百二十二話魔王様との距離
『ゆうたさん、マヨネーズシェイクすっごくまずかったんですよ』
「どんくらい?」
『マヨネーズジュースよりもです』
それはすまない
「娘がすまない、注意しておくよ」
「お願いします」
頼むぞ校長
「それより約束の船が完成したんですよ」
あの羽のはえた船だ、それをもらうためにワイバーンを倒しにアワジへ行ったのだ
「明日贈呈式を行うのでそのつもりでお願いします」
まあそれはしゃーないだろう
「はい」
「ではまた明日」
校長は帰っていった、まあもう夜やし
「腹減ったし食堂行くか」
『私も口直しが必要です』
こないだまでアイテム倉庫に食べ物はいっぱいあったのだが女神空間でたくさん消費してしまったので調理済みのものはもうないので食堂で食べることに決めた
食堂はガラガラだった
まあ夕食時は過ぎてるしそりゃそうだ
というか危なかった閉店準備しそうになってるやん、さて食券食券...
『ゆうたさんお金貸してください』
「...」
『ゆうたさん?』
「お金ない...」
『...』
電子マネーまだ使えへんしな...
あとワイバーンの魔核とドラゴンの魔核と高級生肉とその他しかない...おわた
『ゆうたさん、あそこに魔王さんがいますよ、お金借りましょう』
魔王様がいるのは知ってる、こそこそ隠れながら食べてるからわかるよそりゃ、でもお金借りるためだけに話しかけられるかといえばそうでもないしな
「帰ろ」
『じゃあ代わりにゆうたさんあれ吸わせてください』
あれね
「いいよ、そのかわり夜頼む」
『はい、もちろんです』
俺は残していたまんじゅーでなんとか飢えをしのいだ
気のせいは
『ちゅ~~~』
気のせいは俺が作った新鮮な空気を吸っている
『ゆうたさんの空気おいしいです』
なんかその言い方ちょっとやらしい
『ではゆうたさん寝ましょう、大きくなります』
気のせいは大きくなってベッドに寝転んだ
今から気のせいを抱き枕にして寝る、抱き枕なしではよく寝られない気がするからだ、女神空間にいたときは女神を抱き枕にしていた
しかし魔王様という生きた抱き枕に慣れすぎてしまったのもよくなかったかもしれない、こんなことなら...
抱き枕なしで寝られていたころに戻りたい
もう寝られそうだ
「ゆうた、話があ...」
魔王様がやってきたようだ、そしてなぜかまた逃げてしまった
追いかけないと...でも眠気には勝て...
ゆうたは寝てしまった
起きたときに魔王様がいないのにはもう慣れてしまった
俺と魔王様の距離はどんどん離れていってしまうみたいだ、夢で魔王様がどんどん離れていって...
「はー、嫌な夢」
『きっと気のせいですよ、魔王さんのところに行きますよ』
「ありがとうちょっと元気出たわ」
気のせいに励まされるとは
『気のせいじゃないですか?』
「なんでやねん」
『じゃあ行きますよ』
ツッコミ入れて元気出てきたわ、ありがとう気のせい
『それ直接伝えてほしかったな...』
「ありがとな気のせい」
『やーい、引っ掛かった引っ掛かった』
なんなんやこいつ
『ゆうたさん、この先に魔王さんがいますよ』
でもフレアさんもいるみたいやな、声が聞こえる...
壁に耳を当てて聞き耳をたてる
「ゆうたが他の知らない女と...」
ん?たぶんやけどそれ気のせいじゃない?
『ゆうたさん、わかりましたよ』
「何が?」
『魔王さん私が大きくなれることを知らないのですよ』
「なんで?魔王様の前で大きくなってなかった?」
『あのとき魔王さん酔っ払ってたから覚えてないのではないですか?』
「それや」
なら気のせいに大きくなってもらうしかない
「魔王なんですからそんなときもありますよ、マヨネーズシェイクで元気だして!!」
「ごくごくげろろろろ~」
「...」
飲んだ、そして吐いたようだ
『飲みましたね』
まあ魔王様のボケはおいといて
「大きくなって中に入って」
『わかりました』
気のせいは大きくなって部屋の中に入っていった
「おぬしはゆうたを!!」
『気のせいです』
「気のせい?おぬし気のせいか」
『はい』
「なんじゃ気のせいか、ならよかった」
どうやら誤解はとけたようだ
『魔王さん、ゆうたさんと仲直りしてください』
「したいんじゃがタイミングが...」
『そこにゆうたさんがいます、さっきから聞いてました』
「え...」
気のせい、なんか入りづらい
「私が呼んできます」
フレアさんがきたので逃げた
「待ってくださーーーい!!」
マヨネーズシェイク持って追いかけてくる
あっ、道間違えた、こっち行き止まりや...
「魔王様どうして逃げるんですか?」
どうしてってその手に持ってる物よ
「これですか?これはいたって普通のマヨネーズシェイクですよ」
普通のマヨネーズシェイクってなんなん?
「魔王さんと気のせいさんは合わなかったみたいですけどきっと魔王様にはあうはずです、一杯どうですか?」
そうや、まずいもん作んなって言わんとな
そのために飲むしかないか
未来の犠牲をなくすためにも
「ではいただきます、ごくごく...」
う~ん、まずいけど...スライムよりましや...
飲めないことはない
「まずいです、味見しましたか?」
「いいえ、ネタバレは駄目なので」
「ちゃんと味見してください、ほら」
俺が飲んだコップを渡した
「魔王様と間接キス...」
そんなこと考えてんと飲めよ
「ごくごくげろろろろ~」
地面に白い液体が広がった