二十三話ヘイアンダンジョン
王都のダンジョンは混んでいる!!
って本には書いてあるんですよ……
でもここの入り口には人一人いないんですよね。
「ここが王家専用の入り口ですわ」
はいズル!! いやーー、まさかマッチョ姫の恩恵が来るとは思わなかった。
「それでマッチョのいいところは──」
ダンジョンの中をだいぶ歩いてきたけど話が終わらない。
「おっと、話すぎましたわね、ゆうたくんはなにかおもしろい話ないの?」
終わったと思ったら無茶振り……
「ゆうたーー、ストーンスライムゲットしたぞーー、食べるかーー?」
助け船かと思いきや違うではないか、あとそのスライムかたそう、そんなん食べられるわけないやん!
「スライムをたべる、とはどういうこと?」
「あーー、ゆうたがな前にスライムを食べたそうなんじゃ」
「どんな味がしたのですか?」
「クソまずかったです」
「クソまずい?」
姫にクソまずいと言わせたぞ、ってところで最初のボス部屋についたようだ。
このヘイアンダンジョンはこの世界トップの難易度だそう、ボス部屋がいくつもあり階層が一番多いとか、なので泊まる用意を持ってきている。もちろんマッチョ姫のマッチョ人形の軍勢が荷物を持ってくれている。
「ゆうた、ここのボスはメタルスライムじゃぞ、おぬしの出番じゃ」
「……」
「〈弱体化〉スパッ──」
はい、ワンパン!?
メタルスライムは真っ二つになった、なんで?
「アスカ丸強い!」「ん、スライム弱い」「マッチョですわね」「俺様の敵ではない」「バグか?」
「こんなものではないか?」
たぶん魔王様正解です、バグやろ、俺がでっかくてかたそうなメタルスライムをワンパンできるわけないし、でも、普通のスライムの魔核が出てきてるから普通に弱い可能性がある……
しばらく進むとまたボス部屋のお知らせだ。
ここまで姫と色んな話をして色々知れた、話の内容的にこの姫のお姉さん(第一王女)がどうも女神っぽいんよな……
「首狩りどりゃーー!!」
あーー、ストーンゴーレムの首がとれちゃった……
「〈滝汗〉レーザー」
あーー、体が砕かれちゃった……
「〈大波〉衝撃波」
あーー、初心者キラーと言われる、って本に書いてあるストーンゴーレムの核が壊されちゃった。
って死神つよっ!?
死神のスキルは首狩り、大鎌で首を狩るときだけ強くなるとかいうほぼ死神用のスキルだ、強い。
もちろん波も滝汗も強い、というか初めて死神の活躍を見たわ、でも首が弱点じゃないやつ……
「ここから魔物の数が多くなる、気を付けるように」
機械兵が出てくるんですよね、ビーム出すやつ
それで確か次のボスがとぶビーム出すやつに変更されたそうやとさ。
「〈大波〉電磁パルス」
えっと波無双でなんにもおもしろくないですね。
波とメカさんと俺以外で女子会してるし、そろそろ終わらんかなー、というか電磁パルスってなんなんすか?
「ここ暗っ!!」
「ああこの階層は暗いんだ」
「トントン」
誰かに肩を叩かれた。
『私を忘れてたのは気のせいですか?』
「うぎゃーーー!!」
「生き返れ!」
「……」
気のせいがいるのは気のせいですか?
あと明るいのは気のせいですか?
あとバーベキューしてるのは気のせいですか?
あと暗黒世界が見えたり生き返れ! って聞こえたのは気のせいですか?
あとしばらく放置されていたのは気のせいですか?
『全部気のせいじゃないです、というか私のこと忘れないでくださいよ』
「というかお前はなにしてたん?」
『なにをしていた、もしかして私がこれまでなにをしていたのかを聞いてますか?』
「そう聞いてるんやけど」
『ほほーん、そんなになにをしていたのか気になりますか』
「わいも気になる!」「ん、私も」「わらわも」
『それはですね~』
『ひ、み、つです!!』
「「……」」
「ゆうたくん、復活しましたわねお肉焼けてますわよ」
気のせいのことは放っといてみんなでバーベキューしますか、って俺の皿にエギリン(エリンギ)混じってやがる!
滝汗の皿にこっそりと……
「ゆうたキノコ食べや! 魔王、ゆうたにあーんしてあげて」
「わかったのじゃ、ゆうた、あーんじゃ」
いや魔王様にあーんされるのはうれしいんですけどキノコ、俺の死因なんですよ、キノコ……
「嫌か?」
「あーん、ごくっ」
魔王様の嫌か? に脳破壊されてエギリンを丸のみしてしまった、さすがに毒じゃないやんな?
「おぬしキノコ苦手なのか?」
「死因です……」
「「あっ……」」
滝汗と魔王様に肉を一枚分けてもらった。
この真っ暗な階層には魔物が湧かないそう、なので安全地帯と呼ばれているみたいだ、なのでここでテントを張って一夜を過ごすらしい。
「ゆうたはわらわと同じテントじゃ!」
「違いますわ、わたくしと同じテントですわ!」
謎の取り合いですわ、できれば魔王様と寝たいですわ。
うん、この喋り方俺がやるとキモいな……
『う○こ』
結局俺の懇願で魔王様と二人で寝ることになった
すやすや
夜中? 朝? さすがに昼……ではないか、まあ時間はわからないがトイレに起きた。
トイレはマッチョ人形が仮設トイレを持ってきているのでそこでする。マッチョ人形便利!
外は暗い、なんか怖いしトイレどこ? 他のテントの場所はわかるけどトイレがない。
そうや気のせいは?
反応がないし寝てるようだ、漏れそう……
でもこのためだけに魔王様を起こすのはちょっとなーー
「んーー、ゆうたくん?」
なぜ俺と魔王様のテントにあなたがいるんですか、マッチョ姫……
「トイレ?」
でもマッチョ姫が起きてるのなら話が早い。
「いえす、しかしながら暗くてどこかわからず」
「わたくしもトイレに起きましたの、一緒に行きますわよ【ライトニングマッチョ人形召喚】」
茶色くテカり輝くマッチョ人形と共にトイレに向かう。
「あれ? どこにトイレがあるかわかりませんわ~」
というかここはどこなんですか、テントの場所もわからんのだが、ってライトニングマッチョ人形が点滅し出したけど……
「まずいですわ、時間が切れちゃいますわ」
「え!?」
「急ぎますわよ!」
俺とマッチョ姫は手を繋ぎひたすら走った、膀胱を押さえながら。
すると出ちゃった。
「ここはどこなの~~~」
暗闇から……出ちゃった。
そのころ魔王たちは
「あれ? ゆうたがおらぬ……」
「大変だ、ドール姫がいない」
「ということは……大変じゃ!! ゆうたがドール姫と駆け落ちしてしもうたのかもしれぬ」
『それは気のせいじゃないですか~』




