




