二話魔王軍はアットホーム
俺の目の前にいるのはシスターさんに魔王と呼ばれている、黒い服を着た黒髪ロングの少女だ。
年齢は俺ぐらいかな?
そしてものすごくかわいいんだが魔王?
そんな風格は一切ない。
「シスターさん、こやつが転生者か?」
『そうじゃ』
シスターさんと喋り方がそっくりだ、この世界の人はみんなこの喋り方なんかな?
「おぬし、名前は?」
「俺の名前は……俺の名前は……俺の……名前はー」
「名前はーー?」
「わかりません!!」
「『ごてーーー』」
二人ともノリがいい、本当にこの人は魔王なのか?
それで俺はなんで名前を思い出せないんだ?
『おぬし、さっきステータス見たときに名前が書いてなかったか?』
「そういえば書いてあったような書いてなかったような」
『見てみるのじゃ』
「はい、出でよステータス」
名無し10歳
職業無職
レベル1
HP10/10
力1
防御2
知力1
器用1
俊敏1
MP 20/20
スキル〈弱体化〉
属性無
称号なし
またいつの間にか板が消えてたんよなーー、次こそ消える瞬間を見てやろう、それで俺の名前は……名無しか
って名無し!?
『名無しじゃな』「ステータス低っ!!」
「そこぉーー!?」
シスターさんが俺のステータスが低い理由を魔王に説明した。
「おぬし、本当に毒キノコを食べて死んだのか?」
「そうみたいですねーー」
「可哀想じゃな、そんなので死ぬとは……よしシスター、決めたぞ、わらわがこやつをもらう、まあ元からそのつもりじゃったが」
「ん?」
もらうって聞こえなかったか? 気のせいですよね。
『気のせいじゃないですよ~、さようなら~』
「……」
見えてはいけないものが見えてしまった。緑髪の羽が生えた妖精みたいなのが……二人はどうやら気づいてないみたい
なんだったんだろうか?
『その決定権はおぬしにないぞ、えっと名無し?』
「はい」
なんだろう、シスターさんに呼ばれた。けど
『おぬしは魔王にもらわれたいか?』
「そんなことより今なんか緑髪の妖精みたいなのがとんでいきませんでしたか?」
「そんなことより……」
『そんなのいるわけないじゃろ、それでおぬしは魔王にもらわれたいか?』
「じゃあ今見たのは……幽霊!?」
ものすごい寒気が……ん? 肩をトンッと叩かれた。誰もそこにいないはずだが……ということは
『寒気がするのは気のせいじゃないですか~』
「うぎゃーーー!!」
『大丈夫か?』
全然大丈夫じゃないです。シスターさんによると俺は倒れたらしい、ベンチに寝かされてるしなんか体が重いし
さっき暗黒世界が見えたような気もするし
『びっくりして死ぬとは、おぬし本当に弱いのう』
「死ぬ!? 俺死んだんですか?」
『そうじゃ、まあわらわ僧侶兼シスターじゃし生き返らせることも簡単じゃったけどな』
「はあ……」
この世界では、生き返ることもできるのか
なんていい世界だ、というか俺簡単に死にすぎやろ!
『なるべく死なないようにな、蘇生ができる僧侶は少ないからのう』
「はい……それで魔王は?」
『おぬしの上じゃ』
「むにゃむにゃ」
なんか体が重いなとは思ったけどまさか俺の上で魔王が寝てるとは。
『起きるのじゃーー! ぶおーーー!!』
「うぎゃーーー!!」
法螺貝で起こさなくても……
「それでおぬし、わらわの元に来ぬか? わらわの魔王軍に」
「魔王軍……」
俺はそこでなにをさせられるんだ? もしかして肉体労働? そんなのは絶対に嫌だ、でも違うかもしれない。
「魔王軍はアットホームで──」
「ちょっと考えさせてください」
絶対ブラックだ、はっきり断るのは怖いのでこうするしかない。
「まあよい、しばらくは世話をしてやるからついてくるんじゃ」
これついていって大丈夫なん?
