四十三話安全丸は安全すぎる
俺たちが今乗っている船の名前は安全丸だ。
名前からして安全そうだ。
もうすぐ港を出発すると思われる。
「ぶおーーー!!」
法螺貝の合図で出港した、少しずつ揺れ始めしんどくなってきたので俺たちの個室へ向かう。
ちょっと待って、今すれ違ったの昨日逃げおったマヨバイクに似てたような?
気のせいか? うん絶対気のせいだ。
『ふーー、やっとですか』
「「うぎゃーー!」」
『なんで驚くんですか』
「あのときの悪魔や!」
目の前にいるのは真っ黒で四角めの体、そして黄色い逆三角の目、間違いない! あのときの悪魔だ。
「悪魔ってなんじゃ!? おぬしは知っとるのか?」
「俺が中二のときに契約した悪魔です!! こいつのせいでじゃんけんのときにグーしか出せなくなったですよ」
「え!? おぬしグーしか出せないのか!?」
『違いますよ、ゆうたさんがじゃんけんでグーしか出さなくなったのは中二病だったからです、私は一切関係ありません』
「悪魔、暴露すな!」
「というかおぬしは気のせいではないか? 喋り方が気のせいじゃし」
『よく気づきましたね、魔王さん、私は気のせいです』
「嘘やろ、気のせいってあのときの悪魔やったん?」
『はい、でも悪魔ではありません』
気のせいによると体は魔法、いわゆる魔力でできているとかでバグった世界で削れたダメージがまだ回復しきってないから、簡単に変身できるこの形で体を保っているらしい、ちょっと意味わからん。
「じゃああのときは?」
『あっちの世界には魔力がないのであのあとすぐ消えちゃいまして、でも魂のままずっとゆうたさんについてました、そうしたらいつの間にかこの魔力のある世界に来られて私は復活できました、とてもラッキーですよね』
「それはよかったな、それで復活おめでとう」
『ありがとうございます、それで明日になれば元の姿に戻れそうなので、それまでこの姿を我慢してください』
そして俺が酔いかけていることを伝えるとすぐ治してくれた、さすが気のせい、酔い止め最高!!
「それでおぬしに聞きたいことがあるんじゃが、ゆうたに幼なじみはいたか?」
『いましたよ、なぜか名前を思い出せませんが、魔王さんに似ている子でした』
俺に幼なじみなんていなかった、確かに記憶がない部分が多いが俺は基本一人だったような気がする。
「それはわらわではないのか?」
『喋り方が全然違います、でも内容はほぼ魔王さんです』
「実はわらわ喋り方に補正がかかっておって、なぜかこの喋り方しかできないのじゃ」
『たぶんですけど女神様に色々いじられているのではないですか?』
「そうなん?」「そうなのか?」
『いえ、確定ではないですが色々おかしいところがあります、まずゆうたさんの死因がおかしいんです』
「俺の死因? 毒キノコで死んだってやつ?」
『そうです、私の記憶ではゆうたさんは崖から落下して死んだことになってます』
「えーー」
よくわからん……
「わらわはあやつと一緒に崖から落ちて死んだと記憶しておるぞ」
『あれ? 私の記憶ではゆうたさんは一人で崖から落ちてましたし、やっぱり色々おかしいですねーー』
「「『……』」」
全然わからないのでこの話はやめにすることにした、だがわかったことも一つある。
「とりあえず女神様に聞いてみるんじゃ」
『そうですね、それが一番いいですね』
こんなややこしいことをした犯人に聞くのが一番速いからね、というか俺と魔王様が幼なじみってそんなことある?
