十六話弱体化を弱体化
血まみれだから早く帰りたい。まあ血の大半は高速で走って吹き飛ばしたんですけどねーー、それではリアルマッハで帰りましょう、マッハーーー!!
「ドーーーンッ……バリバリッ!! ちーん……」
「生き返れ!」
「はははははーー」
「はははははーー、ちゃうわ!」
俺はやらかしてしまった。とにかく早く帰りたかったばっかりに全力で走ってしまい、魔王軍アスカ支部に激突して死んだ。
『瓦礫の山ができちゃいましたね』
魔王軍アスカ支部は見るも無残な姿になっている。俺が今しないといけないのは魔王様への言い訳を考えることだ。
だが運が悪いことに
「ただいまなのじゃーー!」
「ぎゃーーー!!」
なんてタイミングで帰ってくるんだ!
魔王様は!
「そんなに驚くことじゃないじゃろ、もしや浮気でもしてたんじゃないじゃろうな?」
「ははははは……するわけないですよーー」
魔王様のすぐ後ろには瓦礫の山が、すぐにいい言い訳を
「というかゆうた、血くさいぞ、はやくお風呂に……」
あっ……魔王様が振り向いてしまった……
「なななななななななんじゃこらーーーーーー!!」
「すいませんでしたーーー!!」
俺はできる精一杯の謝罪、土下座をした。
もちろん頭は地面にめり込ませている。
「そこまで謝らなくていい、というかわらわ許すぞ、おぬしがしたことならなんでも許すぞ」
魔王様はやらかした俺に対しても優しいんだが、それはそれで逆によく効く……
「魔王甘すぎ、もうちょい厳しくしたほうがいい!」
『そうですよ、ゆうたさんは巨大なゴブリンを倒したのにゴブリンドラゴンを倒したと魔王さんに嘘をつこうとしてたのですよ』
くそっ、気のせいに暴露されてしまった、だがここで反論するのは悪手なのがわかるので反論できない。
「うむ、なに言ってんのかわからぬ、最初から説明してくれ」
気のせいと滝汗は今日のことを話した。俺は土下座のポーズを崩さないように頑張って誠意を表している。
「すやすや」
目が覚めると教会にいた……
『弱体化スキルがバグってまして──』
「あとな! 巨大なゴブリンがおってん」
『ふむふむ、すぐに直さないとな』
俺はどうやら異世界転生したようだ、なんかみんな忙しそうだ、寝よう。
俺は目を閉じた。
「ゆうたが起きたぞ」
『あーー! メモメモ、よしっ、って寝てておるではないか』
『寝たふりじゃないですか~』
『そうじゃな、ここはこれで』
「起きます!!」
シスターさん、俺の耳に法螺貝を当てないでください。
『おぬしに大事な話がある』
え? なんやろ? 女神様関連やろけど、心当たりが……
『残念ながらおぬしのスキルは弱体化じゃ』
「知ってますけど」
俺のスキルは弱体化だ、それがどうしたシスターさん
『そうじゃない、おぬしのスキルのバグがチートじゃから女神様が調整するそうじゃ』
「は、はぁーー、それでどのように調整されるんですか?」
まあ予想通りバグだったんですね、あんな危険なん放置しとけるわけないし納得だ。
『テキスト通りの効果になるんじゃ』
「え? それは普通じゃないですか?」
『そうじゃ、そしておぬしがそのバグで倒したのはバグゴブリンフルマックスじゃ、あれは本来ならこの世界にはいないはずの魔物じゃ』
「なんでそんなんが」
『バグじゃ、女神様がミスった、ただそれだけのことじゃ』
この世界の女神様は本当にポンコツなのかもしれない。
『それでついでなんじゃがなにかバグはなかったか? 他のやつらにはすでに聞いて直せるものは直したぞ』
「シスターさんが直したんですか?」
『そ、そんなわけないじゃろ、女神じゃあるまいし……』
俺の勝手な予想だがこのポンコツシスターがポンコツ女神なのでは? そうするとなんか繋がるんだが気のせいかな?
『き、きっと気のせいですよ』
『わ、わらわが女神様なわけないじゃろ!』
怪しい……ポンコツ感が似ているし気のせいも口調がなんかいつもと違う、まあシスターさんが女神だったとしてもなにも変わらない。
『それよりなにかバグはなかったのか?』
「うーん……あっ!」
あるわ、でも魔王様がすでに言ってるかも
『なにかあったか?』
「被りはありですか?」
『全然ありじゃぞ、バグを見逃すほうがダメじゃ』
「じゃあ、スライムを蹴ったときに真上にしかとばないっていうやつなんですけど」
『へ? スライムを蹴る? おぬしは一体なにをしとったんじゃ?』
「確かにそうじゃったな、わらわも忘れておったわ」
『スライムを蹴るとは……どんな遊びなんじゃ!?』
「違いますよ、スライムを倒そうとしたんですよ」
『え? 倒す? ワッハッハッハッハッハッ─死ぬ! 笑い死んじゃう』
笑うなよ……
『ほれ、女神様からのごほうびじゃ』
「ありがとうございます女神様」
弓をもらった、なにに使うんだろう? 戦闘?
『その弓は魔法弓じゃ、MPを矢に変換して使うんじゃ』
魔法弓か、そういえば魔法は、ステータスが低くて使えないって失った本に書いてあったな。
『ここに普通の弓と矢、そしてあそこに的を用意した、まずは普通のであの的にうつのじゃ』
なんかいつの間にか的生えてたって、とりあえずこの武器を扱えるようにしたらいいんですね。
『こことここを持ってこうするんじゃ、イメージはわかったか?』
「はい」
『ではうってみよ』
「ザクッ……」
あれ? 音はしたが的に当たったわけではないようだ。
『ゆうた……こっちじゃ』
「うぎゃーーー!! って大丈夫なんですか!?」
シスターさんの頭に矢が刺さり血が吹き出しているようだ。
のれんで中は見えないけど。
『こんくらい大丈夫じゃ【ヒール】では次は魔法弓を使うんじゃ』
この人やっぱ人間じゃないわ、とりあえず言うこと聞こう。
俺は魔法弓で的を狙って
「シューーーバンッ!」
的に当たった、小さく爆発するんや
『このように普通の弓は器用値で命中率が変わるがその魔法弓は実力で命中率が変わるんじゃ、おぬしにちょうどいい弓なのじゃ』
「ありがとうございます女神様」
『女神様はきっと喜んでいるのじゃ』
あなたですよね……
夜は特別に教会のお風呂に入るのと泊まるのを許された。そして俺は王都に行かないといけないことになっているので、明日からこの街を離れるそうだ。俺が寝ている間に決まったらしい。
「次に行く場所はサカイじゃ、北の村を迂回して行くルートが安全じゃからそのルートにする」
「すやすや」
「おぬし、寝るの早……すやすや」
「二人とも寝つき早くていいな!」
翌朝馬小屋に馬車を借りにきた。サカイまで馬車で行くそうだ。
そしてそこに馬の被り物をしたあの人が現れた。
「馬じゃ、あれ本当だったんじゃな……」
出会ってしまった、魔王様と馬が……
「馬車を借りるヒヒーンか?」
「ヒヒーン!?」




