二十二話マッチョ売りの少女
俺たちはタイターニック号という沈みそうな名前の大きい魔法船で、王都ヘイアンに向かうことになった。
げろげろげろげろ~
川に汚いものが流れていったと思う、夜やし見えない、いや船、げろって沈むなよ!
「ゆうたはホンマに乗り物ダメやな!」「そうじゃな」
王都が見えてきた。東西南北に壁がある正方形な都市だ、真ん中には大きな洋風な城が見える、ここは洋風なんですよねーー
夜でも明るいなーー、サカイもやったけど。
げろげろげろ
俺は魔王様に運ばれクソでか魔王軍本部にやってきた、ここが本部らしいこれからの拠点だ。
それではおやすみなさい、すやすや
次の日エッグい来客が来た。あーー、相手がレベチすぎて日本語おかしくなっちゃった?
「君が魔王軍のゆうた君だね、ワタシはヘイアン王国騎士団長のメカだ」
鎧越しでもわかる筋肉、やべー女だ。
「自分は副団長のユニっす」
魔法使いっぽいおばさん強そう、やべー女だ。
「俺はしたっぱのレクスです」
うん、知らん、ふつーの男だ。
「それでどうしたんじゃ?」
「ドラゴンを倒したやつの実力を知りに来た、さあ訓練場へ来るんだ」
「ええーー!!」
拠点からそこそこ離れた訓練場に魔王軍のみんなが連れてこられた。
「さあ、君にはまずルクスくんと戦ってもらう」
団長さん部下の名前くらい覚えてあげて、レクスでしょ。
「うぎゃーーー」
俺は頑張って粘るもルェクスさんにやられた。呼び方はレクスでもルクスでもどっちでもいいそう、それよりなんで負けたかって?
地面が水浸しなんですよ、そのせいでぬかるみにはまっちゃって
「滝汗ちゃん、ここ出禁ね」
「ええーー!」
滝汗が団長のメカさんと戦ってるときにレーザーをうちまくって水浸しにしちゃいまして、こうみるとダンジョンは水捌けがいいようですね。
滝汗は出禁になったので魔王様と帰っていった。
俺はまだ残りますよ、もうちょい見ていきたいからね。
騎士団の人たちがでかめのスポンジとバケツで水を吸っていくとあっという間に水はなくなった。
でもぬかるんでるんだが、まあ死神と波の様子見たら帰るか。
「ゆうた君、君なかなかやるね、数人がかりでならドラゴンを倒せそうだ」
「ありがとうございます」
まあ戦闘ははにわと戦いながら調整したからね、タイミングがわからんこととステータスが低いこととスタミナがないこと以外では結構戦える部類ではないかと思う
欠点が多い、というかこの人ら全員に勝てる滝汗が怖い
死神と波が副団長のユニさんにぼこられている。魔法剣士なんやな、見た目魔法使いやけど。
「死神ちゃん、首を狙う癖がまだ直ってないな」
動きはいいんやけど首しか狙ってないからか動きが雑い、というか首を狙う癖ってなんか怖いな、俺の首も狙われてたりして……
「波ちゃんはいいね、でも相手がユニだからしょうがないな」
確か波は波を操る大波スキルやったな、剣に当たるとまっすぐ衝撃波が出るとか、まあユニさん受け流すのがうますぎて波との相性が悪いっていう
そんな話をしているとあわただしい騎士団の人がやってきた。
「団長! ドール姫がまた脱走しました」
「またかーー」
「ドール姫?」
「ヘイアン王国の第二王女のドール姫のことだ、ワタシはちょっと探してくる」
メカさんはドール姫を探しに行っちゃった、話し相手がいなくなったので帰りますか、死神と波は魔王様が迎えに来るまでレクスさんとやるらしいし。
拠点に向かって歩いていると少女の変な呼び声が聞こえてきた。
「マッチョ、マッチョはいりませんか?」
もしかしてマッチ売りの少女かな?
あれどんな話やったっけ、あっ、思いだした!