とりあえずお昼になったので船の食堂に行くことにした。
「お前は!?」「おぬしは!?」『誰ですか?』
「お前は魔王ゆうた!」
お食事中のマヨバイクがいた、気のせいじゃなかったようだ、なにを食べてるかと思えばマヨネーズで埋まり内容がわからない。
「また私のマヨネーズを奪う気か!?」
「いらないですさようなら」「うむ、ほっとこう」
『だから誰なんですか? とりあえずゆうたさんの記憶覗きますねーー』「ライダーさん、ストップです」
こいつライダーって言うんだ、それとこの土偶みたいな顔の男は連れか
「おい、魔王ゆうたの横の女、今ほっとこうって言ったよな」
「え、なにか言ってはいけないことを言ってしまったのか?」
「いや、なんでもない、はやく去れマヨネーズがまずくなる」
「変なやつじゃなーー」
なんなんやろあいつ、まあ俺たちは普通に食事をする。俺は普通にコーンライス定食、魔王様は俺の対のオムライス定食、気のせいはスタミナ定食を頼んだ。
「ほれ、あーん」
「あーん」
『お二人はいつの間にそんなに仲良くなったんですか?』
「うーん、なんでじゃろ?」「さあ?」
「魔王様、あーん」
「あーん」
いやーー最高ですねーー、魔王様と食事するのは
「ピンポンパンポン!」
あれ? アナウンスだ、まだまだ着かないはずやのに?
「安全丸の船長です、お客様にお知らせします、安全のため燃料を少なめにしたら燃料が切れちゃいましたので近くの島に停泊します、そこからは救難ボートで──」
「なんでやねん!!」
もっと危ないやんけ!
とある島に船は止まった、旅館だけが一つある変な島だ。探偵がいたら殺人事件が起こるような、うん、やめておく。
「うむ、明日まで雨のようじゃな、これは一日泊まっていくしかないようじゃな」
安全丸に乗っていた人は屋根なしの救命ボートでアワジまでいく人たち、旅館に泊まり船を待つ人に別れた。
俺たちは雨が大嫌いなので雨が止むまで旅館に泊まることにした。
「あーー、手が滑った、八番! 八番に穴が開きましたーー!!」
人が多すぎてここに泊まれない組が一組出るそうでその組を決めるためにビンゴ大会をしている。
「ぐぬぬ、いまだにノーリーチじゃ……」
なんかものすごく泊まれないような気がする。
もう残っているのは五組、このなかで一組が泊まれない、この五組の中の三組が一人だ、我慢して誰かと泊まってくれたら俺らが泊まれるんだが
残り三組、カップルと俺たちと女の子だ。
なんとかしてビンゴしないと
「ビンゴ!!」
「ぐぬぬ、ずっとトリプルリーチなんじゃが……」
「わっちはノーリーチ……」
カップルが部屋をゲットしてしまった、残る枠はあと一つ、五十三番、六十番、六十一番が来れば俺らの勝ちだ。
「あーー、手が滑った、全部穴空いちゃった」
『「「「え!?」」」』
まさかの相部屋にビンゴした意味よ。
「なんだかすまないのだ……」
「こちらこそなんかすまぬ、ゆうたもおるが大丈夫なのか?」
「襲ったら容赦しないのだ」
「襲いませんよ」『襲うとしても魔王さんしか襲いませんよ!』
「え……わらわ襲われるのか?」
「襲いませんよ、それでここですね」
部屋に到着した。
「あーー、それで名乗るの忘れてたのだ! わっちは【爆裂】ドカーン!」
「「『ぎゃーーー!!』」」
女の子は爆発した。
「「うわぁーーー!!」」
俺は爆発により床に穴があき、そこに落ちたーー!
「ドンッ……いってーー」「痛いのだ……」
一つ下の階に落ちただけなのでなんとか生き残った。
「二人とも大丈夫か? って死体!?」
『この人死んでます!!』
「俺生きてますけど!?」「わっちも生きてるのだ!」
「違う、後ろを見るんじゃ」
「後ろ、ぎゃーーーーーー!!」
床に人が頭から刺さっていた。
「これは事件なのだ! 名探偵のわっちが解決してみせるのだ!」
「「『犯人はお前だーーー!!』」」




