新十三話ダンジョン水没させたった
アスカダンジョンにやってきた
「おじゃましまーす!」
「ここダンジョンやで」
ボケを普通に返されるのは結構つらい、というかダンジョン暗すぎやない?
暗いんは本に書いてあるし知ってたけれども!
『もしかしてゆうたさん、暗いのが怖いのですか?』
「そ、そんなわけないやろ」
「へー、ゆうたって暗いん怖いんやー」
『カチャ』
「「ぎゃーーー!!」」
真っ暗になった...ものすごく怖いんやが
って滝汗が叫びながらひっついてきた!?
『ぴっかりーん!どうでしたか?怖かったですか?』
気のせいのいたずらか、まあすると思ってたし身構えててよかった、まあ一瞬ビビったけどこいつのおかげでましに
滝汗は俺にひっついたまま涙目で震えている...
「ぶるぶるぶる...ちびってもうたがな!」
『ごめんなさい...』
びびりの俺でもさすがにこんなにはならん...
なんか滝汗と手を繋いで行くことになった、まあ片手で傘は開けるしいいんやけど
『それにしてもゴブリンが一匹もいませんでしたね』
本によるとたくさんのゴブリンが各地に配置されているらしいが実際は一匹もいなかった
あと宝箱もあるそうなんだが一個も見つけていない
なんだか嫌な予感がする
色々おかしいが五階層のボス部屋の石扉の前にやってきた
地図を見ながらだったなので二時間くらいで来られた
もちろん滝汗に地図を読んでもらったぞ
「なんか扉の先から変な音がしいひん?」
確かになにか聞こえるがよくわからない
『ボスの魔物じゃないですか?』
「そうかもな」
「とりあえず覗いてみようや!」
とりあえず扉の先を偵察してみる、滝汗は俺の後ろで魔法の準備をしている、魔物が出てきたときのためだ
「ん!!ん!!」
扉を引いてもびくともしない、まあステータス低いしな
『ゆうたさん、逆ですよ、押すんですよ』
そっちかー
「ん!!ん!!開かへんで」
『私も手伝います』
「『ん!!ん!!』」
ちっちゃい癖に俺より力がある気のせいと押しても開かない
『中でなにかが突っかかってるような気がします』
「じゃあどうすんの?」
『扉を壊しましょう、その傘ならできそうじゃないですか?』
「確かに」
音速の傘なら石扉でも壊せそうだ
「滝汗、もし魔物出てきたら頼むな」
「わかってるしやって!」
俺は深呼吸して決意を決め
「ザシュッ─パキ...」
音速の傘が壊れた!?扉も壊れた、けど...
「ゴブゴブ!!」「ゴッブー!!」「ゴゾーロップ!!」
なんかおかしい数のゴブリンが扉から出てきたんだが!?
「【ウォーターランチャー】」
滝汗がとっさに水の玉で
『うぎゃーーー!!って私じゃないですよー』
「ごめん!照準ミスった!」
わざとかな?ってぐらい気のせいに数発命中した後にゴブリンに打ち出した
というかゴブリンどんだけいんの!?こんなん勝ち目ないやん
『ゆうたさん逃げますよ、滝汗ちゃんも』
逃げることにした、あいにくゴブリンはまだ歩いて追いかけてきている、俺たちは走るぞ
『ゆうたさん、この先はどっちですか?』
滝汗から本を返してもらっていたので俺が地図を見なければならない、ミスらないでくれ俺
「右や(正しいルートは左です)」
俺たちは道を右に曲がった、追いかけてくるゴブリンがなんか増えているような気がするが気のせいだろうか
『増えてます!気のせいじゃないです!それで次は?』
「左や(正しいルートは後ろです)」
俺たちは地図を信じて道なりに進む
『あれ!?前からもゴブリンが来ますよ!』
「うそやん!どうしよ!」
「は!?」
前後をゴブリンに囲まれてしまった
『これはマズイですね、私が急いで助けを呼んでくるのでそれまでなんとか耐えてください』
気のせいはとんでいった
「ぶるぶるぶる」
滝汗は暗いのが怖くて俺に密着しながら震えている、というか俺も色々怖くて震えている
「びちびちびちジャーーー!!」
なんだか激しい水の音が...どうやら滝汗がチビるを超えて漏らしたようだ、俺はその激しい水の音で落ち着きを取り戻した、なんとかボケて滝汗を落ち着かせよう
「そんなに漏らしたら干からびて砂漠になんで」
「これおしっこちゃう!スキルが暴走してんねん!」
「え...」
気のせいが離れたからか、もしくは気のせいがやられたとか、そんなことはないやんな?
「スキル使ってこれ弱めて、このスキル制御するし二人で生き残ろう!」
「お、おう、そやな」
そんな考えは出てこなかった、これはやってみる価値がある
「〈弱体化〉」
「ジュイーーーーーー!!!!」
「強くなってへん!?」
なぜか勢いが強くなった、滝汗は謎のパワーで立っていられるらしいが俺は滝汗に全力でしがみついている、俺が流されないように滝汗も俺を全力で掴んでくれている
「ゆうたー!もう一回!!」
「わかった!〈弱体化〉」
重ねがけはできないはずなのでこれ以上強くなることはないだろうと思いスキルを使用した
「ジュゴーーーーーーーーー!!!!!!」
なぜか強くなってしまった!俺のスキルはどうなってんや
「ぶくぶくぶくぶくぶくごぼごぼごぼ...」
ヤバい、水位が上がって息が...俺は溺れたようだ
意識がとんでいく─
この日アスカダンジョンの五階層は水没した