『ついていって大丈夫じゃぞ、あやつは信用できる、ちょっと癖はあるが』
シスターさんに俺の表情を読まれていたようだ、だけどまあ大丈夫な気がしてきた。
「ありがとうございます、シスターさん」
『困ったことがあったらまた来るのじゃぞーー』
「はい」
俺は教会の扉を出て異世界へと……うーん日本ですね。
高台から見下ろすと、古い日本建築の建物の小さな街が見える。夕方だから絶景だ。
そして街の真ん中には小さい洋風の噴水があるな……
後ろに振り向くとヨーロピアンな教会が……
異変を二つも発見した、戻らないと
「こっちじゃ、はやく来ないと夜になってしまうぞ」
「あーーはいはい」
俺は魔王についていき階段を少しずつ下っていく
体が小さいし慣れてないのでゆっくりと下る。
魔王も俺のペースに合わせてくれている。
ありがたい
「あれがわらわの拠点じゃ、見えるじゃろあのちっちゃいの」
「……」
教会は高台にあるので街の全貌が見えるのだが、魔王が指差している建物がちっちゃくてボロい小屋に見えるんだが……
「本当にあれですか?」
「そう言うなら確かにそれじゃ、見た目は悪いがちゃんとキッチンも冷蔵庫もお風呂もあるぞ」
「電気があるんですか!?」
異世界って言ったらファンタジー世界だと思うんだがこの世界には電気があって魔法がないのか?
スライムはいるけど
「電気ではなく魔法じゃ、魔物が落とす魔核からエネルギーを抽出し使っておる、そうじゃ、よく知らんが」
知らんのかい! それで魔法があるのか……ロマンですねーー、栗じゃないよ
その後頑張って階段を下りきりなんとか到着した。
「ここがわらわのお家、兼魔王軍アスカ支部じゃ」
この街の名前はアスカなんだ……日本っぽいな。
魔王は大きな鍵で南京錠を開け、俺は中へと招き入れられた。
「ここがわらわのお家の中じゃ、どうじゃ?」
ガチでお風呂、トイレ、冷蔵庫、キッチンがある。さらに洗濯機に炊飯器、押し入れまである。
でも壁紙がボロい……
「まあいいんじゃないですか?」
「そうじゃろ、それで押し入れは絶対に覗くんじゃないぞ」
なにか見られるとまずいものか……すごく気になる。
「中身が全部出てきてどっしゃーんじゃ、おぬしのステータスじゃ死んでしまうぞ」
じゃあ見ないですわ。
「それじゃあ晩御飯を作るからその椅子に座って待っておれ」
「料理できるんですか?」
「そりゃあできるぞ、魔王じゃからな」
魔王は黒いエプロンをつけフンフン言いながら料理を始めた。たぶん鼻歌のつもりなんだろうが音痴なのかわからないがメロディーがわからない、まあ異世界の曲がわからないのでなんともいえないが
うん、とにかくわからない。
「それでなにを作ってるんですか?」
鶏肉をもみもみしてるしメインはたぶん唐揚げだ。
「メインはアスカの名産、白ご飯じゃ、おかずは唐揚げとサラダじゃぞ」
そっちメイン派かーー
それで頼む、唐揚げならあれがあってくれー!!
「マヨ……ネーズはありますか?」
「もちろんあるぞ」
「よっしゃーー!!」
俺は唐揚げにはマヨネーズ一択だ、もしレモンを先にかけられても後からマヨネーズをかけるぞ。
そして食卓に並べられた大盛の白ご飯、唐揚げとマヨネーズ、そしてマヨネーズのかかったキャベツの千切り、うまそう。
「「いただきます!」」
まず俺は白ご飯から一口食べる、名産ってそれだけじゃあおいしいかどうかはわかりまうっまーー
なんかよくわからないけどうっまーー
じゃあ唐揚げはどうだ? まあマヨネーズがあればどんなにマズい唐揚げでも最高の味になるんうっまーー
なんだこの美味しさは、なぜかわからないけど涙が止まらない。
「どうしたんじゃ!?」
「うますぎますよーー、生きててよかったーー」
「どうじゃ? この美味しい料理を毎日食べたいと思わぬか?」
「食べたいです」
「ならば魔王軍に入るのじゃ」
「入ります、これからも美味しい食事をよろしくお願いします」
「わかったのじゃ」
俺は胃袋を掴まれ魔王軍に入ってしまった。
お風呂は心地よい温度だった。
「魔王さん、上がりましたよ」
「ふむ、入る、覗くなよ」
「覗きませんよ」
覗きたいけどこの生活を失うのはあまりにも辛すぎるので覗くわけがない。
それでベッドが一つしかないんだが俺はどこで寝ればいいのだろうか? 床?
まあ寝れるけど明日体のどっかが痛くなりそうやし……
よし、魔王さんを待とう
直接聞けばいい!
魔王さんがお風呂から上がってきた。
「おぬし!? 待っておったのか」
「いやーー、どこで寝ればと」
「寝るといえばベッドじゃ、さあベッド」
俺はベッドに入った。
「それじゃあわらわも」
「!?」
明かりを消した魔王さんもベッドに入ってきたんだが!?
そして俺にひっついてるんだが……
「すやすや」
魔王さん寝るのはやっ……
マジでアットホームやん……って眠気が
「すやすや」




