百二十四話幼なじみ
俺には同い年の幼なじみがいた
名前はえりちゃん、ちゃん部分まで名前だ
親が間違えてちゃんまで名前のところに書いてしまったそうだ
そんなえりちゃんは俺をちょっとからかっては逃げてしまう、変な女の子だった
高校までは一緒だったが俺が大学受験に大敗し離ればなれになった
俺は家にこもりゲーム三昧の日々を送っていた
そのころえりちゃんは少し離れたところの大学へ通っていたそうだ、でもツキイチぐらいで俺の家に遊びに来ていた、一緒にゲームをした思い出がある
そして二十歳の夏、俺の両親が事故で死亡した
ちょっと離れたところにある滝の滝壺に車ごと落下したそうだ
俺のことが心配になったえりちゃんは俺の家に毎日泊まり込みでこころのケアをしてくれた
一週間後近所でやっていた花火大会に連れていかれた
あの浴衣姿はとても魅力的だった
そして花火を見ながらファーストキッスを奪われた
あの日まではまだえりちゃんがいたからよかった
しかし次の日えりちゃんは死んだ
両親を殺したあの滝壺に落ちてしまった
俺は泣いた、家の中を暴れまわった
ゲームも家電も思い出もみんなみんな壊した
腹が減ったら食べ物を食べてしまう自分が憎かった
何日か経って食料が尽きたので裏山に行った
毒キノコが生えていた死にたかったのでそのまま食べた
苦しかった、心も体も全部が苦しかった
でも死ねなかった
そうだ、どうせ死ぬならえりちゃんのところに行こう
と思いあの滝へ向かって歩いた、そして飛び降りた
それで俺は死んだのだ
『違うぞ』
女神がいた、俺はいつの間に女神空間に?
「なにが違うんですか?」
『おぬしは死んどらんぞ』
「?」
『おぬしには気のせいの加護がついていたからあれ程度では死なんのじゃ』
「そうなんですか」
『そうじゃ、それで思い出したようじゃな』
「はい、というか記憶書き換えられすぎてませんでしたか?」
えりちゃんの代わりがおばさんってあと毒キノコの部分とかなんか微妙に...
『それはわらわのいじわるじゃ、それより大丈夫か?もしつらかったら忘れさせることもできるぞ』
「いえ忘れません」
『わかった』
「それよりえりちゃんって本当に魔王様なんですか?」
見た目はまんま昔のえりちゃんだがしゃべり方が違う
『しゃべりかたはえりちゃんに頼まれたのじゃ、おぬしにバレないようにと』
「えりちゃんらしいですね」
えりちゃんといえば変な行動だ、ちょっとよくわからん
「それでえりちゃんにどう接したらいいんですかね?」
『なぜわらわに聞く、えりちゃんと直接話せばよいじゃろ』
「会いたかったんですけどいざ会うとなると」
『...』
「なんですかその顔」
『とりあえずゲームでもするか?』
「そうですね」
俺はゲームをして落ち着くことにした
『そうじゃ、おぬしに頼みがあったんじゃった』
「なんですか?」
『ハー勇のVRバージョンの計画があるんじゃが手伝ってくれぬか?』
「え?あれVRにするんですか?」
『そうじゃ、でだVRゲームを作るより世界を作ったほうが早いからハー勇の世界作ったのじゃ』
「?」
『ハー勇の世界でいろいろやってほしいんじゃ、あと三角計画というのがあってじゃな』
「三角計画?」
みっつの角がなんなんや?なんか情報量が多い
『前に箱娘世界行ったじゃろ?あの世界とハー勇世界とおぬしの世界をつなぐ計画があるのじゃ』
「なんかどえらい計画ですね」
『そうじゃろ、それでおぬしにハー勇世界に行ってほしくてのう』
「いいですよ」
『しばらくみんなには会えないがいいのか?』
「まあちょっと気まずいんでいいですよ」
『じゃあ早速行ってもらうか、説明は向こうでな』
「はい」
そして俺はハー勇世界へ行くのであった
五章ハー勇世界編へ続く、下にも続く
ゆうたと始めて会ったときゆうたの目は死んでいた
どうしてかと聞くと家族も好きな人もみんな死んで自ら死を選んだそうだ
記憶を覗くとその死んだ人がみんなこっちの世界にきているのがわかった
ゆうたはどうしてもえりちゃんという子に会いたいそうだ、なので会わせることにした
でもとてもつらそうなので少し記憶をいじることにした
そして例のえりちゃんと相談しこの計画は始まった
いろいろ注文されたが従うことにした
その注文の内容がだいぶ変だったが目をつむることにした
ついでにゆうたを分けてもらうことにした
それは顔に惚れたからじゃが...
そして後は運に任せて運ゲーじゃ
ところで一緒に来た気のせいという精霊はなんなんじゃろな?
ゆうたが倒れた、昔のことを思い出したようだ
今頃女神様がゆうたと話しているころだろう
「ゆうた、しっかりしろ!!」
「お父さん大丈夫です、ゆうたが倒れるのは計画内です」
「そ、そうなのか?」
「はい、船に運んでそのままアカシに行っちゃいましょう」
魔王のしゃべりかたが急に変わり驚いた人たちがたくさんいたそうだ
「魔王の本当の名前はえりちゃんやねん」
「そうなんや!」
「ん、ゆうたとおさなななじみって本当?」
「なが多いわ、どっから来たん」
「おさなじみってなんだ?」
「なが少ないわ、どこ行ったん」
「幼なじみというのは...なんだろうね?」
「幼なじみって幼なじみやしな」
幼なじみってなんだ?
『しじみ?』
お前は違う、きっととゆうたはこう言うだろう