赤ずきんの子がおおかみに食べられる話や、いや今それはどうでもいいか。
裏通りの方から聞こえるのでちょっとのぞいてみる。よく見るとマッチは売っていなかったが、なんか大きいポーズを決めてるマッチョな人形を売っている、どうやら聞き間違えたようだ。
あと少女の見た目がゴスロリ風で近づきたくないな、あんな変なんにあんま関わりたくない、帰ろう
帰ろうとすると声をかけてきた。
「ねぇマッチョ人形いらない?」
やべ、みつかった。
というかいらないのではっきり言ってさっさと帰ろう。
「いりません」
「そう……」
残念そうだ、でも本当にいらないんですよ。
というかお金持ってないし、というか
「これ買う人っている?」
「それがいないのよ、誰もマッチョの魅力を理解していないのよ、それじゃいけないの、だからわたくしが布教しなければならないのよ、それでうちのマッチョはねわたくしが作ったのよ、すごいでしょう──」
話が長い、しかも俺が興味のないことをずっと話続けるんだよな、誰か止めてくれ。
でも一応うんうん答えとく、話はやく終わらないかな? と思っていると魔王様と死神と波が迎えにきた、助かる。
「ゆうた、迎えにきたぞ、え! あなたはドール姫ではないか!」
「「姫!?」」
これが噂のドール姫? このマッチョ中毒者が?
「姫様はどうしてこんなところにおるのじゃ?」
「マッチョ人形の布教のためですわ」
「そうか、またなのじゃな」
「またってことは再犯……」
「悪いことではないのですわ、マッチョはとてもいいものなのですわ」
「いやいや城から逃げてきたと聞いたけど」
「それはメカが出してくれないからですわ、それにマッチョ人形が護衛してくれるから安全なのに」
なんて話をしていると王国騎士団の人たちがあらわれてドール姫は肩に担がれ連れていかれた。
「マッチョをもっと普及しないとですわ~~~~~~」
「なんて無様な……」
「そうじゃのう、マッチョ以外は完璧なのじゃがな……」
マッチョ以外は完璧?
訓練場から拠点の間に冒険者ギルドがあるので寄った。王都にはダンジョンの入り口が複数とその数だけ冒険者ギルドがありその一つがここだ。
『わらわの予想通り来たのう』
なぜかシスターさんがいる、まあいいや。
「どうしたのじゃ?」
『ヘイアンダンジョンへ行くのを急ぎでお願いしたい、なるべく明日からがいいんじゃが』
「「明日!?」」
そんな急な話があるか!
『もちろんご褒美は上乗せするぞ』
「「やります」」
そりゃそう。
拠点に帰ってきた。シスターさんによると王様との謁見っていうイベントがあるらしいが、少し後だとさ、表彰って聞いてたんだが謁見?
おかしい……なにか強い力を感じる
「「ただいま」」
「おかえりですわ、それではマッチョの話を」
おまえ、なんで拠点におるの~?
城に帰ってくれよ!
「すいませんね、姫様があなたのことを気に入ったみたいで」
王国騎士団団長のメカさんもいる。
「って俺?」
どこに気に入る部分が? と思っていると
メカさんが答えてくれた。
「話の途中で逃げなかったからだと思います」
途中で逃げればよかったのか、と今さらながら後悔した。
「今日はここでご飯をいただきますわ」
晩飯は邪魔されまずくなった、マッチョの話をされたからだ、他の仲間たちも迷惑そうだ。
「一晩中マッチョについて語り合いませんか?」
なんて言われたとき魔王様のご機嫌が相当悪くなったが、「すいません、魔王様といっしょに寝るので勘弁してください」と言ったら魔王様はすごく笑顔になった。
「わたくしもいっしょに」とか言ってきたが、メカさんが人形姫を連れ帰ってくれたので助かった。
「まだまだ話足りないですわ~~~~~~」とか言いながら連れていかれたのは絶景だったな。
魔王様の機嫌がものすごくよくなったが、ドール姫はもうこないでほしいと女神に願った。
俺たちは明日からヘイアンダンジョンに挑む。
ヘイアンダンジョン攻略は数日かかるらしいので
しっかりと準備しておく。
よし準備完了だ。
明日からダンジョン攻略がんばるぞ!!
おはようございまーす、朝です。
「今日からダンジョン攻略ですわね、いっしょに頑張りましょうね」
「なんでお前おるね~~~~~~ん」
地獄のダンジョン攻略が始まるのだった……




